第39話 お前達は何をやっとるんだ?!
■ギルドマスターの執務室
ギルマスのスナフスキンとサブマスのストークにパーティ【疾風】の四人、リーダーのフォギアとウール、ナイレン、バームは、森で何があったかを詳細に説明させられた。
スナフ「…なるほど、だいたい話は分かった……」
スナフ「つまり……」
フォギア「そうなんだよ! アイツは凄ぇぜ。まったく、信じられねぇ」
スナフ「つまり、お前達は、いい加減な調査をし、相手を舐めて掛かって考えなしに魔物の巣に殴り込み、死にかけたところを、Fランクの新人に助けられた、と…いうわけだな?」
フォギア「え? いや…そういう言い方をすると身も蓋もないが…」
スナフ「バカモン!! 何をやっとるんだ?!?!」
フォギア「……すっ、すみません……」
ストーク「Bランクのパーティならありえないような判断ミスが随所に見られる」
スナフ「それな。なぁフォギアよ…。お前達はBランクに認定されているんだぞ? Eランクならともかく、Dランク以上ならありえない失敗だ。そんな事でどうする……?」
フォギア「……面目ない……」
ウール「なんか…いつものフォギアらしくなかったわよね。もしかして、新人の前でいい格好したいって意識でもあった?」
フォギア「…そうかもしれん。Bランクの魔物を倒した有望な新人と聞いて、Bランクの冒険者として対抗意識というか……素直に応援してやれなかったのは事実だ」
ストーク「なんなら降格するか? 実力に見合わないランクで居るよりは楽になるぞ」
フォギア「え、それは…」
スナフ「降格はさせられん。数少ない上位ランカーなんだ。だが……再教育は受けてもらおうか」
フォギア「うぇ…」
スナフ「正直、Aランクが出払ってしまっている今、お前達が頼りなんだよ……しっかりしてくれよ」
フォギア「はい……」
スナフ「まぁ、あのペキという冒険者を相手にしていると、調子が狂うのは分からんでもないがな」
フォギア「そっ、そうなんですよね~妙な喋り方して」
スナフ「だからってBランクは惑わされてはいかんのだが?」
フォギア「しょぼん……」
スナフ「しかし……ゴブリンキングが南の森に現れて集落を作るとは……」
ストーク「先日も、南の森に居るはずのないダビル・ヴァイパーが居た。やはり…?」
スナフ「ああ、魔王が登場した影響があるのかもしれんな」
ウール「おばあちゃんに聞いたことがある。魔王が現れるとダンジョンの魔物も活発化するって」
※ウールはハーフエルフなので、おばあちゃんは長命なエルフで博識である。
スナフ「北の森のダンジョンが活性かして、魔物が出てきて周辺に広がっているのだろうな…。行商の馬車が魔物に襲われる被害も徐々に増えているそうだ。調査と駆除を増やしたいところだが…」
ストーク「…正直、人手が足りんぞ」
スナフ「もう、領主に兵力を出してもらわんといかんかもなぁ…」
スナフ「……まぁいい、お前達も、今日はもう帰っていいぞ」
ウール「あら、いいの? 今夜は帰さないって言ってたのに」
スナフ「冗談だ、真に受けるな。ゆっくり休んでおけ。明日からまたしっかり働いてもらうからな」
フォギア「…へ~い…」
ウール「はい」
ナイレン「……」
バーム「…はい…」
* * * *
スナフ「冒険者登録の研修の時、ペキは収納魔法だって使い方次第では十分戦えると言っていたそうだな? その時は信じられなかったが、本当だったようだ」
ストーク「毒の攻撃を収納して防いだのは見た。なるほど、収納したのだから取り出して武器にもできるのは道理だな」
スナフ「フォギアの話からすると、相手の武器を受け止めると同時に収納してしまうという使い方もしていたようだ」
ストーク「相手の武器を取り上げてしまうことができる……考えてみたら恐ろしい能力だな」
スナフ「収納魔法を使う人間は何人か見てきたが…みな商人や運送屋になってしまうので、冒険者になる者はほとんど居ないからな。その能力を戦闘に使うという事は考えもしなかった」
ストーク「わざわざ危険を冒さなくとも、荷物を運ぶだけで大金が稼げるんだから、冒険者になろうとは思わんよなぁ」
スナフ「しかし……、百歩譲って毒や矢を収納できるとしてもだ。魔法まで収納できるとは、想像の埒外だ」
ストーク「ああ…今度確認させてもらいたいな」
スナフ「まぁ、収納魔法についてはまだ理解出来る話だ。だがそれより……!」
ストーク「【転移魔法】、だな? 伝説やらお伽噺の中でしか聞かない話だからな」
スナフ「いや、お伽噺の中だって
ストーク「それだけで、世界をひっくり返せる能力だな」
スナフ「ペキは自分は【勇者】じゃないと言っていたが、十分とんでもない。異世界から召喚されただけの事はある」
スナフ「もし王家が知れば、間違いなく欲しがるだろうな。魔王との戦いに役立つ貴重な戦力となる」
ストーク「戦況は良くないのか? “勇者”は?」
スナフ「勇者はそこそこ活躍しているようだが、性格に問題があるようでな…。気まぐれ過ぎて、戦果にムラがあるようだ」
ストーク「ああ~」
さもあらんと言う表情のストーク。(ストークも数日間滞在していたタイガとニコの事をもちろん知っていた。)
ストーク「ペキ達の事は王家は…」
スナフ「大丈夫だ、まだ気づかれていないだろう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます