第194話(第五章第28話) 乗っ取られたギルド2

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名前:カラメル    レベル:111

種族:虹色プディン(プディン種最上位)

HP:5,400/5,400(×0.19)

MP:16,199/16,199(×0.19)

攻撃:1

防御:13,499(×0.19)

素早さ:2,701(×0.19)

器用さ:13,499(×0.19)


状態:テイムモンスター(主:コエ)

   攻撃「1」固定


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 わけがわからずにテンパっていたコエちゃん。

 ですので、カラメルの方からコエちゃんに近づいて行って自らテイムされた形です。

 私が、コエちゃんにカラメルをテイムしてもらえば外でもカラメルと一緒にいられるってことだよね!? と言ったことで。


 何故かカラメルのステータスは大幅に下がってしまいましたが、それでも、


「りゅりゅ~!」


 嬉しそうに飛び跳ねながら私の元にやってきたのです。

 それほど私といたかったの、カラメル?

 ……どうしよう。

 カラメルが今まで以上に可愛く見えてきました。


「カラメルー」

「りゅりゅ~♪」


 私はカラメルを抱え上げて頬擦りをしていました。

 カラメルも弾むような声を上げていたので嬉しかったのだと思います。



 コエちゃんがカラメルをテイムしたあとで、ライザがいろいろと説明をしてくれました。

 まず、私が気になっていたカラメルのステータスの低下について。

 『畜産』でのテイムは、テイムモンスターにあるじの影響が色濃く表れるらしく主のレベルによってステータスが変化する、とのことです。

 そのため、レベル19のコエちゃんのテイムモンスターとなったカラメルは全てのステータスに0.19倍の補正が掛けられることになってしまったのだとか。

 そのスキルを持つ農家、というより農家の職業に就ける存在であるNPCは必要となる経験値の量がプレイヤーのものよりも多く、レベルアップがしにくいそう。

 となると、カラメルのステータスが元の数値に戻るのは簡単ではない、ということになります……。

 私の発言がカラメルを厳しい立場に追いやってしまったということに責任を感じました。

 ……コエちゃんのレベルアップを全力で支えようと思います!


 それともう一つ。

 ライザは私たちに伝えてくれました。

 それは――


「それよりも気になってることがあるんですが……、



――セツとコエ、現在の状態が『かしずき』になってます。



 一人称わーがだまくらかした過去があるんで、セツはしっかりと吟味したうえで誰かを助けようとしてるとは思うんですが……」

「「え――」」


 私とコエちゃんの現在の状態について。


 私とコエちゃんの声が重なりました。

 まったく身に覚えがありません。

 それはコエちゃんも同じようで……。

 私たちの反応を見たライザが瞬時に悟りました。


「なっ!? その反応……! 知らず知らずのうちに『かしずかされてた』っつーことですか!? まずい! みんな、早く――」


 血相を変えてみんなに指示を飛ばそうとしたライザ。


 その様子を見て、私もすぐ理解しました。

 私たち二人はいつの間にか『かしずき』という状態にさせられていた……。

 聞いたことがない状態なので、恐らくなんらかのスキルによるものでしょう。

 私たちに許可もなくそんな状態にさせてきたということは、それをやった相手がいい人だとは思えません。


 ライザの指示に従おうとしていた私。

 私だけでなくマーチちゃんもクロ姉も、サクラさんたちも、そうしようとしていたように思います。

 しかし、彼女の言葉が最後まで続くことはありませんでした。



――バァアアアアン! というギルドハウスの扉が勢いよく開けられた音に遮られたために。



「おおー。これがギルドハウスってやつかー」

「チョーいいじゃんー。快適に暮らせそー」


 入口に立っていたのは、二人の人物。


 アフロみたいなボサボサ頭に目の下にすごいクマがあるガリガリにやせ細ったよれよれのジャージとサンダル姿の男性と、

 無造作に伸び切った髪にこちらもすごいクマのちょっとふくよかでところどころ汚れているジャージを着ている女性。


 二人はずかずかと私たちのギルドハウスの中に入ってきました。


「ど、どちら様……!?」

「な、何!? いきなりなんなの!?」

「え、え……っ!?」


 いきなりのことでテンパる私とマーチちゃんとパインくん。


「ちょ、ちょっと! ここはあたしたちのギルドハウスよ!? なに勝手に入ってきてるのよ!」

「……他人んち、我が物顔で歩き回んなや。流石にウケねーよ?」

「何をしに来たのですか? 私たちの誰かに用ですか?」


 警戒を露にするサクラさんとキリさんとススキさん。

 彼らの行動を見て一番強い反応を示していたのはライザで……。

 彼女は苦虫を噛み潰したような顔をしていました。

 その理由はすぐにわかることになります。


 少し不潔な感じの見た目をしている二人はしばらくギルドハウスのエントランスを見て回ったあと、中央でドカッと座り込みます。

 そして男の人が言ったのです。



「今日からここは俺たち、ペオールとフェニーのものだ! お前らは馬車馬のように働いて俺たちに貢献しろ!」



 男の人がそう宣言した直後、私たちの前にスマホの画面のようなものが表示されました。

 その内容を見て、私は、私たちは愕然としました。

 そこにはこう書かれていたからです。



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ペオールとフェニーがギルド『ラッキーファインド』に加入しました。

『ラッキーファインド』のギルドマスターがペオールに変更されました。


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 と。


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名前:ペオール    レベル:4(レベルアップまで8Exp)

種族:人       属性:水

職業:付与魔術師

HP:21/21

MP:22/22

攻撃:16

防御:16(×1.1)

素早さ:18(×0.9)

器用さ:17


スキル:『イニシアティブ』

    『パーティ上限撤廃』

    『独り占め(経験値)』


ジョブスキル:『付与魔法』


状態:『ラッキーファインド』ギルドマスター


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名前:フェニー    レベル:4(レベルアップまで8Exp)

種族:人       属性:水

職業:召喚士

HP:16/16

MP:20/20

攻撃:17

防御:16(×1.1)

素早さ:19(×0.9)

器用さ:22


スキル:『一心同体』

    『穀潰し』

    『コントラクト』


ジョブスキル:『モンスター使役』


状態:一心同体(ペオール)


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