第133話(第四章第8話) イベントダンジョンを踏破せよ2(クロの場合)
~~~~ クロ視点 ~~~~
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名前:クロ レベル:1(レベルアップまで4Exp)
職業:鍛冶師(生産系)
HP:10/10
MP:16,748/11
攻撃:27,614(×0.9)(×2,622.44)
防御:30,158(×2,622.44)
素早さ:28,584(×2,622.44)
器用さ:13(×1.1)
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……本当にレベルが1になってる。
私は装備のおかげで攻撃・防御・素早さは上げられてるけど、これは打たれ弱すぎ。
レベル上げてかないと、かな……。
私でこれなんだ。
セツちゃんとマーチちゃん、大丈夫かな……。
一応、ライザも。
……大丈夫じゃなかったら「運営」、許さない。
あの子たちが泣いてる姿を想像してしまって、「運営」を呪いたくなった。
呪えるスキルでも取っとけばよかったか? なんて考えていたら、角を曲がってモンスターが姿を見せた。
ゆったゆったと動く骨のバケモノ。
こっちを見て、カタカタと音を鳴らした。
……笑ってる?
私にはそんなふうに見えて、気づいたら駆け出してた。
そいつをハンマーで潰す。
この高くした攻撃力と素早さで。
ハンマーを持ち上げてみると、その下にはぺちゃんこになった骨のモンスターがいた。
ぴくりともしない。
今度はなんだか泣いているみたいに見えた。
すぐに黒い粒子に変わってしまって、一瞬しか見えなかったけど。
……八つ当たりをしてしまった気がした。
もっと大人にならないと、と自己嫌悪に陥る。
……あ。
赤いとこから出たからタイマーが動いてる……!
私は慌てて階段を探し始めた。
2階には二体のモンスターがいた。
二体とも一撃だった。
当然と言えば当然。
2階のモンスターをこの攻撃力で倒せなかったら、サ終案件もいいとこ。
白い魔石は拾わなくてもいいみたいだから、ぶっ飛ばして倒した。
素早さの数値が高いからすぐに階段を見つけられる。
順調。
3階には三体のモンスター。
飛ばす。
走る。
階段、見つける。
4階には四体。
5階には五体。
6階には六体……。
7階に宝箱があった。
中身は白い魔石だった。
……いらない。
8階で八体のモンスターを倒して9階へ。
迷路みたいにもなってなくて、上りの階段付近に『レメディ』があった。
一応触れて階段を上った。
10階、中ボスの部屋。
中ボスは大きい骨。
素早く接近してハンマーをゴルフみたいにぶん回す。
打ち上げられて天井にぶち当たった大きい骨は黒い粒子になって消えていった。
この様子なら、50階くらいまでなら無問題かな? そう推測した。
11階。
骨がなんか武器を持ち始めた。
弓とか持ってるのもいた。
けど、この素早さがあれば射られる前に倒せる。
むしろ番う暇すら与えなかった。
「素早さアップ」の追加効果、優秀。
あの子たちのにもつけていればよかったかな……。
それと、この階から「スイッチ」を押さないといけなくなった。
壁に塞がれてて、直で階段の元へは行けなくなってた。
「スイッチ」を押すと動く壁には「どこかの壁にあるスイッチを押すと開く」って書かれてて……。
……面倒くさい。
私はハンマーを掲げた。
そして思いっきり振り下ろした。
すると、文字が書かれてた壁が開通する。
これは私の「破壊者の鉄槌」に付いてる特殊効果「ブレイクスルー」の力。
「ブレイクスルー」――ダンジョンの壁を破壊することができる(ダンジョンの外に出ることは不可)
私はよく道に迷う方だから、みんなとはぐれて迷惑をかけたくないって思って付けてたんだけど、付けといてよかった。
迷宮系のダンジョンでは効果的。
MPを結構持っていかれるから乱用はできないけど……。
早さを求められてるんだ。
ボス、中ボスは倒せって言われてるけど、謎を絶対に解けとは言われてない。
壁を壊しちゃいけないってルールはない。
だから私は、できることをやっただけ。
スキルでいろんなことができるのに、ちゃんと書いてない「運営」が悪い。
私は自分で開けた壁の穴を通って階段を上った。
(ダンジョンの壁は時間が経つと塞がるらしい)
12階、13階も特殊効果を使って「スイッチ」をスキップして進んだ。
14階で宝箱を発見した。
中身は防具だった。
現時点では武器屋に置いてない性能の防具だったけど、私がつくったものの方がいいと思う。
いらない、かな……。
15階、16階と上って(もちろん「スイッチ」はスキップ)……。
宝箱は17階にもあったけど、今度は武器だった。
これもたぶん、私がつくった方がいいものができると思う。
これもいらないな……。
18階でも壁を壊した。
ショートカットしてるから一つの階で五から九体くらいしかモンスターを倒せてない。
これがあとで響いてこなければいいな、と思う。
19階を通過して20階。
中ボスは浮く骨だった。
問答無用で叩き潰した。
ハンマーをハエたたきみたいにパーンって。
一撃。
調子がいい。
これは一位すら狙えるかもしれない。
21階。
骨が盾も持ち始めたけど盾ごと潰す。
この階からモンスターが「鍵」を持ってるらしい。
その「鍵」がないと階段がある部屋に入れない、とか。
私は無理やり開けたけど。
22階、宝箱。
白い魔石十個。
うん、いらない。
23階も、24階も、扉を破壊する。
25階、宝箱。
HP回復ポーションRが入ってた。
やっと使えるものが出てきた。
ポーチに収納しておこう。
26階、27階、扉ばこーん。
28階、宝箱。
白い魔石十個。
……ふざけてるの?
29階を抜けて30階へ。
中ボスは腕が一対増えた骨。
潰した。
瞬殺。
ボスが強くなってる気がしない……。
……順調すぎてなんか怖くなってきた。
31階。
敵は大きな骨に。
これ、10階にいた奴だね……。
身体が大きすぎてなんか通路に嵌ってた。
道を塞いでたからそいつに触れないようにして壁を壊して移動した。
そして、この階からは「暗証番号」を打つ必要があるらしい。
「暗証番号」を入力しないと、今私の目の前にあるこの重厚そうな丸い金属の扉が開かないのだとか。
……まあ、付き合ってやる義理はないかな?
私は扉を壊して進んでいった。
32階、宝箱があった。
けど、中身は「防御力ダウン」とかいう呪いみたいな特殊効果が付与されてた防具だった。
こんなもの、どこで使うんだろう……。
ふと思う。
――私がインチキしてるから宝箱の中身がこんなことになっているのではないか? と。
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