第136話(第四章第11話) イベントダンジョンを踏破せよ5(それぞれのラストスパート)

~~~~ マーチ視点 ~~~~



 50階のモンスターフロアはお金にものを言わせて制圧した。

 普段だったらあんな戦い方は絶対にしないのだけど、このイベントでは自分一人の力でどうにかしなければいけないし、時間もあまり掛けられなかったから。



 51階から60階までで使ったのは5,200万G。

 「切り替えのスイッチ」はほぼ直感で操作してたけど、あまり時間をかけずに階段に着くことができていた。

 六つあった宝箱の中身は戦闘スタイル別の遠距離用の武器が四つと、30個の白い魔石が入ったものが二つだった。


 炎の魔法を連発してくる60階の中ボスには、器用さを上げるのに充てていたお金を攻撃に回すことで対応した。



 61階から70階までで使ったのは6,800万G。

 本物の鍵とダミーの鍵を見分けるのは難しかったけれど、形が微妙に違うのに気づけてからはそれほど迷うこともなくなった。

 七つあった宝箱のうち、四つは魔法職のタイプ別(攻撃、援護、回復、召喚)の武器で、残りの三つはHP回復ポーション、MP回復ポーション、状態回復薬だった。


 70階の中ボスは移動したあとに水溜りをつくるモンスターだったけれど、遠距離攻撃が主軸のボクには関係なかった。

 攻撃と素早さを重点的に上げていたため、速く倒すことができた。



 71階から80階までで使ったのは7,600万G。

 「暗証番号」のヒントがフロア内のところどころに書かれていて、それを解いてドアを開けるという仕掛けだった。

 空間が広くなってたからヒントを探すのが手間だったけど、問題はそんなに難しくなかったから時間はそんなにかかっていない。

 八つあった宝箱の中身は全て白い魔石だった。

 運営……。


 80階の中ボスは機械化した骨というよくわからないモンスターだった。

 腕に擲弾てきだん発射筒のようなものが付けられていて、そこから禍々しい色の弾を射出してきた。

 弾のスピードはそんなに速くなかったから避けようとしたのだけれど……。


「な――っ!?」


 その弾はボクを追ってきた。



~~~~ クロ視点 ~~~~



 38階まで「暗証番号」を入力しないで突破する。

 時間はかなり短縮できたはず。

 相変わらず宝箱の中身はショボかった。


 40階の中ボスにも苦戦はしなかった。

 ただ、ショートカットをしてる分、レベルの上がりが緩やかになってきてるのが気懸かり。



 41階からは「落とし穴」があった。

 何回か落ちてしまった。

 不覚。

 全部「鍵」とか「暗証番号」とかだったらよかったのに……。

 ここ、攻略するの、時間かかった。


 50階の大量のモンスター戦はそうでもなかったけど。

 二つ持ってるハンマーを振り回すだけで終わった。

 これ、気持ちいい。

 次の階からこれだけでもいいと思う。



 ……そうはならなかった。

 けど、「スイッチ」がまた来た。

 壊して進んだ。


 60階の中ボスも問題なし。

 火の魔法もろとも水を纏わせたハンマーで粉砕。

 ふふん、なんかちょっと愉快。



 大量のモンスター戦を待望。

 だけど、大量のモンスター戦、来ない。


 「鍵」が復活した。

 壊して進んだ。

 この先に階段があるってわかるの、すごく楽。


 70階の中ボス、床を水浸しにする。

 たぶん、足元をおぼつかなくさせて動きを鈍らせる作戦。

 でも、私にはこれがある。

 「全地形ダメージ無効及び全地形悪影響無視」。

 脚が取られても動きが鈍くなる心配はない。

 作戦が失敗に終わったとわかった時のボスの顔。

 ……あれはかなり愉快。


 叩きのめした。



 大量のモンスター戦は……来ない。


 今度は「暗証番号」が再登場。

 壊した。

 階段の位置、知らせてくれてご苦労。

 

 80階の中ボス、追尾攻撃が厄介だった。

 でも、弾はハンマーで打ち落とせたから被ダメはなかった。

 中ボスの骨、私にデバフやバステをかけようとしてた。

 それ、私にはどっちも効かない。

 装備で対策してる。

 だから、私の独擅場どくせんじょう

 ……レベルが低かったからか、ちょっと時間がかかったけど。



 81階から出てきたのは「転移の魔法陣」。

 乗るとこのダンジョンのどこかに飛ばされるらしい。

 けど、乗らないと壁に囲まれた空間にある階段に辿り着けない。

 嫌らしい設計。

 ……まあ、私は壊したけど。


 90階の中ボスは辺りを暗くしてくる骨だった。

 装備の特殊効果で無効化できるって考えてたけど、甘かった。

 これ、特殊な魔法だ……。

 今の装備じゃ、この悪影響を防げない。

 どうしよう……。



~~~~ ライザ視点 ~~~~



 11階から「スイッチ」のギミックが登場しましたが、最短距離で移動することに変わりはありません。


 20階の中ボス・フロートスパルトン。

 相手のHPは「282」だったんで、上に乗って高速足踏みをして「272」削ります。

 あとはヒットアンドアウェイで倒しました。


 21階から登場した「鍵」。

 持ってる奴はマップのアイコンを見ればわかるんで一直線にそいつの元まで行って速攻で倒し、「鍵」を入手して今度はドアまで一直線です。

 「鍵」を持ってねぇ奴は無視です。


 30階の中ボス・アームズスパルトン。

 HPは「622」。

 高速足踏みとヒットアンドアウェイ戦法を掛け合わせて三回で倒しきりました。


 31階からは「暗証番号」が登場。

 「視れ」ば番号がわかるんで、どこかに書いてあるものを見に行く必要はありません。


 40階の中ボス・スパルトンウィッチ。

 HP:1,098。

 高速足踏み五回で撃破。


 41階から出てきた「落とし穴」。

 マップ見りゃあわかるんで、わざわざ落ちてやる義理はありません。

 階段の位置も把握してるんで、壁のヒントは一人称わーには不要です。


 50階、モンスターフロア。

 HP:690のフロートスパルトン70体とのバトルです。

 こんなの、セツ以外が圧倒できる気がしねぇです。

 ……いいえ、うちのパーティは三人とも規格外なんで瞬殺できてそうですね。

 わーも後れを取らねぇようにしねぇと!

 『アナライズ+』をフルに活用して相手の攻撃が届かない安全な位置を確保しつつのヒットアンドアウェイや、素早さを活かして相手のフレンドリーファイヤーを狙って数を減らしていきました。

 ……これ、素早さがあったから思ったよりも早く片付きましたが、素早さがなかったらどれだけ時間がかかっていたんでしょう?

(そもそもわーに素早さがなかったらここまで来れていませんが)


 51階からは「切り替えスイッチ」。

 どのように切り替えれば最短で階段まで行けるのかがわかりますから、そんなに時間はかかりません。


 60階の中ボス・パイロマスター(スパルトン)。

 HP:2,050。

 高速足踏み八回。


 61階からの「四種の鍵」。

 21階から28階までとやることは大差なし。


 70階の中ボス・ディフェンドスパルトン。

 HP:3,342。

 高速足踏み十五回。


 71階から「バラバラの暗証番号」。

 31階から38階までとやることは同じ。


 80階の中ボス・メカニカルスパルトン。

 HP:4,906。

 高速足踏み十九回。


 81階から「転移の魔法陣」。

 どこに繋がっているのか、マップでわかるんで転移する回数は最小限に抑える。


 90階の中ボス・ダークネススパルトン。

 HP:6,742。

 高速足踏み二十五回。

(暗闇魔法は『アナライズ+』があるんで効きません)


 91階から94階まではただ広い空間でした。

 ですが、95階。

 『アナライズ+』で知ってましたが、そこにいたのは



――HP:5,824のディフェンドスパルトン133体。



「マジでいい加減にしろよ、運営!」


 ……これが叫ばずにいられるかってんですよ。

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