第249話(第七章第4話) 運営からのお知らせです

 現段階での最強の装備をつくるための素材を集め、その装備「戦闘型機械人形コンバット・オートマタ」を作成して、一悶着あって③の0時。

 突然、スマホの画面のようなものが目の前に出現します。

 それは「イベント告知」という題名のメッセージを受信したことを告知していました。

 「運営」からのお知らせです。


 内容を纏めると以下の通りになります。


・内容は、プレイヤー同士で戦うPvPイベント

(PvPは、プレイヤーバーサスプレイヤーではなくパーティバーサスパーティの略)

・期間は、十七日の日曜日から二十三日の土曜日までの一週間

・トーナメントは八つのブロックに分けられており、十七日に各ブロックの一回戦と二回戦、十八日に各ブロックの三回戦と四回戦、十九日に各ブロックの決勝トーナメント進出決定戦(五回戦)及び決勝トーナメントの抽選、二十日に決勝トーナメント一回戦、二十一日に決勝トーナメント二回戦、二十二日に三位決定戦、二十三日に決勝戦が行われる

・対戦ブロックは、AIが記録から各パーティが全員でログインできる時間帯を割り出し、同じ時間帯にログインできるパーティで纏めている

(そのため、ブロックごとの難易度は異なる)

・試合が行われるのはイベント限定の特設闘技場

(宿屋の受付から行くことが可能・観客席あり)

・試合形式は三番勝負

・一本目がシングルス、二本目がダブルス、三本目がシングルスであり、先に二勝したパーティの勝ち上がりとなる

(どちらかのパーティが一本目の先鋒戦と二本目の中堅戦で二勝を収めた場合、三本目となる大将戦は行われないこととなる)

・先鋒戦、中堅戦、大将戦は必ず違うプレイヤーが出なければならず、どこにどのプレイヤーが出るか、は事前に決め、変更はできないものとする

(例えば、同一のプレイヤーが先鋒戦と大将戦に出ることは不可能)

・ただし、どうしても都合がつかず参加することができないプレイヤーが出た場合は既に戦っていたりのちに戦いを控えている状態であっても代わりとして出場することができる

(もちろん、不正ができないよう措置が施されており、嘘をついてルールを破ろうとした場合、その戦いは嘘をついた側の負けとなる)

・アイテム、装備の持ち込みは可(ただし、アイテムは四つまで)

・アイテムは事前申告をする必要があり、申告をしていないアイテムは持ち込めない

・アイテムを使用していた場合、勝負の決着がついた時に復元される

・トーナメントを勝ち上がっていき、決勝トーナメントの決勝戦で勝利したパーティを優勝とする

・五位以降のランキングは戦闘の内容をAIがポイントで評価して決める

(負け数や戦闘にかかった時間、残りのHPなどを見て総合的に判断する)

・今回の優勝賞品も「第四層全ダンジョンの宝の地図」



 パーティバーサスパーティのトーナメント形式のイベント……。

 とりあえず、マーチちゃんやライザ、クロ姉とは対立しないで済みそうです。

 サクラさんたちとは優勝を争うライバル関係になってしまいましたが、それはプレイヤーバーサスプレイヤーの個人戦だったとしても変わらなかったため、呑み込みましょう。

 あと、「運営」には、こういうことは早く教えて、と文句を言ってやりたいです。

 マーチちゃんたちと戦わなくちゃいけないかもしれない、と無駄にハラハラさせられましたから。


 私はメッセージに添付されていた画像を開いてそれをじっと見つめます。

 そこに載っていたのは、トーナメント表でした。


 ブロックはA~Hの八つに分けられていて、一つのブロックごとに「32」のパーティ名が連なっています。

 私たち「ファーマー」の名前はAブロックの一番上に記してありました。

 残念ながらシードということはなく、一回戦目から戦う必要があるようです。

 対戦相手は――



「……シニガミファンクラブ・ミタマちゃんの集い?」



 シニガミって……。

 うーん……、どこかで聞いたような気がするのですが、どこでだったっけ……?

 ただなんとなく、ぞくっとした感じを覚えました。

 何故かはわかりませんが、あまりよくない印象を抱いたのです。


 その理由はいくら考えてもわからなかったため、私はAブロックに書かれている名前を見ていきました。

 ほとんどのパーティはその名前が一つの四角い枠に囲われていたのですが、いくつかは四角い枠が二重になっていたことに気づきます。


 『ファーマー』

 『777』

 『ROYAL』

 『ギフテッドの旅団』

 『プディン帝国』


 この五つのパーティ名だけが。

 これはいったい……?

 私たちのパーティもこの少数派の方に含まれていましたから、余計に気になります。

 ……今度、ライザに聞いてみましょう。


 Aブロックにはサクラさんたち「花鳥風月」の名前はありませんでした。

 彼女たちと当たることがなくてホッと胸を撫でおろします。

 戦いたくはないのですが、勝ってほしいという思いはあります。

 彼女たちがどのブロックにいて、勝てそうなところなのかが気になって、私は「花鳥風月」の文字を探しました。


 Bブロックにはなし……。

 『ギフテッドの兵団』と『お菓子がなければプディンを食べればいいじゃない?』が二重の枠で囲われています。


 Cブロックにもなし。

 『イベント特攻隊』と『CODE:S』が二重……。


 Dにもいない……。

 『天使と悪魔の輪舞 with シニガミ』……?


 Eにもない……。


 F……なし。

 二重なのが『ギフテッドの騎士団』……。


 G……あっ、ありました!

 「花鳥風月」の文字が!

 シード……ではありませんね。

 一回戦の相手は『ベーターテスターの集い』……?

 二重の枠で囲われているパーティ名です。

 ……勝てるでしょうか?

 二重の意味がわからないので、薄気味悪さを覚えます。

 ……それにしても、ここも二重に囲まれているパーティ名が多いですね……。

 『ベーターテスターの集い』の他に『ワンダーランド』、『ギフテッドの師団』が二重になっていました。

 これが、



――優勝候補強いパーティ、という意味ではなければいいのですが……。



 もし仮にそうだったとしたら、サクラさんたちは初戦からいきなり手ごわいパーティと当たってしまった、ということになってしまいます。

 さらに、他のブロックより強いパーティが多めだということにもなる……。

(一番多いのは私たちがいるAブロックですが、次いで多いのがGブロックなので)


 私は、この私の勘が外れていてほしい、と願いながら、その時にかかってきたライザからの電話に出て、これから開催されるPvPイベントの打ち合わせや準備に取り掛かりました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る