第46話(第二章第4話) イベントに参加してみる
五月三日。
イベントが始まりました。
睡眠時間を削って①の0時から始めるのはあまりよくない気がしたので、朝早くに起きてやることに。
朝にやることをして、ログインしたのは六時ごろ。
その時には、マーチちゃんはもう既に「ギフテッド・オンライン」の世界に来ていました。
②の0時が少し過ぎた頃。
私たちのイベントが始まります!
昨日、MP回復草を入手した私たちははしゃぎすぎて大量のアホクビに目をつけられ、『帰還の笛』を使って逃げ帰ってきていました。
それから、イベントで上位を取るための準備を進めていきました。
まず、MP回復ポーションの製薬です。
ただ、MP回復ポーションをつくるには通常プディンの粘質水が必要とのこと。
まだ一回も会ったことがないモンスターのドロップアイテムを求められて私は困惑させられたのですが、マーチちゃんが弥生が落としたビンを増やしてくれたことでその問題は解決しました。
また、MP回復草の数も足りなかったのですが、それもマーチちゃんが増やしてくれています。
『ポケットの中のビスケット』、有能すぎます!
マーチちゃんが材料を増やしてくれたおかげで、私はMP回復ポーションをつくることができました。
そうして、準備が整った私たちの所持アイテムはこんな感じに。
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所持アイテム一覧(セツ)
・帰還の笛
・特大フラスコ(聖水)16/16
・特大フラスコ(聖水)16/16
・特大フラスコ(聖水)16/16
・特大フラスコ(MP回復ポーションL Lv:4)16/16
・特大フラスコ(猛毒薬L Lv:4)16/16
・特大フラスコ(黄プディンの粘質水)5/16
・緑の魔石×55
・赤い魔石×54
・青い魔石×78
・黄色い魔石×203
・黄金の魔石×52
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所持アイテム一覧(マーチ)
・帰還の笛×1
・帰還の笛×1
・特大フラスコ(MP回復ポーションL)16/16×1
・特大フラスコ(MP回復ポーションE)16/16×1
・特大フラスコ(MP回復ポーションR)16/16×1
・特大フラスコ(MP回復ポーションC)16/16×1
・特大フラスコ(猛毒薬L)16/16×1
・特大フラスコ(猛毒薬E)16/16×1
・特大フラスコ(猛毒薬R)16/16×1
・特大フラスコ(猛毒薬C)16/16×1
・MP回復草
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MP回復草を手に入れられたことで、マーチちゃんが無双状態に入りました。
食べることでMP「4」回復することができるMP回復草と、マーチちゃんの『ポケットの中のビスケット』は非常に相性がよかったのです。
「1」消費してMP回復草を増やして食べればMPを回復できるわけですから。
レジェンドレベル2クラスまでなら増やし放題です!
最大MPがそれほど高くないのでレジェンドレベル3クラスになると持つことすらできないのですが、それでも!
マーチちゃん、すごすぎます!
MPの残量を考えなくてよくなったマーチちゃんに、つくったMP回復ポーションを増やしてもらい、こちらも増やしてもらった特大フラスコに詰め替えています。
『特大フラスコ(MP回復ポーション)16/16』の出来上がりです。
それをマーチちゃんにMP「4」を消費してもらって、増やしてもらい、一つをもらって『ポーション昇華』をかけました。
私の『ポーション昇華』も特大フラスコに入っている薬は一つのものとしてカウントされるようで、一回使っただけで(消費MP1で)『特大フラスコ(MP回復ポーションR)16/16』にできた時はめちゃくちゃ感激しました。
そして、それをまたマーチちゃんへ。
これは、マーチちゃんの『ポケットの中のビスケット』の性能を調べるための作業です。
結果として、中身がコモンランクの時もレアランクの時もエピックランクの時も、消費MPは「4」で、レジェンドランクになると「8」必要になることがわかりました。
どうやら『ポケットの中のビスケット』は、容器と中身でレア度の高い方を増やす時のMPが必要になるみたいです。
緑プディンの粘質水や通常プディンの粘質水、回復草など、今は使わないと思われるものを宿屋の倉庫に預けていた時に、猛毒薬を切らしていることがわかりました。
ですので、倉庫に保管してあった黄プディンの粘質水と猛毒草を引き出して、急いで製薬しました。
猛毒薬もMP回復ポーションと同じ要領でマーチちゃんに増やしてもらって、特大フラスコに詰め替えています。
そして、これをマーチちゃんのスキルで増やす時もMP回復ポーションと同じ結果になるのか? と試してみたところ、やはり猛毒薬Eまでは必要とするMPが「4」で、猛毒薬Lは「8」必要になるということを確かめられました。
増やしてもらったMP回復ポーションLと猛毒薬Lを私は受け取ってL(Lv:4)まで引き上げています。
ということで以上の持ち物になっている、というわけです。
……あ、特大フラスコを増やす際に中身の聖水も増えていたんですよね。
その容器はMP回復ポーションや猛毒薬を入れる目的で増やしていたため、中身は捨てなくちゃいけなくて。
すごくもったいないって感じました。
あと、特大フラスコに詰め替えたあとの空になったフラスコは全て売却しています。
そんな準備をして、私たちは今「第二層・砂漠エリアダンジョン4リスセフ遺跡」にやってきていました。
このダンジョンは砂漠にある古代建造物の中が舞台となっていて、第一層にあった「アホクビの住む洞」ダンジョンと同じように不思議な力で淡く照らされています。
中はそれほど広くなく、石の床、石の壁、石の天井と迷宮っぽさを強く感じる造りをしています。
ここに生息しているリスセフは、ハエのような目とカジキのような
以前に一度、このダンジョンには来ていますが、襲われたことはありませんでした。
彼らは寝ていたり、同じ種族のモンスター同士でその吻を交えて争っていたりしていたので。
なので、今回も隠れながら移動すれば戦闘を回避できるのではないか、と考えていたのですが……。
「ギェ、ギェエエエエ!」
「ひゃいっ!?」
「うぇ!? く、来るの!」
……見つかってしまいました。
その見た目からなんとなく想像がついていましたが、速いです。
逃げようとしたのですが、私たちの足では引き離せませんでした。
私たちとの距離を詰めてくるリスセフ。
なんか、身体に緑のオーラを纏ってるし……。
「っ! あ、あれ、たぶん、スピードにバフかけてるの!」
「っ! く……っ!」
マーチちゃんが気づいて教えてくれます。
私たちはステータスの貧弱な生産職。
その数値は同じレベルであればモンスターにも劣っているそうです。
私は逃げることを止めました。
振り返って――
――ポーチから取り出した特大フラスコに入っている黒紫色の液体を迫ってくるモンスターめがけて振りかけました。
「ギェ――!?」
私たちを攻撃できる位置まで詰めてきていたリスセフは断末魔の悲鳴を上げることもなく、黒い粒子となって消えてきます。
そのあとにはエメラルドのような緑色をした石が二つ転がっていました。
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