第330話(終・第九章第10話) 第十三層へ(セツ視点)

 カラメルのおかげで私たちは無事に第七層のエリアボス前の間までやってくることができていました。

 途中、私が一旦現実に戻ったことによってコエちゃんとの間にちょっとした諍いが生じてしまいましたが、コエちゃんの言っていることの方が正しかったので私はすぐに謝って仲直りしました。

 そうですよね……、休憩の時間を設けていたのに我慢して行かなかった私が悪いですよね……。

 反省しました。


 エリアボス前の間には誰もいなかったため、すぐにエリアボスに挑戦しました。

 エリアボスは宝石のような見た目とダイヤモンドのような硬さを誇るというアダマントアホクビでしたが……。

 ……一撃。

 カラメルが強すぎて何もすることがありません。

(進化したことによって攻撃固定「1」の状態が解除されています)

 でもこれ、どこかで見た光景のような……。

 あっ、一回目の攻略の時に私がやったことと同じなんです。

 すごく呆れられた記憶があります……。


 それは兎も角。

 これで第七層は突破しました。

 まだ時間があるから進もう! と私たちは第八層の攻略に取りかかりました。



 第八層「タチシェスボルケーノ内部」ダンジョン。

 煮えたぎるマグマの床を踏まないようにところどころに配置されている固まった溶岩を足場にして移動する洞窟型のダンジョンです。

 洞窟型といっても空間は広く、天井も高いため圧迫感はまったくと言っていいほどありません。

 このダンジョンは普通に階段があります。

 11階と21階には、襲ってくるマグマから逃げる、というギミックがあり半強制スクロール(先にはいくらでも進めるけれど、時間が経つと前には戻れなくなる)という仕組みになっていて、誰かがそのフロアにいるとその前のフロアからは階段を上れなくなるという措置が施されています。

 そこで足止めをされてしまったからでしょうか?

 このダンジョンの攻略中にシニガミさんたちやサクラさんたちに会うことはありませんでした。

(ちなみに、11階と21階がこのようになっている関係で10階と20階の上り階段付近には安全地帯が設けられています)

(12階や22階から下に戻る際は下り階段付近にある穴に入ることで10階・20階の上り階段付近に行ける仕様)

(同じような仕組みとしてモンスターフロアがあるのですが、そのフロアだけは別の次元が用意されていて、誰かがモンスターフロアにいる間にそのフロアへ行こうとするとモンスターフロアB、C、D……に行くことになるそうです)

(その上のフロアからは収束されているらしく他のパーティのプレイヤーさんと会えるようになる、とのこと……ライザ情報)


 あっ。

 第八層のエリアボス・ゴーストタチシェスもカラメルが一撃で吹き飛ばしていました。

 カラメル、明らかに強すぎるがゆえに戦力外通告されそう私とライザ側ですよね……。



 続けて第九層「スクオスの毒の大湿原」ダンジョン。

 ……沼の中を移動しなければいけないという厄介なダンジョンです。

 ですが、このダンジョンは前回自分で考えながら攻略していたので道順を憶えていて、迷うことなくエリアボスの前の間まで行くことができました。

(ダンジョン攻略の進め方が順調だと感じたのは、途中で迷っていたサクラさんたちと邂逅したからです……そこからはサクラさんたちとともに行動しました)

(シニガミさんたちとは会えませんでしたが、彼女たちはもう次のステージに行っているのでしょうか?)


 あと、このダンジョンではライザから連絡を受けて少し寄り道をしています。

 隠し部屋に行って、「転移シート」を設置してきました。

 第九層から第十二層までの隠し部屋には薬の素材(最高級品質)がある、とのことで、マーチちゃんやコエちゃんがいれば薬をつくることは可能なのですが、もし二人がいない間に薬を生成しなければいけなくなった時、私だけで製薬できるように、というライザの配慮です。


 そしてその用事を済ませたあとはエリアボス戦へ。

(寄り道から元のルートに戻るまではライザが通話で指示をしてくれました)

 ここではサクラさんたちと私・コエちゃんに別れてエリアボスに挑みましたが、サクラさんたちも速いですね……。

 一分もかからずに第九層のエリアボスを倒していました。

 私とコエちゃんのエリアボス戦ですが、何も言うことはないかと……。

 カラメルが強すぎるので……。

 エリアボスは全身真っ黒のダークネススクオスというらしいのですが、その性能が発揮されることはなく、ちょっとだけ憐れに感じました。



 第十層「リスセフ大金山」ダンジョンはトロッコに乗ったり、壁、天井、床などを壊したりして進んでいくダンジョンです。

 ここも自力で攻略していたのでよく憶えていました。

 ライザの案内による寄り道もしっかりして、最上階へ。

 エリアボスはマシナリーリスセフ。

 ……カラメル、容赦なく瞬殺です。


  第十層をクリアしたら④の一時半(現実では午後6時23分)になっていたため、この日はこれで終了することにして。



 翌日(十三日)。


 第十一層「アホクビ大地獄」からスタートです。

 このダンジョンは、敵が見えず、鏡の世界に入れるところが他のエリアのダンジョンとの違いです。

 鏡の世界はダンジョンの構造が左右反転になり、敵ではなくアイテムが見えなくなる、といういやらしいところでした。

 ですから鏡の世界にアイテム扱いである鍵が置いてあると、サーチ系のスキルを持っていない限りなかなか先に進めなくなります。

 私は前回、このダンジョンを攻略する時はライザを頼っていましたが、あまりにも質が悪いギミックだったため鏡の世界に置かれている鍵の場所はよく憶えていました。

 そのため、思っていたよりも時間がかかりませんでした。

(もちろんしっかりと隠し部屋に寄っています)


 エリアボスはドラゴニックアホクビ。

 ドラゴンの特徴が加えられている強そうなアホクビでした。

 ……が、



――ワンパン。



 なんならカッコよく登場しようとする段階でカラメルが仕留めていました。

 カラメル……相手の見せ場を奪ってしまうなんて……。

 ……どうしよう。

 この子、よくない部分がどんどん私と似てきてしまっている気がします……。

(前回の攻略でまったく同じことをやっていた私……)


 これ、完全にゲームバランスを壊していますよね……、なんて思いながら最後の第十二層へ。



 第十二層「タチシェス地下帝国」ダンジョン。

 このダンジョンの一番の敵は「闇」です。

 何も見えないため足場があるのかどうかもあいまいで、足を滑らせて地面がないところに行ってしまうと最下階一つ手前のB47階に送られる造りになっています。

(「闇」に対処するための「ヘッドライト付ヘルメット」という装備も売られていましたが、それを使ってもなかなか見通せず心許ないそうです)

 しかも、B47階のボスに挑むにはB4階、B13階、B29階、B42階にある合計四つの鍵を使わないといけない、という意地悪な仕様……。

 ですが、ここでもカラメルは優秀でした。

 進化したことで全ての属性魔法を習得していたカラメルは灯を生み出して辺りを照らしてくれたのです。

 カラメルのおかげて一度も落下することなく最下階まで辿り着けました。

(隠し部屋に「転移シート」の設置も完了)


 エリアボスはジオタチシェス。

 火山と雪山を背負っている巨大なタチシェスでしたが……。

 カラメル無双が炸裂しました。


 とりあえずこれでコエちゃんは実装され次第、第十三層を攻略することができる状態になります。

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