第134話(第四章第9話) イベントダンジョンを踏破せよ3(マーチの場合)
~~~~ マーチ視点 ~~~~
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名前:マーチ レベル:1(レベルアップまで4Exp)
職業:商人(生産系)
HP:11/11
MP:345,542/10
攻撃:10(×0.9)
防御:11
素早さ:10
器用さ:13(×1.1)
所持金119,515,728,170G
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……えぐい!
えぐすぎるの!
レベルが1になってしまった……!
(MPが上限突破してるのはアイテムや装備を強化するための素材を増やすのに足らなかったからまたMP回復ポーションを飲んだためなのだけど)
攻撃力の低下は痛い……。
耐久の低下は致命的……っ。
けど、それよりもボクの頭を抱えさせたのは――
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マーチの所持アイテム一覧
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……これなの。
準備してた『商人のスリングショット』の弾が一つもない。
なにこれ……。
持ち物なしでどうしろっていうの?
生産職は、商人はイベントに参加するな――とでも言われてるみたい……。
ボクはしばらくの間、その場に立ち尽くしていた。
少し前までのボクならこれで詰んでいたと思うのだけど、今のボクには取れる手段がないわけじゃない。
クロに頼んでつくってもらったものがあるから。
――特殊効果「器用貧乏」がついた四点の装備
ちゃんと買い取ってるから、これは
(ボクが装備をもらうのではなく買い取ったら、何故かお姉さんまでボクに倣ってたけど)
確認したところ、お金は没収されてなかったからこの効果は使えるはず。
……でも、あんまり頼りたくはない。
だって、なんか感じ悪いのだもの。
「器用貧乏」――払った金額に応じて四分間だけ記してあるステータスを上げられる(100Gにつき1%上昇)
……完全にお金にものを言わしてるの、これ。
商人はお金を得やすいから理にかなってる効果だとは思うのだけれど……。
ちょっと抵抗を感じてたら、角からモンスターが現れた。
骸骨のモンスター。
あれが「運営」が言ってたEダンジョン限定モンスター・スパルトンなの?
ここが最初のフロアってことを考えると、弱い敵を配置しているはず……。
ボクは意を決して、合計400万Gを装備につぎ込んでステータスを強化した。
100万Gを払えばステータスに100倍の数値がプラスされる。
1,000を超した素早さで近づいて、同じく1,000を上回らせた攻撃力で蹴り飛ばした。
スパルトンは反応できずに壁に衝突、黒い粒子になって消えていく。
……よかった。
ちゃんと戦えてるの。
クロが付与してくれた「経験値四倍」の特殊効果(×2)のおかげでレベルも二つ上がった。
ふと思った。
クロがつくった装備、性能よすぎじゃない? って。
クロのスキル、プレイヤーのスキル(疑似的ではあるけど)を増やすスキルだと言っても過言ではない気がするの……。
なんて感想を抱いていたら、モンスターが完全に消えていて、それがいた場所には白い魔石が落ちていた。
いけない!
タイムアタックの途中だったの!
ボクは魔石を拾って、階段を目指した。
「器用貧乏」の効果が切れるまでに可能な限り敵を見つけて倒す。
白い魔石を増やせたので基本、遠距離攻撃で仕留めていった。
相手が強くなったら「器用貧乏」を重ね掛けしたりして。
10階の中ボスは一つのステータスに200万G分の強化がかかっている状態で倒した。
その時のレベルは15(レベルアップまで10Exp)だった。
階数よりもレベルが上がっていたのだけれど、商人は弱いから「器用貧乏」を頼ることにした。
11階から20階までは「器用貧乏」を一つのステータスに300万G分使った。
階段までの道を塞いでいる壁を開くための「スイッチ」を探すのは割と早く見つけられたのだけど、フロアが広くなってたのと敵の数が増えたのがワンフロアに掛ける時間を長くする要因になっていた。
あと宝箱に入ってた装備――「全ステータス+4」の服と「全ステータス+4%」の靴。
クロがつくった方がいいものができそうだったけど一応もらっておいた。
20階の中ボスを倒したら34レベル(レベルアップまで328Exp)になった。
21階から30階までに使った金額は一つのステータスに500万G分。
次の階へ行くには「鍵」が必要だったのだけどそれはモンスターが持っていて、モンスターは全部倒してたからやることが増えるわけじゃなかった。
宝箱に白い魔石が入っていたのはボクとしては弾が増えるから地味に嬉しい。
30階の中ボスも先手必勝で倒した(弾は二発必要としたけど連射した)。
この時のレベルは52(レベルアップまで406Exp)。
HPも防御も上がって一撃でやられる心配はなくなったので素早さにリソースを割くことに決めた。
31階から40階までに使った金額は攻撃と器用さに700万G、素早さに1,400万G。
次の階に進むのに必要になる「暗証番号」……。
カメラ機能を使えばいいから下手をすると「スイッチ」より楽なの。
……あれ?
お姉さん、カメラ機能のこと知ってたっけ?
なんか、苦戦していそうな気がするの……。
四つの宝箱の中身は頭防具とアクセサリー、残り二つは白い魔石だった。
ボクはいいけど、白い魔石を宝箱に入れるのって苦情が来るのでは?
40階の中ボスは黒いローブを着た骸骨だった。
三発くらい魔石の弾を使ったけど、こっちの方が素早さが遥かに上だったから圧勝できた。
レベルは70(レベルアップまで68Exp)。
41階から50階までに合計4,400万G使用した。
ここでのギミックは「落とし穴」だった。
嵌まると強制的に一つ下の階に戻されるの。
倒したモンスターも階を移動するごとに復活する仕様みたい。
ボクは四回も「落とし穴」に落ちてしまった。
(ちなみに、ここで登場する敵は浮いてるから落ちない)
その分、レベルは上がったのだけれど……。
(49階の時点でレベル96≪レベルアップまで1,146Exp≫)
五つあった宝箱の中身は戦闘スタイル別(斬撃・突撃・打撃・防御)の近距離用の武器が四つ。
それらはボクには扱えないからしまっておいた。
あともう一つはMP回復ポーション。
これはありがたく頂戴した。
そしてボクは50階に差し掛かる。
「運営」が注意を促していた特別なフロアの一つへと。
その階に到着すると上ってきた階段は消えた。
直後、現れる
――100はいそうなモンスターの群れ。
それはモンスターハウス……ううん。
50階全体がその仕組みになっている空間「モンスターフロア」だったの!
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