第147話(第四章第20話) 二回目のお宝探し2
『アホクビ砂丘 5階南側にある「砂の城」』
『タチシェスサボテンパーク 6階西側の枯れたサボテン』
『スクオスの夜砂漠 7階北側にあるミステリーサークルの中心』
『リスセフ遺跡 5階東側・6階にある聖水の祠の裏から行く』
今回の地図も、前回もらった第一層の宝の地図のようにヒントも記されていました。
なので、それを頼りに私たちは最初に「アホクビ砂丘」の5階に向かいました。
マーチちゃんの、まずは自分たちで考えたい、という要望があったため、答えを言わないようにしていたライザ。
ですが、ものすごく言いたそうに口を開いては何も言わずに閉じる、という行為を繰り返していました。
砂の丘をいくつか越えて、「アホクビ砂丘」5階南側に着いた私たちは手分けをして地図に反応しそうな場所を探し始めます。
ライザが動いたらすぐに判明してしまうため、彼女だけはその場で待機ということになってしまったのですが……。
私は砂しかないような場所を歩き回りましたが、何も見つけられませんでした。
砂の中に魔法陣が隠されていないか、も地図を持って確認したのですが、反応はなく……。
これはライザを頼らないと探し出せないのではないか? そんなふうに感じ始めていたところ、マーチちゃんの声が響いてきました。
「お姉さん、クロ! 気になるものを発見したの!」
急いでマーチちゃんの元に駆けつけると、彼女はしゃがみ込み、地面の砂を手で退けていました(装備のおかげで熱さは感じていないそうです)。
その手元には「凸」みたいな、一番下の横線がないマークが刻まれた一辺が四十センチほどの石でできたタイルがあって。
明らかに何か反応しそうです。
見つけたのはマーチちゃんなので、彼女に地図を渡します。
タイルの上に地図を置いたマーチちゃん。
すると、そのタイルが淡く輝きだしました。
直後、大きな音を響かせて――
――ゴゴゴゴッ、パサーンッ!
私たちの前に、砂に埋もれていたのかせり上がる感じでそれは姿を現しました。
――大きな砂のお城が!
お城は洋風で、細部までつくり込まれている印象を受けます。
中に入れるようだったので入ってみると、広くて天井が高いエントランスが私たちを出迎えました。
ただ、出迎えてくれたのはそれだけではなかったのですが。
私たち四人が全員お城の中に入ると出入口は閉ざされ、四体の砂で形づくられたアホクビみたいなモンスターが出現したのです。
それらが一斉にマーチちゃん目がけて飛んできたため、私はその一体を掴んで地面へと投げ飛ばしました。
別の個体を一体巻き込んでいたため、残りは二体――になるはずだったのですが……。
「え――っ」
――私が攻撃して砂になったモンスターが再びモンスターの形を成したのです……!
それも、倒した二体が合体したのか大きな一体のモンスターになっていて……。
予期していなかった展開に固まってしまった私。
そんな私にアホクビみたいなモンスターたちは狙いを定めました。
私は、兎に角倒さないと……! と応戦するつもりで構えましたが、ライザに一喝されます。
「やめてください! あれはスナノアホクビっつーモンスターで、『超速再生(地)』っつー特殊効果を持ってやがります! セツや
「ええっ!?」
倒しても倒しても復活する敵……!?
しかも、ただ復活するだけじゃなくて強くなって復活するとか……!
このライザの説明を受けて、私はスナノアホクビたちによる攻撃を迎え撃つのではなく、回避することにしました。
避けることはさほど難しくなかったのですが、倒せないというのが厄介で……。
私はライザに助けを求めました。
「ラ、ライザさん! そんなの、どうやって倒せば……!」
私にはどうすればこのモンスターに勝てるのか、そのプランが一つも思い浮かびませんでした。
ですが、ライザはすぐにマーチちゃんとクロ姉に指示を出していて。
「マーチ! 弾は青系の魔石を使ってください! クロ! 『魔法の槌』に水を纏わせてください!」
……流石です。
マーチちゃんとクロ姉がライザの指示通りに行ったことでスナノアホクビは固まり、さらさらと砂に戻ることはなくなりました。
マーチちゃんが射た青系の魔石の弾や、水を纏わせたクロ姉のハンマーによって小さい方の二体が黒い粒子となって消えていきます。
一度固められたスナノアホクビは私でも倒すことが可能になっていました。
四体のスナノアホクビを倒しきると、
――ゴトッ
という心を沸き立たせる音が……!
音のした方に視線を向けてみると、そこにはさっきまでなかった宝箱が存在していました!
ライザが開けて中身を取り出して私たちに見せてくれます。
入っていたのは『パワーアップの秘玉(ジョブ)』でした。
========
パワーアップの秘玉(ジョブ)……ジョブの秘めた力を解放するために必要な秘玉。
条件を満たしているプレイヤーに使うとジョブが
パワーアップする。
========
ライザによると、ここに記されている「条件」とは、
『レベルが「1,111」に達していること』
『ジョブスキルのクラスが「L」に達していること』
この二つなのだそう。
確かにこれでは、レベルを上げられないライザには使えないかもしれません……。
『パワーアップの秘玉(ジョブ)』をマーチちゃんが増やしてくれたので、私たちは早速使ってみようとしました。
ですがその時、ライザによってストップがかけられます。
「ボクとお姉さん、条件を満たしているみたいだし、使ってみるの!」
「あっ! そうだね――」
「ちょっ!? 待ってください! 使うのは宝探しが終わってからの方がいいです! 特にマーチは! セツの方は使ってもなんとかならねぇこともねぇんですが、マーチの方は使ったらどうにもならなくなります……!」
「え、えっと、ライザさん? どうして……」
どうして止めたのか、その理由を尋ねると、彼女は知らせてくれました。
「……それ、使ったらレベル1になりやがるんですよ」
「ふぇっ!? ……ええー……っ」
何? その仕様……。
というわけで。
先にお宝探しを済ませてしまおう、ということになりました。
……………………
「タチシェスサボテンパーク」6階西側にて。
枯れたサボテンを見つけてそれに猛毒薬を使用して消したら、そのサボテンがあった場所に転移の魔法陣ができて。
(隠し部屋に通じるものに似たギミックのものがあって、そちらは聖水を必要としたため、一度聖水を使ってしまっています)
(なんの変化もなくて戸惑っていた私たちを見かねて、ライザが、蘇らせるんじゃなくて消滅させるんです、とヒントをくれたので解けました)
移動したどこかの地下のような石造りの空間でサボテンタチシェスを倒したら宝箱が出ました。
(とげとげした敵でしたが、装備のおかげで苦戦はしませんでした)
中身は『ヒックリカエ草』という使うと一定時間バフ・デバフの効果を反転させるアイテムでした。
「スクオスの夜砂漠」7階北側。
ミステリーサークルの中心に立つと、空飛ぶ円盤のようなものが現れて私たちはその中に吸い込まれました。
見えない敵・クリアスクオスとの戦闘になりましたが、見えないだけで普通に攻撃は通りました(ライザが倒しています)。
宝箱が出てきて開けてみると、中には『神の糸』という素材アイテムが入っていました。
残すは「リスセフ遺跡」です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます