第265話(第七章第20話) ギルドメンバーの決勝トーナメントの応援をしましょう2
『勝者「花鳥風月」キリ!』
「地形:電気」によって身体が痺れさせられ、動けなくなったことに加えて継続ダメージを受けていっていたスミさんのHPは削り切られました。
そのため、キリさんの勝利が確定します。
「す、すごいね、キリさん! あんな方法を思いつくなんて……!」
私は、機転を利かせたキリさんを絶賛しましたが……。
「……いや、よくそんなギャンブルに出ましたね……。あれ、まだ未実装のエリアのギミックなんでスキルでその地形に変えられない可能性だってあったのに……」
ライザは呆然とさせられていました。
ちなみにライザが思いついていたスミさんへの対策というのは、これまでに見てきたいろいろな地形に変えてみること、だったそうです。
装備に自由に特殊効果を付けられるのはクロ姉の専売特許ということと、入手困難の『スロット解放の鍵』がなければ装備に付与できる特殊効果はよくて二つということ、この二つの事実に気づければ、スミさんがカバーできるのは精々三つということがおのずとわかる、とのこと。
(『全地形ダメージ無効及び全地形による悪影響無視』は優秀なんて言葉では片づけられない壊れた性能の特殊効果であるため、現時点ではクロ姉以外が付与することはできない、のだとか)
そして、スミさんは水中でも地上にいる時と同じように動けていたことから「海」と「火山」、この二つの地形への対策を優先していた(要するに、「砂漠」、「天空」、「沼地」のいずれかに変えることで勝てた)ということが『アナライズ』を持っていなくても推測できる、と彼女は言っていました。
(装備のスロットの一つは耐久値の都合上、装備が壊れないようにするための対策、で使う必要がある……これをしないと壊されるため折角『急激な気候変動』の対策をしたのに意味がなくなる、というのがライザの言葉)
(初期装備は壊れないけど、スロットがないので)
========
名前:キリ レベル:639
職業:上忍(忍上位)
HP:4,994/4,994
MP:6,527/6,527
攻撃:4,227
防御:3,806(×1.1)
素早さ:7,255(×0.9)
器用さ:7,294
スキル:『私の居場所はここにある+』
『初期装備強化:上忍』
『
ジョブスキル:『神出鬼没』
========
(本来派生ジョブは、ジョブを派生させるに至った一回しか使えないスキルを4,444回使用しなければいけない、という無理な条件を加えられるため上位職に転職できないそうです)
(ですがそれをライザは、初期装備変更系のスキルを無理やりパワーアップさせられる『画竜点睛』というスキルを取って使ったことで不可能を可能にしていました)
次は次鋒戦、ススキさんが出場します。
相手は商人と思しきハコさん。
ススキさんはいつものように『大爆発』を使いました。
しかし、その爆炎がおかしな動きをし始めます。
収納されていったのです。
ハコさんのバッグの中に。
ライザが説明してくれました。
ハコさんは
――相手の攻撃全般をアイテムとして収納することができ、それを攻撃アイテムとして使用することができるスキルを持っている
と。
ススキさんはメインウエポンである『大爆発』をアイテムとして収納されてしまったのです。
凝縮され、手に持てるようになった爆炎(アイテム)を取り出してススキさんに向けてそれを投げつけてくるハコさん。
かなりまずい状況に陥っているように見えましたが、ススキさんはよく見ていました。
『大爆発』の炎が相手のバッグに収まるところを。
ですから、ススキさんは的確に動くことができたのだと思います。
爆炎はススキさんに触れて一気に燃え広がりますが、その中でススキさんは平然としていました。
――『パラダイムシフト』をそのアイテムに使ったから。
ダメージを受けずに回復していたのです。
そして、相手が戸惑っているうちに『大爆発』をお見舞い。
テンパっていてスキルを発動できなかったハコさんは消滅していきました。
「勝者「花鳥風月」ススキ!」
ススキさんも勝利を収めました。
========
名前:ススキ レベル:639
職業:槍騎士(槍使い上位)
HP:4,994/4,994
MP:4,227/4,227
攻撃:6,527
防御:3,806(×1.1)
素早さ:7,255(×0.9)
器用さ:7,294
スキル:『パラダイムシフト+』
『火薬類取扱保安責任者』
『大爆発』
スキル:『神槍』
========
副将戦はパインくん対薬師っぽい見た目のクスさん。
クスさんは薬品系のアイテムを劣化させ、その性能をめちゃくちゃにするスキルの持ち主でした。
突然、何かの薬品が入った容器を投げられましたが、その色合いは間違いなくHP回復ポーションだったため、パインくんは困惑してしまって避けられずにそれを浴びてしまいます。
すると、パインくんの服がじゅわじゅわと妙な音を立て始めて……。
『え……』
なんと、溶けてチューブトップやミニスカートみたいになってしまったパインくんの服……っ。
(それ以上溶けることはありませんでしたが)
(薬師の評価がまた悪くなるようなことをされた気がしました)
(ちなみにクスさんは女性でした)
今のパインくんの身体は大変なことになってしまっていますから……。
『い、いやああああああああっ!』
恥ずかしさでしゃがみ込んでしまいます。
……パインくんが不憫すぎて試合を止めに行きたくなりました。
クスさんは、恥ずかしさで悶えているパインくんにとどめを刺そうと近寄っていっていて。
パインくんの身を案じたその時、相手に異変が生じました。
パインくんと同じようにしゃがみ込んで、
『き、棄権する……!』
と叫んだのです。
何がどうなっているのかわからずに戸惑っていると、ライザが説明してくれました。
「『痛いの痛いの飛んでいけっ!』の効果です。あれは別に身体の傷だけを返すスキルじゃありません。心に追った傷も返せるんです。聖女が使える魔法の中には心を奮い立たせる『インスパイア』っつーものがありますから」
……どうやら、パインくんが感じたのと同じだけの恥ずかしさを味わうことになったためにクスさんは棄権した、みたいです。
========
名前:パイン レベル:639
職業:大聖女(神官最上位)
HP:32,215/32,215
MP:16,879/16,879
攻撃:26,081(回復魔法に影響/攻撃時は1/16)
防御:15,193(×1.1)
素早さ:17,952(×0.9)
器用さ:29,148
スキル:『堅牢優美の障壁+』
『我が身を盾に+』
『痛いの痛いの飛んで行けっ!+』
ジョブスキル:『大聖女の祈り』
========
(最上位職になれるのは、現段階ではゲームスタート時に上位の職業に運よく着くことができたもののみらしい)
ちなみに大将戦ですが、これまで通り相手に何もさせることなく一閃してサクラさんが勝利しました。
相手のアプさんが、戦いたくない! とだだをこねていたのが印象的でした。
========
名前:サクラ レベル:639
職業:将軍(侍上位)
HP:3,460/3,460
MP:4,227/4,227
攻撃:7,294
防御:7,180(×1.1)
素早さ:4,494(×0.9)
器用さ:8,061
スキル:『能ある鷹は爪を隠す+』
『初期装備強化:将軍』
『勝利を我らに+』
ジョブスキル:『武神の領域』
========
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます