第156話(第四章第29話) 第六層のエリアボス

 まだ時間があったため、行けるところまで行こう! ということで、第六層氷雪エリアのダンジョン4「リスセフの氷の宮殿」へ。



 ちなみに、第六層の街は「ツルツルの街」と言って、雪が降り積もっている街でした。

 建物はログハウスのような見た目をしていて、北方の国のような印象を受けました。

 あっ、この街にも広場に噴水があったのですが、水が出ている状態で凍っていました。

 ファンタジーです。


 宿代は9,000Gになっていました。

 第一層の街の宿の三倍です。


 武器屋さんの装備は一つ10,035,200Gで


 攻撃、防御、素早さ、器用さのうち二つを16%、残りの二つを4%上げられるものと、

 HPとMPを「8」ずつ上げられるもの


 が置いてありました。

 あと、凍っている地面に滑らずに乗ることができるようになるという「ノンスリップスパイク」が627,200G。


 道具屋さんにはエピック品質のMP回復ポーション、防御バフポーション、防御デバフポーション、麻痺薬が置かれるように。

 それと、攻撃デバフ耐性ポーション、防御デバフ耐性ポーション、猛毒耐性ポーション、麻痺耐性ポーションのレア品質のものも置かれていました。

 有効期限が四分間という制限は変わっていませんが、厄介なデバフや状態異常を16%の確率で防ぐことが可能になっていますので、コモン品質のものよりは大分使えるようになっていると思います。

(このアイテムも四つまで重ね掛けをすることができるみたいなので最大で64%の確率でレジストできる、とライザが言っていましたから)

 ……いつか耐性系のポーションもつくれるようになるのかな?



 それはさておき。

 「リスセフの氷の宮殿」ダンジョンに到着しました。

 南アジアにある世界遺産を彷彿とさせる造りです。

 中も広い……。

 アーチ形の天井にシャンデリア、何本も立てられている柱……。

 それらも全て氷でできていました。


 そこにいたのは防寒着を着込んだリスセフです。

 第五層にいたスクオスみたいに状態異常にする攻撃を多用してきました。

 スクオスは猛毒でしたが、リスセフがしてくるのは麻痺。

 私は動きを止められてしまって、本当に厄介でした。

 第二層のエリアボスのことが頭を過りました。

 ……もう、寒いなら無理してここにいなくてもいいのに……。

(敵は私が動けなくなっている間にみんなが倒してくれています)


 第六層のダンジョンは24階構造とのとこで、第五層にもあったモンスターフロアが12階にある、とライザが知らせてくれました。

 そのことを頭に入れて、私たちは氷のダンジョンを進んでいきました。

 と言っても、このダンジョンで多用されていたギミックは「スパイク」を履いていても乗ると強制的に壁まで直進させられる氷の床、だったのですが、それはクロ姉が付けてくれた特殊効果「いいとこどり」が完全に打ち破っていて……。

 マーチちゃんがちょっとつまらなさそうにしていました。


 12階のモンスターフロアですが、もうめちゃくちゃでした……。

 リスセフが80体ほど出てきて麻痺の連鎖……。

 四秒止められて、動けるようになったらまた掛けられるんです……。

 麻痺耐性ポーションを買っておけばよかった……! と、正直思いました。

 このリスセフの軍勢に耐性ポーションなしで敵う人はいるのか? という疑問が湧いてきましたが、そういう人たちは案外近くにいて……。


 徹底的に回避するライザと、装備で無効化しているクロ姉。

 あと、マーチちゃんは私を盾にして麻痺攻撃から逃げ、弾を乱射していました。

(特殊効果の「フレンドリーファイヤー設定」のおかげで味方には当たらないため)


 一応、それを行う前に、やってもいい? と聞かれていてOKしています。

 マーチちゃんの役に立てたからいいのですが、こういうのって「肉壁」って言うんでしたっけ?

 もうちょっといい名前つけられなかったんですかね……?

 そんなこんなでモンスターフロア制圧です。


 滑る床を滑らない装備で突き進んで。

(氷のブロックを押して特定の場所に配置し、壁ではなくブロックに止めてもらう、というギミックが出てきたのですが、クロ姉作の装備の性能がよすぎてブロックを動かす必要もなく……)


 23階のボス部屋には五体の錫オートマがいたので戦って。

(床に張っている氷が四秒間動かずにいたプレイヤーの足まで凍り付かせる仕様だったみたいですが、みんな、動いていたのでその仕様を見ることはなく……)

(ちなみに、ライザによると、戦闘が終わったり、戦闘から離脱すると動けるようになるそう)



 私たちは24階、エリアボス前の間まで辿り着きました。


 いつものように作戦会議です。

 ライザからの情報では、リスセフは強くなると、


 素早さバフ

 器用さデバフ

 麻痺無効

 麻痺付与

 素早さデバフ無効

 器用さバフキャンセル

 HP回復魔法

 器用さバフ、防御デバフ、猛毒無効、猛毒付与、器用さデバフ無効、防御バフキャンセル、復活魔法

 回避

 残像

 暗闇無効

 暗闇付与

 分身

 デバフの上書き(器用さ)

 オートヒール

 防御バフ、幻惑無効、幻惑付与、防御デバフ無効、状態異常回復

 自動追尾、防御貫通、忘却無効、忘却付与、必中、デバフの上書き(防御)、オートリバイバル


 を覚えるのだとか。

 それを踏まえてエリアボス戦、開始です。



……………………



 勝ちました。


 エリアボスは毒々しい見た目をしたリスセフで、リスセフ系統が得意としている麻痺を付与してくるだけでなく猛毒まで浴びせてくる敵でした。

 厚着リスセフを従えていましたが、その数は四体。

 部下を5、60体引き連れていた第五層のボススクオスとは雲泥の差です。

 部下を従えているということは、復活魔法が使えるものと考えられます。

 ですから私は、リスセフの対処をライザとクロ姉にお願いして、ボスリスセフに突っ込んでいきました。

 ボスリスセフは私を麻痺で止め、追加で猛毒にもしてきました。

 動けなくなった私。

 ですが、私は何も一人で特攻していたわけではありません。



――私の身体をすり抜けてボスリスセフ目がけて飛んでいく魔石の弾。



 私の後ろにマーチちゃんがぴったりとついてきていたのです。

 マーチちゃんが放った弾が顔面に当たって悶えるボスリスセフ。

 その間に私の麻痺は解け、ボスに接近。

 掴んで投げ飛ばしました。


 これで第六層のエリアボス戦は終了しました。



 エリアボス戦は終了したのですが……。


 作戦が上手く決まってマーチちゃんとハイタッチをして喜びあっている時でした。



――光のゲートの向こう側から、人影がこっちに向かってきているのを見たのは。





~~~~ サクラ視点 ~~~~



 第二層のエリアボスを倒したのが現実では深夜だったから、あたしはあの子たちにメッセージを送ってログアウトした。


 送った内容は――「23日③の0時に第三層の宿屋受付まで来てほしい」。


 その時にあたしは、あの子たちに全てを話すんだ……!



……………………



 時間が経って夕方。

 あたしは宿屋の受付で待っていた。

 時刻は②の22時22分。

 気持ちが急いて一時間半も早く来ちゃった……。

 ちょっと精神を落ち着かせよう。



 ……。

 今、何時かな?

 なかなか緊張が解けなかったから瞑想してたら時間がわかんなくなっちゃってた……。

 メニュー画面を開いてみると



――③00時04分



「時間過ぎてる!?」


 あたしは慌てて辺りを見渡した。

 人は数人いたけれど、あの子たちの姿はなかった。

 ……よかった、待たせちゃってたら悪いし――



「――いや、よくないよ!? なんで来てくれないの!?」

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