第36話 お前ナニモンだよ…?

ペキ「おっと、まずそうでござるな」


フォギア「くそ! こうなったら……俺がなんとか隙をつくってやるから、その間に新人、お前は逃げろ! そしてギルドに報告を…っておいどこへ行く?!」


ペキ「拙者もちょっと試してみるでござる」


キングCが倒れたナイレンに止めを刺そうとしているのを見て、ペキはそちらに向かった。


連続転移でゴブリンキングCの横に出現したペキは、ナイレンを踏み潰そうとしていたキングの足を刀で斬りつける。


先程、矢も剣も通用していなかったのをペキも見ていたので、思い切り魔力を刀に流してのチャレンジである。ペキの刀は魔力を流すほど切れ味が増す。大量の魔力を込めれば……


ペキ「お、斬れるでござるな」


結果、大木のようなゴブリンの足はキレイに切断され、ゴブリンキングCの足はナイレンの横に落ち、踏み潰すことはかなわず。キングCはバランスを崩し、呻きながら倒れた。


ペキはナイレンに触れ転移でフォギアの横に運んでやる。


さて他のゴブリンキングはと見ると、ゴブリンキングBは巨大な棍棒を振り回しながらウールを追い回していた。


ペキは転移でゴブリンキングBとウールの間に割って入ると、火球ファイアーボールをゴブリンキングBに叩きつける。


※先程収納したゴブリンメイジとゴブリンアーチャーの攻撃をゴブリンキングBに向けて取り出しただけである。


火球1~2発でどうにかできるゴブリンキングではないが、先程収納した火球と矢を全て放出してやったところ、火球の連続爆発にさすがのゴブリンキングも堪らず、後退して尻もちをついた。


さらにもう一体。ゴブリンキングAが雄叫びを上げながら向かってくる。完全にペキを敵として認識したようだ。


ゴブリンキングAは大剣を持っていた。人間が持つにしては長すぎる大剣である。


ペキ「どこで手に入れるんでござるかね…?」


そう言いながらペキは、近づいてきたゴブリンキングAに向かって毒を噴射してみた。以前収納してあった、ダビル・ヴァイパーが吐きかけてきた毒である。


ペキが放ったダビル・ヴァイパーの毒はまともにゴブリンキングの顔面にヒット。ゴブリンキングにも毒は有効だったようで、キングAは悲鳴をあげて倒れ、悶絶した。


フォギア「す…げぇ……」


だが、まだ終わっていない。ゴブリンキングはダメージを負ったものの、三体ともまだ生きている。


一番軽症だったゴブリンキングBが、再び起き上がってペキに向かってくる。(結構な数のファイアーボールと矢を受けたはずなのだが、やはり初級魔法や並の矢ではゴブリンキングは倒せないようだ。)


ゴブリンキングBは巨大な棍棒を振り上げ、ペキに向かって振り下ろす。それを刀で受け止めようとするペキ。


フォギア「あ、バカ、そんな体格であの巨体の攻撃を受け止められるわけが…」


だが、ゴブリンキングBの棍棒はペキの刀に触れた瞬間に消えてしまう。もちろんペキが【収納】したのである。


次の瞬間、ペキは飛び上がる。自分の倍も身長があるゴブリンキングに斬りつけるためには飛び上がるしかなかったのだ。


だが、ゴブリンキングBも反応が良い。空中に飛び上がったペキに向かってパンチを繰り出してくる。


空中に飛び上がってしまったペキにはそれを躱す手段がない。だが、構わず剣を振り下ろすペキ。


次の瞬間、ペキの姿が消え、ゴブリンキングBのパンチは空振り。そしてゴブリンキングBの背後に転移したペキの振り下ろした剣が、ゴブリンキングBを真っ二つに両断した。


フォギアはそれを呆然と見ていたが、先程毒を食らって悶絶していたはずのゴブリンキングAが這いずるように近づいて来て、剣を横薙ぎに振った。


ペキ「危ないでござるよ」


フォギアの側に転移したペキがフォギアの襟首を掴んで引き倒し、自分もしゃがむ。その上をゴブリンキングAの剣が通過していく。


空振りした後、ゴブリンキングAは倒れて動かなくなった。毒が効いていなかったわけではなく、最後の悪あがきであったようだ。


残るは一匹。足を斬り飛ばされたゴブリンキングCは、逃げるも攻めるもできず逡巡している様子である。


そのゴブリンキングCの背後に転移したペキは、後ろを取られた事に気づいていないゴブリンキングの首を刀で刎ね飛ばした。


ペキ「トドメを刺しておいたほうがよいでござるな」

ペキ「バリー殿がやるでござるよ」


毒で倒れたゴブリンキングAはまだ死んで居ないようで、ピクピクと体が動いていたのだ。そこで、ペキはバリーさんに経験値を稼がせようと考えた。


バリー「にゃ!」


爪に風刃の魔力を込めてゴブリンキングAの首を斬ろうとしたバリーさん。しかし、三分の一程度しか斬れなかった。


バリー「にゃぁ……」


ペキ「バリー殿、もう一度でござる。頑張って切るでござるよ」


バリー「にゃっ!」


三度爪を振るい、ゴブリンキングAの首を切り落とす事に成功した。


マツ「終わりましたか?」


隠れていたマツも出てきた。


マツ「おや? レベルアップしたようですよ?」


ペキ「やはり、従魔が倒しても経験値が入るでござるな」


フォギア「お前……ナニモンなんだよ……」



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