第25話 バリー「にゃ!」

その後、ペキとマツ、バリーさんは依頼の貼られている掲示板の前に移動し、依頼をチェックしてみたのだが…、ペキは簡単に依頼をチェックした後、依頼を受けずにすぐにギルドを出てしまった。


マツ「どうかしたんですか?」


ペキ「なんとなく、視線が気になって、居心地が悪かったでござるよ」


マツ「先程、少し騒ぎになってしまって、注目を集めてしまいましたからね」


ペキ「あの時…。ストーク殿はああ言ってくれたでござるが、冒険者の中から舌打ちが聞こえた気がしたでござる」

ペキ「一応、警戒はしておくほうが良いでござろう」


マツ「治安が良いと言われていた日本でも、犯罪を犯す者は普通に居ましたからねぇ」


ペキ「でござる。以前は日本は世界一治安が良いなんて言われていた事もあったでござるが…深夜に女子供が出歩いていても問題ないくらいに。それが近年は、女子供だけで街を歩けないほどになってしまって、悲しい限りでござるな…」


マツ「分かります。実は私、去年配置換えになるまで観光地でバスの運転をしていたんです。でも、近年は外国人が増えて、雰囲気が明らかに以前とは変わってしまいました。この先はどうなっていくのやら」


ペキ「まあ、もう戻れない世界の事を心配しても始まらないでござる。今はこちらの世界で精一杯生きるしかないのでござるから…」


マツ「そうですね。でも、依頼はどうしますか? 稼がないと…」


ペキ「常設依頼があるのは確認したでござる。それに、素材を納品するだけでも稼げそうでござる」


マツ「ペキさんは大蛇の素材で稼げましたからね」


ペキ「それでござるが、先程貰った金はマツ殿と折半するでござるよ」


マツ「え? いや、そんな事してもらう理由はないでしょう。大蛇を倒したのはペキさんなんだから。私は何もしていない、というか、むしろ守って頂いたわけで」


ペキ「オサムサンにマツどのの面倒を見るように言われたでござるしな」

ペキ「拙者とマツ殿とバリー殿は、パーティと言う事で、今後も収入は折半という事にするでござる」


マツ「パーティ? とは?」


ペキ「一緒に活動する冒険者の事をそう呼ぶでござるよ」


マツ「ああ、そう言えば、登山でもパーティって言い方しますね」


ペキ「それでござる」

ペキ「それに、マツ殿には今後、期待しているでござるよ。きっと、拙者がマツ殿…とバリー殿に助けてもらう時もきっと来るでござる」


マツ「なるほど。」

マツ「私はこの世界ではまだまだペキさん頼りですが、はやくお力になれるよう、がんばりますね」


ペキ「それにはマツ殿とバリー殿のレベリングでござるな」


マツ「はい、まずは、レベルアップ。そのためには、魔物を倒さねばならないと言ってましたね」


ペキ「南の森は比較的弱い魔物が多いとストーク殿も言っていたので、そこに行って見るでござるよ」

ペキ「と、その前に……資金もできたし、もう少し買い出しをしていくでござる」


マツ「何を買うんですか?」


ペキ「食料と、野営の道具、治療薬なども買って置いたほうが良いでござろう」


マツ「え、街の外でキャンプするんですか?」


ペキ「基本的にはしないつもりでござるが、万が一の備えでござるよ」


マツ「なるほど…」


――――――――

――――

――





――

――――

――――――――


そして、南の森にやってきたペキとマツとバリーさん。


ペキ「まずはマツ殿……いや、バリー殿、頼むでござるぞ」


バリー「にゃ!」


マツ「私はどうすれば?」


ペキ「身を守る事にまずは徹するでござる。テイマーは攻撃は従魔に任せるでござるよ」


マツ「なるほど…」


その時…


ゴブリンが三匹現れた。


マツはバックラーを構えた


バリーさんの攻撃。


バリーさんの爪撃でゴブリン一匹が斬り飛ばされた。


ペキ「バリー殿、最初から全力で行かず、魔力を節約するでござるよ」


バリー「にゃ!(分かってる!)」


※バリーさんの爪の攻撃は風刃の魔力を纏っている。


バリーさんの攻撃。


バリーさんの爪撃でゴブリン一匹が斬り飛ばされた。


バリーさんの攻撃。


バリーさんの爪撃でゴブリン一匹が斬り飛ばされた。


ゴブリン三体は撃退された。


ペキ「以前は、一撃で魔力切れになっていたでござるが、三体倒しても大丈夫になったでござるね」


バリー「にゃ!」


マツ「おや、レベルアップしたようです」


ペキ「レベルはいくつになったでござるか?」


マツ「ステータス……レベルは3になりましたね」


ペキ「……どんどん行くでござるよ」


マツ「ちなみにペキさんはどれくらいになったんですか?」


ペキ「拙者は今レベル17でござる」


マツ「うわ、差がつきましたね」


ペキ「ダビル・ヴァイパーの経験値が大きかったでござる」


マツ「私も大物を倒さないとダメですかね」


ペキ「いやいや無理は禁物、コツコツと弱い魔物を倒して稼いだほうが良いでござろう。いきなり強敵と戦って……バリー殿を死なせたくないでござろう?」


マツ「それは…! 分かりました、コツコツやります」

バリー「にゃ!」


ペキ「次が来てるでござるよ」


ゴブリンが三匹現れた。


バリーさんの攻撃。


バリーさんの爪撃でゴブリン三匹が撃退された。


だがその背後に、枝を踏む足音が聞こえてきた。


ユクラ「こんなところで遭うとは奇遇だなぁ? ニューフェイスコンビ」


ペキ「奇遇? まさかとは思うでござるが、尾行つけてきたわけではないでござろうな?」


ユクラ「バレたか」



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