第七章:ファーマーと花鳥風月のPvPイベント
第245話(第七章第0話) とあるチャットのやり取り
~~~~ 現実のとあるチャット ~~~~
八月十七日
( いま、いい? >
< 大丈夫っすよ )
< どうしたんすか? )
( えっとね >
( こんどGOでイベントがあるじゃん? >
( けど、どうも一人じゃダメみたいなんだよね…… >
( だからいっしょに出てくれないかな? ってお誘い >
< …… )
( しおり? >
< それ、僕たちのとこにも連絡来たんすよね )
< 「最低でも三人以上のパーティじゃないと次のイベントには出られない」 )
< って運営から )
( パーティバーサスパーティでPvPって紛らわしいよね? >
( ま、それは置いといて >
( 組まない? パーティ >
< ……ちょっと
( うん! よろしく! >
・
・
・
・
・
< 了承得たっす )
< 「私もイベントに参加したいから期間限定で仕方なく受け入れてやる」って )
( ……あはは >
( 相変わらず僕には冷たいね、
( でも、ありがとー! >
( これで僕もイベントに参加できるね! >
( しおり大好き! >
< …… )
< ……はぁ )
( しおり? >
< ……いや、なんでもないっす )
< みっちゃんと組むことを考えてちょっと気が重くなっただけっすっから )
( そんなにいやなの!? 僕と組むの!? >
< いや、だって )
< みっちゃん、向こうじゃ超有名人じゃないっすか )
( ……そう、だね >
( でも、それがどうしたの? >
< 殺される気がするっす )
< みっちゃんのファンに )
( さすがにそんなひどいことはしないと思うよ!? >
< いや、わかんないっすよ? )
< この前だって、みっちゃんがうっかり僕の名前出しちゃった時なんか )
< 「しおりって誰だああああああああ!」 )
< 「推しに女ができたああああああああ!」 )
< ってむちゃくちゃ荒れてたじゃないっすか )
( あ >
< あの時、みっちゃん )
< 無理やり話しを切ってたけど、まだ鎮火はしてないんすよね)
< そんな状態で噂の人物がパーティ組んだりなんかしたら…… )
< 考えただけでもゾッとするっす )
( えっと >
( それに関してはほんとにごめん! >
( で、でも、しおりだってあっちの世界じゃ有名じゃん? >
( 僕の方こそ叩かれないか心配かも >
< ……大丈夫とは言いきれないっすね )
< 僕たちのファンって、「女の子同士のイチャイチャ」を見たい人たちなんで )
< そこに男が挟まったら「死ね」って言われると思うっす )
( しおりのファン、怖い! >
< 何言ってんすか? )
< 怖いのはみっちゃんのファンの方っすよ? )
< ゲーム内の街行く女の子たちに片っ端から声を掛けて君の動画を見せて )
< ファンにならなかったら散々罵倒する人たちなんすから )
( あの子たちそんなことしてたんだ…… >
( そんなことしちゃダメ! って言っておかないと……! >
< しかもファーマーに対して当たりが超きつい )
< 君がイベントで一位を取れないことへの腹いせに )
< 彼女たちのネガキャンやってる )
( 何やってるの、あの子たち!? >
( なんでファーマーに迷惑かけるようなことしちゃうかなぁ……! >
< みっちゃんが配信で彼女たちのことばっか話すからじゃ? )
( 僕のせい!? >
( 僕はただ、好きなものを共有したかっただけなのに……! >
< 行き過ぎてるんすよ )
( うう…… >
( 自重するよ >
( まだ十分の一も話せてないけど…… >
< …… )
< あれで? )
・
・
・
・
・
( 兎に角! パーティの件、よろしく! >
( いくらゲームでのしおりや烏丸くんが可愛くったって >
( 僕は君たちの現実を知ってるんだ! >
( だから絶対に僕のファンたちが危惧するようなことにはならないから! >
< …… )
< 大丈夫、にはならないと思うっす )
< みっちゃんが僕たちの現実を知ってたとしても、 )
< ファンの人たちは知らないわけで )
< どうしても火種は残っちゃうと思うんすよね )
< みっちゃんが男の子でやってて、僕たちがネカマをやってる以上 )
( うう…… >
( 僕はあの子たちが心配してるようなことには絶対ならないのになぁ…… >
( しおりとは特に >
< …… )
< この幼馴染は…… )
( どうすればファンの子たちに受け入れてもらえるかな? >
< 僕たちの本当の性別を伝えるのが手っ取り早くはあるっすけど…… )
< でもそれは、できれば避けたいんすよね…… )
( それはもちろんやらないよ! >
( あっちの世界のしおりちゃんたちは今や超人気ブロガーだもんね! >
( 本当の性別をばらしちゃったら、死活問題になっちゃうし! >
( 僕だってファンがいるんだから、 >
( その子たちの幻想を壊しちゃいけないことくらい理解してるよ! >
< ……いや、 )
< それも理由ではあるんすけど )
< 一番の問題は、阿月の心っすかね )
< それを考えると、ね…… )
( ……そうだね >
< あんまり言っちゃいけないとは思ってるんすけど )
<
( ……うん >
( 痛いほどに >
( そ、それはそうと! >
( なんでしおりはゲームで女の子をやってるのさ!? >
( 烏丸くんが女の子なのはわかるけど……! >
< ……いきなりぶっこんで来たっすね )
( いきなりじゃないでしょ!? 話の流れ的に! >
( で、どうなの!? >
< 僕が女の子をやってる理由? )
< 単純な話っすよ? )
< 阿月が僕に触れられなし触ってもらえない! って嘆いたからっす )
< このゲーム、女の子の身体に触るのにいろいろと制限がかけられてるから )
( ああ、そういう…… >
< 阿月は僕との思い出を残したかったみたいっすね )
< いっぱい写真を撮りまくってて )
< でも、なんか操作をミスったらしくて二人の写真を公開しちゃって )
< それでどういうわけか、いつの間にか人気になっちゃってたんすよね )
( 狙って人気になろうとしてたわけじゃないんだ…… >
< そうっすよ? 偶々っす )
< そっちは狙ってたんすか? )
< このゲームを始めたころ )
< 僕が一緒にやろうっていうのを断ってまでやりたかったことっすもんね? )
< あの時は何をやるかまでは教えてもらえなかったっすっけど )
( ……やってみたかったんだよ、動画配信…… >
( 現実の姿じゃアレだけど、理想の姿でなら……! って >
< 掲示板で名前が出てきて動画見たらたまげたっすよ )
< この喋り方みっちゃんじゃん、何やってんすか!? って )
( 喋り方だけで僕だってわかるなんて君、僕のこと好きすぎじゃない? >
< …… )
< まあ、とにかくできるだけ穏便にすませられる方法を考えないとダメっすね )
< ファンたちが怒り狂わないように )
( ……普通におさななじみっていうのはダメなの? >
< ダメ )
< 僕たちが君のファンに拉致られる )
( 拉致られる!? >
< ここは姉弟ってことにしておくのが無難っすかね )
( そ、そんなの通用するかな? 顔、全然違うのに…… >
< 始める時に設定で顔いじってるってことにすればなんとかなるでしょ )
( 烏丸くんも兄弟ってことに? >
< うん )
( だ、大丈夫かなぁ…… >
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