第172話(第五章第6話) 『錬成』と『ポーション超強化』によるアップグレード
――「お姉さんは何になろうとしてるの?」
確かに、底上げしすぎている気がしないでもないです。
……ですが、私、生きていたいんですよね。
そのためにステータスを上げて、一からのやり直しにさせられる可能性があるものを排除しただけなのですが……。
マーチちゃんは私が何になろうとしてると思ったのでしょうか?
……なんか、よくないもののような気がします。
それでも。
自分がつくったポーションでステータスを高められるのは私の特権であるはず……!
以前、マーチちゃんが言ってくれたこの言葉を信じて、私は突き進むことに決めました。
つくれるのにつくっていなかった「器用さバフポーション」をつくっていた時のこと。
クロ姉が弾むように口にしました。
「できたっ」
「な、何ができたの?」
あまりにも嬉しそうにしていたので、思わず尋ねます。
するとクロ姉は、着ている装備の情報を見えるようにして教えてくれました。
「ふふん! 『錬成』で装備の特殊効果、一つに纏められた! スロット、空き、できた!」
マーチちゃんと一緒にクロ姉が表示させた画面を見てみると、そこには
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・鍛冶師の繋――鍛冶師の初期装備・耐久値∞
全地形ダメージ無効及び全地形による悪影響無視
鍛冶師専用防具
攻撃・防御・素早さアップ(×2,621.44)
(空き)
・鍛冶師のキャスケット
鍛冶師の専用防具及び鍛冶師の初期装備化(耐久値∞)
健康第一(バッドステータス無効及びデバフ無効)
(空き)
(空き)
・魔法の槌
任意属性付与(魔法攻撃化)
鍛冶師の専用武器及び鍛冶師の初期装備化(耐久値∞)
アクセサリー化(スケール自在)
(空き)
・最初の靴―――初期装備・耐久値∞
いいとこどり(全地形)
鍛冶師専用防具
MP回復歩行
(空き)
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できることが減ったわけではなさそうなのに、スキルスロットに空きができた装備の一覧が……!
クロ姉によると、名匠のジョブスキル『錬成』で同じカテゴリーに分類される特殊効果を一つに纏めることができる、とのこと。
クロ姉が付与できる特殊効果はプレイヤーが持つスキルと比べてもなんら遜色がないため、もっと多くのスキルを持つことが可能になった、と言い換えることができるかもしれません。
クロ姉、すごすぎます……!
(ちなみに、メインウエポンの方のハンマーの「鍛冶師専用武器」と「耐久値∞」も纏めていました)
クロ姉が、私たちの装備の特殊効果も纏めてくれる、と言ってくれたため、お言葉に甘えさせてもらうことに。
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(セツ)
・薬師の白衣――薬師の初期装備・耐久値∞
全地形ダメージ無効及び全地形による悪影響無視
薬師専用防具
経験値四倍
ドロップアイテム+4
・薬師のスクラブキャップ
薬師の専用防具及び薬師の初期装備化(耐久値∞)
(空き)
経験値四倍
ドロップアイテム+4
・無菌の手袋
薬師の専用防具及び薬師の初期装備化(耐久値∞)
(空き)
全敵接触可
ドロップアイテム+4
・最初の靴―――初期装備・耐久値∞
いいとこどり(全地形)
薬師専用防具
空中行動+1
ドロップアイテム+4
(マーチ)
・耐久の繋
全地形ダメージ無効及び全地形による悪影響無視
商人の専用防具及び商人の初期装備化(耐久値∞)
器用貧乏(攻撃・防御・素早さ・器用さ)
(空き)
・商人の麦わら帽子
商人の専用防具及び商人の初期装備化(耐久値∞)
(空き)
(空き)
経験値四倍
・商人のスリングショット
商人の専用武器及び商人の初期装備化(耐久値∞)
フレンドリーファイヤー設定
(空き)
(空き)
・最初の靴―――初期装備・耐久値∞
いいとこどり(全地形)
商人専用防具
(空き)
経験値四倍
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私の装備は合計で二つ、マーチちゃんの装備は合計で六つのスキルスロットの空きができました。
さらにクロ姉は、私たちが付けたい特殊効果を新しく付けてくれる、とも言ってくれましたが、今は思いつかなかったため保留にさせてもらいました。
すると、付けたい特殊効果が思いついた時にクロ姉に頼めば付与してくれることになり……。
本当にクロ姉には……いえ、クロ姉にもよくしてもらっているな、と感じました。
マーチちゃんも今のところ付けたい特殊効果は思いつかなかったみたいで、クロ姉は自分がやりたいことをし始めました。
それは、クロ姉の装備をアップグレードさせることで……。
「安全第一(バッドステータス無効及びデバフ無効)」を「無病息災(バステ+α無効及びデバフ・上書きデバフ無効)」にしているのを見て、
――私にも付与したあとの特殊効果を強化するみたいなことができないかな?
なんて漠然とした考えが頭の中に浮かんできたのです。
私はつくった器用さバフポーションL(Lv:3)を飲んでから、身体の中に意識を集中させました。
そして、器用さバフポーションの性能を上げるためにジョブスキルを使ってみると――
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器用さ:747,646,710(×1.1)(×2,684,355.56)
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……上げることができてしまいました。
(『ポーション昇華』が『ポーション超強化』になっているため品質を一気に高めることが可能になっていましたので、防御に合わせてレジェンドレベル11になるように設定していました)
(ちなみに、器用さバフポーションをレジェンドレベル11まで昇華するのに消費したMPは「128」です)
私がつくった薬は身体の中に入っても存在し続ける、という仕様が服用後でも品質を上げられるという芸当を可能にしたみたいです。
これはできることがかなり多くなるのでは? って、すごく嬉しくなっていたのですが、その私の顔をマーチちゃんに見られていました。
「……お姉さん。今、何したの?」
「へ? ……っ!?」
マーチちゃんに聞かれました。
パーティなので、私ができることを知らせておいた方がいいのでしょう。
いいのでしょうが……。
私は言い淀みました。
マーチちゃんの目が、ジトッとしたものになっていたからです。
これを伝えたら厳しい言葉をぶつけられる……、そんな予感がひしひしとしました。
それでもマーチちゃんに隠し事はできなくて、私は正直に打ち明けました。
「えっと、その……。私、身体の中に入ったあとのポーションでも品質を上げられるみたいで……」
そう白状して、マーチちゃんに私のステータスを見せると、
「……魔王なの。GGZの魔王がいるの」
……案の定、辛辣な言葉が私の耳に届きました。
マーチちゃん……。
――魔王はないんじゃないかな!?
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