第98話(第三章第14話) 第三層と第四層の隠し部屋巡り
ライザが張り切ったため第三層の隠し部屋巡りは順調そのものでした。
『第三層水中エリアダンジョン1・タチシェス海浜公園』11階東側。
海を挟んだ孤島の砂浜に埋もれていた転移の魔法陣で行ける海底のような空間で上質な状態回復草を入手。
(状態回復草はデフォルメされた人がガッツポーズをつくっているような緑色の実をつけた植物です)
『第三層水中エリアダンジョン2・スクオスの住まうラグーン』10階南側。
サンゴの迷路の中にある隠し通路の奥の空間で金塊(換金アイテム)を入手。
『リスセフの沈没船』ダンジョン九階西側。
通路に飾られていた絵と飾られている壺などの仕掛けを解いて行ける部屋で上質なハヤ草を入手。
『アホクビ海底谷』ダンジョンB12階北側。
エリアボス前の空間もこのダンジョンの他のフロアと同様に天井にはこれ以上上がれないという部分が設けられています。
ですが、エリアボスの間へと続く扉の真上の部分だけはそれが設けられていなくて、そこを通っていくと行ける空間に上質なオソ草と上質な悪心草がありました。
このダンジョンには「暗くて遠くが見えづらい」というギミックもありますから、そこに通れる部分があったなんて私は気づけませんでした。
(オソ草はデフォルメされたリスセフがしなしなになったような赤い実をつけた植物です)
(悪心草はスペードのような実をつけた植物です)
第三層のダンジョンは全て12階構造(「アホクビ海底谷」だけはB12階構造)で、しかもどのダンジョンも入口からは遠い場所に隠し部屋が設けられていました。
本来ならそこまで移動するのにかなりの時間を要すると思いますが、私は素早さバフポーションで早く移動できるようになっています。
あと、ライザの素早さも何故か上がっていたため彼女にマーチちゃんをおんぶしてもらって(ちょっと心配ではありましたが)、道案内も任せています。
(ライザの素早さが高くなっている理由は『トリックスター』の仕様みたいで、強化や弱体化をされていた場合、その状態でステータスを入れ替えられるそうです)
マーチちゃんのおんぶは私がしたかったのですが、どうしても避けられない敵の対処をする、という役目が私にはあったので……。
その役割分担が的確だったから二時間(ゲーム内)とかからずに第三層の隠し部屋を制覇することができたわけですが……。
ちなみに、「アホクビ海底谷」の隠し部屋へは『踏破者の証』を使って第四層の街から戻る形で行っていますので、所要時間は一分足らずです。
それと、第三層はその全てのダンジョンで、四階と八階の下り階段付近(「アホクビ海底谷」はB4階とB8階の上り階段付近)に
これは、ダンジョン内は安全地帯でないとログアウトができないため。
休みたかったりどうしてもゲームをやめなければいけない場合に、街まで戻らされたりボス部屋前まで無理をしてでも行かなければならない、ということをなくすための措置とのことです。
メニュー画面で、ゲームをやめなければいけない時間に入った時に戻らされる場所の設定を「街」から「最後に通った安全地帯」に変更しておけば被害は最小限に抑えられるからそれが「運営」の目的ではないか、ってライザが言っていました。
安全地帯にするならもっとわかりやすく「安全地帯」って掲げた方がいいと思うのですけど……。
第三層の隠し部屋を巡り終えても時間があったので、そのまま第四層の隠し部屋の捜索(?)をしようという話に。
この時、現実時間でいうと午後五時半過ぎ。
あゆみちゃんは最速でクリアを目指しているみたいなので、もう第五層に行っている気がします。
なので、私はその話に乗りました。
『第四層巨大エリアダンジョン1・スクオスのジャングル』15階南側。
「第一層リスセフ平原」のように一カ所だけ炎や毒で取り払える茨の壁があってその奥の空間へ猛毒薬を使って入り、上質なアタリ草を入手。
(アタリ草はスクオスをデフォルメしたような黄色い実をつけた植物です)
『第四層巨大エリアダンジョン2・リスセフが守る王の墓』。
二階、四階、九階、13階にある押すとその部分だけくぼむ壁を押していると14階西側の壁に現れるパズルを解き、その部分の壁をスライドさせ、奥にある空間で上質なハズレ草を入手。
(ハズレ草はデフォルメされたスクオスがしなしなになったような緑色の実をつけた植物です)
『第四層巨大エリアダンジョン3・アホクビ竜宮城』13階北側。
魚たち(種類はよくわからないけど兎に角大きい)の三十六分に及ぶダンスを見続けると魚たちが退き、それで行けるようになる部屋で上質な復活草を入手。
(復活草は天使をデフォルメしたような白い実をつけた植物です)
第四層のダンジョンは16階構造になります。
出てくるモンスターはみんな大きくなっていました。
第一層のそれぞれのダンジョンの最上階で戦ったボスモンスターたちのように……。
第四層でも第三層のダンジョンのように四階と12階の下り階段付近に安全地帯が設けられていて、八階は小さく、そのフロア全体が安全地帯になっていました。
安全な八階には木でつくられた宝箱が置いてあって、そこには「帰還の羽」が四つ入っている、とライザが中を見ずに『視て』断言しました。
どうしても攻略を続けられないプレイヤーたちのための救済処置だろう、とのこと。
「親切設計」? っていうみたいです。
街に戻ってきて残すダンジョンはあと一つとなったところでマーチちゃんが夕食の時間になったため、この日は終了することにしました。
……………………
六月三日。
この日も学校があったため、午後五時頃にログインしました。
みんな揃って、向かうは『第四層巨大エリアダンジョン4・タチシェスの自然保護区』。
どういうわけか移動をする海に浮かんだ巨大な島が舞台のダンジョンです。
このダンジョンも四階、12階の下り階段付近には安全地帯があり、八階には安全階がありました。
昨日と同じようにライザがマーチちゃんを背負って道案内をし、私が敵をなぎ倒して進みます。
(ライザは敵が少ない場所を把握できるみたいなのでそれほど敵とは遭遇しなかったわけですが)
適材適所の役割分担のおかげで二十四分(ゲーム内)で15階、ボス前の安全地帯に到着しました。
隠し部屋があるのは最上階とのことなのでこのボスは攻略しなければいけません。
階段を上ろうとすると大きな木がものすごい勢いで生えてきて道を閉ざしました。
そして右側にあった樹齢千年は優に超えるのではないかと思われる大樹の幹にひびが入り、その中に入るように誘ってきます。
中に入ると来た道は塞がれ、現れたのは
――青いプディン十二体。
もうほとんど移動しないから、と降ろされていたマーチちゃんに寄ってきたため、そのうちの一体を掴んで振り回し、他のプディンを弾き飛ばしました。
手を離すと掴んでいた個体も飛んでいき、壁に当たって消滅します。
戦闘終了です。
青プディンの上位は何色のプディンが出てくるのかな? 青い魔石の上位の魔石もゲットしたいな! と考えていたのですが、ライザに止められました。
今回の目的は隠し部屋にある上位アイテムだ、と。
……そうでした。
それで私は諦めて最上階に向かおうとしたのですが、マーチちゃんが動きませんでした。
どうしたのか尋ねてみると、彼女は叫びました。
「全っ然、楽しくないのっ!」
と。
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