第67話(第二章第25話) ラストスパート3

 これまでにあったことを言いますと――



 緑プディンの巣でボス周回をした時は初回こそ四時間(ゲーム内で)掛かりましたが、最終的には二時間で一周(百二十五戦)を終えられるようになっていました。

 敵がパワーアップする五周目に入ったのは緑プディン討伐を始めてから十二時間後でした。


 しかし、この「アホクビ海底谷」にある赤プディンの巣は最初から八体との戦闘で、赤プディン八体と五回戦したあとに銅プディンというモンスターが現れました。

 緑プディンの巣で出てきた錫プディンと似たようなポジションのモンスターだと思われます。

 ここで問題になってくるのが、レアモンスターを出現させるまでに戦わなければいけないレアじゃないモンスターとの戦闘の回数が四回から五回に増えているということです。

 たったの一回増えただけなのですが、戦場の変化も相まってこの一回がすごく響いてきました。

 そして、銅プディン戦を経ると次の赤プディン戦からその数が四体増えるのです。

 暗闇に隠れられて、倒すことよりも探すことの方が大変でした。


 緑プディンの巣で二十五戦目に出てきた青錫プディンは……レア以上なのでエピックモンスターとでもいうのでしょうか? それに該当するモンスターはこの赤プディンの巣では三十戦目にやってきました。

 赤銅プディンです。

 暗い色になるので見失うと厄介なことになると思い、即刻倒しました。


 紺碧錫玉こんぺきしゃくぎょくプディンに相当すると思われる深紅銅玉しんくどうぎょくプディンというモンスターも登場しました。

 百五十戦目です。

 泳ぐスピードも素早さの数値に依存するようなので、このレジェンドクラス?(青錫プディンや赤銅プディンをエピッククラスのモンスターと考えるなら)のモンスターを倒すこと自体に問題はありませんでした。


 これで赤プディンの巣は一周したわけですが、ボス周回を始めてからここまでで八時間を要していました。

 やはり、暗闇に紛れた赤プディンを探すのに手間取った感じです。

 ボス部屋があるB11階まで来るのにも三時間かかっていましたから、かなり焦らされました。


 現実で少し休憩してから、百五十一回目のボス戦へ。

 内容が一戦目のものに戻って、二周目のスタートとなります。

 二周目を行っている途中で、私が体当たりするだけで相手を倒せることが判明しました。

 上げに上げた攻撃力の賜物です。

 二周目が始まって早い段階で気づくことができたので、かなりの時間短縮に繋がりました。

 四時間半で二周目クリアです。



 ――休憩を挟んで三周目を行い、三時間半で終え、また休憩を入れて、四周目を三時間で終わらせて今に至っています。


 続けてやりたかったのですが、ゲームができないように設定した時間が迫ってきていましたので、今はゲームを終了することにしましょう。



……………………



 お昼。

 ご飯を食べ終えてお母さんに、夕ご飯までの間にゲームをやってもいいかと交渉すると、お手伝いが終わったらやってもいいという許しを得ました。

 やった!

 私は急いで家の中の掃除に取り掛かりました。


 頑張って早くやったので、ゲームができる時間を二時間つくることができました。

 ゲーム内で言えば八時間になりますので、これは大きいです。


 というわけでボス戦、再開です!



……………………



 私が予想した通り、五周目に入ったら敵がパワーアップしていました。

 最初から銅プディン八体との戦闘です。

 この数はもう対峙したことがあったので快勝しました。


 六戦目に出てきた赤銅プディンも難なく突破です。


 ですが、続けていって二十五戦目ともなると、初めての銅プディン二十四体戦になり……。

 す、姿が、見づらい……!

 また少し時間がかかるようになりました。


 三十戦目に深紅銅玉プディンが出てきました。

 速攻で倒しました。

 一体だけなら銅プディン複数体より早く決着をつけられます。

 全部深紅銅玉プディン一体との戦いにできないかな?

 それができたらいいのに……。

 見失ってしまった赤プディンや銅プディンをこの闇の中から探すのは本当に手間なので。


 そんな不満を抱えながら、私はプディンたちを「ちぎっては投げちぎっては投げ」していきました。



 五時間(ゲーム内)が経って、迎えた五周目の百五十戦目。

 二十体の赤銅プディンと四体の深紅銅玉プディン戦を私は終えました。

 アイテムを回収してゲートが開きます。

 ちなみに、このダンジョンに来る前に倉庫から空の特大フラスコを十個ほど引き出してきているので、今までの深紅銅玉プディンの粘質水も残さず回収できています。

 ボス部屋から出ることができそうですが、このあとに待っているのは恐らくあいつです。

 私が何もできずに逃げ帰るしかなかった存在――



――虹色のプディン。



 あれは強敵です。

 それでも倒すことができれば、その魔石はこのイベントで上位を取るのに一役買ってくれるに違いありません。

 それに、私も前回戦った時のままではないのです。

 素早さが大きく上昇しているのです。

 もしかしたら、もしかするかもしれません……!


 そんな期待をして、私は虹色プディンへの再戦に臨みました。



 ただ、虹色プディンはそんな私の期待を一瞬にして蹴散らしてきました。

 赤いオーラを四重に纏ったあと、私に何かをしてきた虹色プディン。

 何をされたのか、その時には理解できませんでした。

 ですが、心の中で警鐘が鳴り続けていて。

 私は『帰還の笛』を使って戦闘を離脱しました。

 転移される前、最後に私が見たのは虹色プディンが動いたことで発生した水の波動がものすごい速さで迫ってくる光景でした。


 帰る判断をして正解でした。

 街に戻ってステータスを確認してみたら、



――防御:93(×1/2・上書き中)になっていたから。



 あの時、何かされたと感じた時、私は虹色プディンに防御のデバフを掛けられていたのです。


 っていうか、なんですか? 上書きって……。

 ……あっ、そういえば、攻撃バフポーションをつくってその説明文を見た時に「使」という文章が書いてあったような……。

 薬、使われてないんですけど……?

 でも、数値は減っています。

 そのことから考えると、敵のデバフは薬扱いってこと?


「……ええー……」


 私のまさかの弱点が発覚してしまいました。

 こ、これは、早急に対策を立てないと……!



 虹色プディンは倒せませんでしたが、赤いE魔石を112,000個、銅のE魔石を32,320個、赤銅のE魔石を1,304個、深紅銅玉E魔石を72個集めることができました。

 取っておいた青錫のE魔石と紺碧錫玉E魔石、あと第二層をクリアした時にゲットした緑のE魔石もポイントに変換して、291,995ポイント獲得しました!

(何故か青錫と赤銅のE魔石を四個ずつ、紺碧錫玉と深紅銅玉E魔石を二つずつ残している私です)


 もうへとへとなのでこれから魔石を集められる自信はありません。

 マーチちゃんに挨拶をしに行ってから、今日はもうやめようと思います。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る