第142話(第四章第17話) 久しぶりの経験値稼ぎ4
隠し部屋でのレベルアップを断念した私たちは上を目指すことにしました。
ここから9階上ったところにボス部屋があるためです。
11階まで来たのだからこのまま帰るよりは上がった方が効率的なのではないか、ということで話は纏まりました。
雲のリフト、風、雷、雨、霧といったギミックを乗り越えて19階の
私たちはレベルアップもしていましたし、クロ姉がつくってくれた装備のおかげで早く移動することができるようになっていましたから、一日でここまで来ることができました。
流石に、これからボス戦を行う時間は残っていませんでしたが……。
(ボス部屋前の安全地帯でログアウトしなければいけなくなったと理解した時のライザの顔が忘れられません)
……………………
というわけで、明けて土曜日。
この日は、私は学校があったのでログインできたのは午後五時を過ぎてからです。
ちなみに、クロ姉も私が学校に行っている時間帯に合わせてバイトを入れていたとのことで、みんなで集まれたのは夕方からでした。
(ログインした時、ライザがものすごく安堵した様子だったのが印象的でした)
早速プディンの巣に挑戦しよう、とボス部屋に向かった私たち。
(階段を上ろうとすると、雲に覆われてそれが壁になって通れなくなり、右側にあった雲の壁の一部分に人が通れるほどの丸い穴が開きました)
ですが、そこにいたのはプディンではありませんでした。
今の私と同じくらいの背丈がある金の土偶のようなモンスターが三体、そこにいたのです。
ライザによるとそれは、金オートマという名前なのだとか。
オートマはプディンと比べると耐久が高く、それと金オートマは『猛毒耐性100%』、『猛毒魔法使用可』、『防御デバフ魔法使用可』、『器用さバフ魔法使用可』の特殊効果を有しているそうです。
私がつくれる猛毒薬では耐性を下げることができないため『猛毒耐性100%』というのは『猛毒無効』とあまり変わらないでしょう……。
……折角つくったのに。
……スキルの使用回数を増やせるって思ってたのに。
投げて倒しました。
それから、ボス連戦開始です。
(ライザはログアウトアンドログインを行うことに抵抗がある感じだったため最上階で待機してもらうことに)
金オートマも最初は三体で登場し、その数と三回戦うと黒金オートマというモンスターが出てきました。
黒金オートマ戦を経ると金オートマの数が二体増えて五体に。
金オートマ五体と三回戦うと、二体の黒金オートマとの戦いに――といった感じで、増え方はどうやら第一層「スクオスの森」のボス部屋でログアウトアンドログインをした時と同じみたいでした。
ボス連戦の20回目で四体の黒金オートマ戦に勝利した直後、漆黒金玉オートマが現れて。
41回目からは敵の数が分けられ、一度倒しきってもまたモンスターを出現させられ、それを倒しきらないと閉ざされたゲートを開けてもらえなくなって。
81回目からはそれが二回繰り返されるようになって。
そうして99回目。
クロ姉は二つの槌でモンスターを打ち払い、マーチちゃんが援護射撃をし、私がモンスターを投げて、合計55体の金オートマ戦に無事勝利しました。
ここまではスムーズにくることができていました。
ただ、次は100戦目。
……予想ですが、オートマも虹色になりそうな気がします。
ライザに一度確認しに行ったところ、彼女のスキルでつくられたマップ上にその敵がまだ存在していなかったことと、「虹色オートマ」で「検索」してもヒットしなかったことで情報は得られませんでした。
私は一瞬、オートマの虹色バージョンは存在しないということ? と解釈してホッとしてしまいそうになりましたが、すぐに考えを改めさせられます。
ライザが、「虹色オートマ」っつー名前じゃねぇのかもしれませんね、と言ったことで。
ライザの『アナライズ』の「検索機能」は、正確に打ち込まないと調べられないというちょっと融通が利かない部分があったのです。
私は悩みました。
マーチちゃんたちを危険にさらしたくはないため、ここで「帰還の笛」を使って街に戻るか、まだ100階に必ず虹プディンクラスのモンスターが出てくると決まったわけではないので経験値を取得しに行くか……。
私がうーん、うーんと唸っていると、ライザからこんな提案をされました。
「今までは三段階上の上位種四体と戦ったあとに虹の奴が現れて連戦になってたんですよね? で、虹の奴との戦いの時に『帰還の笛』は使えた、と……。だったら、
――漆黒金玉四体だけ倒して、虹の奴を出す前に『帰還の笛』使って帰っちゃえばいいんじゃねぇですか?」
と。
その発想は私にはありませんでした。
経験値だけもらって危険は回避する、とか……。
待機している虹のモンスターにはちょっと、ほんの少しだけ申し訳ない気がしないでもないですが、それが一番理にかなっていると思います。
私、マーチちゃん、クロ姉はライザのその案でいくことにしました。
100回目のボス戦。
出現したのは想定していた通り漆黒金玉オートマでした。
マーチちゃんによる一射で先制攻撃をして、怯んだ個体を別の一体に向けて投げ飛ばします。
残り二体のオートマがマーチちゃんに狙いを定めますが、それらの足止めをしてくれるクロ姉。
すかさず一体を投げ飛ばし、一体を巻き添えにして戦闘は終了、ゲートが開きました。
ゲートは出るように誘ってきていますが、この流れでいくとボス部屋を出ようとしたら虹プディンクラスのモンスターが出てくるのは私の中では確定の演出だっため、私たちは話し合っていた通りに「帰還の笛」を使いました。
何かしらの妨害を受けて転移できないこともあるのではないか? と危惧していましたが、無事に街まで帰ることができてよかったです。
ライザもすぐに帰ってきました。
少し休憩を挟んで。
私たちはまた「スクオスの天空城」に向かいました。
ライザが、セツが新しい薬のレシピを覚えるまでは続けたい、と言っていて、私はまだ新しいレシピを覚えていませんでしたから。
道中もスクオスを発見したため「経験値16倍の砂時計」を使いましたが、10体ほどしか狩れませんでした。
出てきてほしい時に出てこないものですね……。
モンスターフロアに到着してスクオスを倒しきると、マーチちゃんがログアウトしなければいけない時間が迫ってきていました。
ですので、この日の冒険はこれで終わりました。
(モンスターフロアは、そこにいる全てのモンスターを倒すと
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます