第2話 チートは?! チートは貰えるでござるか?
碧(ぐはっ! まさかの巻き込まれ宣言とは~!)
碧(だがしかし! ラノベの異世界転生モノでは今や巻き込まれ者が主人公の異世界スローライフ系が主流! 拙者もそれなりに期待はできるはず!)
碧(なにより、念願の異世界転移でござる。確認しなければならない事はたくさんあるでござる。チュートリアルは集中して聞くべきでござるな)
気を取り直し、続くオサムサンの説明に集中する碧。
一方、タイガとニコは、退屈そうな様子で、あまり集中して話を聞いてるようには見えない。
だが、オサムサンは聞いていようがいまいが気にせず説明を続けていく様子。
碧(まぁ、相手が聞いていなくとも、説明したという事実さえあれば仕事は終わりでござろうしな。聞いてない相手に説明をしなければならないのもつらいでござるよな。しかし…)
碧(…異世界転移に詳しい拙者と違って、タイガ殿はラノベなど読んだ事ないと言ってたのだから、ちゃんと説明を聞かなくて良いのでござろうか…?)
碧(先程ガールフレンド? に勉強が苦手などと言われていたが、そうやって人の話を聞かないところが原因なんでござろうな…)
さて、人の事はともかくとして、碧には確かめなければいけない事がたくさんある。転移する異世界はどんなところなのか? そもそも転移なのか転生なのか?
異世界と言っても色々ある。魔法がある世界もあれば、科学の進んだ未来SF的な世界の可能性もあるし、ゾンビが蔓延るホラーな世界かもしれない。
だが、話を聞いてみると、どうやらお姫様や魔法使いや騎士や竜やエルフやドワーフがいる、典型的なファンタジー世界らしい。
碧(拙者としてはこれは願ったり叶ったりでござるな…)
碧「はい! オサムサン殿!」
手を上げる碧。
オサムサン「はい、ペキ君」
碧「ペキじゃないでござるが、それはともかく。転移でござるか? それとも転生になるでござるか?」
オサムサン「ああ、それは好きな方でいいですよ。新しい世界で赤子として生まれて成長するもよし、いきなり大人からスタートでもよし」
碧「転生の場合も記憶は…?」
オサムサン「もちろん、どちらの場合も前世の記憶は残してあげられます。消す事もできるけど、それだと普通に生まれ変わっただけで、あまり面白みがないもんね」
碧「して! 一番肝心なところをまだ聞いていないでござる! チートは?! チートは貰えるでござるか?!」
オサムサン「うん、こっちの都合で引き抜きやってるんで、それはちゃんと用意してあるよ」
タイガ「チートってなんだ?」
ニコ「ほら、強力な魔法とか、すんごい強い力とか、そういうヤツじゃない? タイガは勇者だから、すんごい強い力を貰えるよきっと」
タイガ「へぇ、それなら、まぁ、そのイセカイってのに行くのも悪くないか?」
碧「あのー、オサムサン殿。異世界に行ったら、なにかやらなければ行けない事とかはあるでござりますか? “使命” みたいな?」
オサムサン「ああ、うん。ちょっと魔王が誕生してしまっててね、それを倒して貰いたいんだ。現地の種族ではちょと討伐できそうもないもんでね」
碧「王道パターンでござった…」
オサムサン「一通り説明もしたし、そろそろ行ってもらおうかな?」
碧「え、もうでござるか?」
飲み込みの早かった碧だが、まだまだ聞きたい事がたくさんある。ましてや他の三人は、いきなり拉致されてきてもう戻れないと言われたのだ。まだそのこと事態を完全には飲み込めていないし納得できていない。
特に運転手のマツマツ氏は、事態にも話にもほとんどついていけず、かなりの困惑顔である。
それに気付いたオサムサンがフォローする。
オサムサン「ああ、マツさんとペキ君は一緒の場所に転移させてあげるから、後はペキ君が詳しく教えてあげてよ」
碧「あの…拙者、ペキじゃなくてアオなんででござるが…」
オサムサン「悪いね、あまり時間なくてさ。じゃぁまずはそっちの二人から」
碧「スルーされたでござる!」
オサムサン「
ニコ「大人スタートってこと? いいよ。もう一度赤ちゃんからスタートは面倒だしぃ」
タイガ「ああ、今更赤ん坊に戻ってやり直しなんて面倒いな」
ニコ「それに、親ガチャ失敗したら悲惨だもんねぇ…」
オサムサン「それから、魔法適性を一種類ずつオマケで付けるよ。【勇者】と【聖女】のスキルだけでも十分なんだけど、今回はちょっと無理なお願いなので、サービスしろって神様が」
タイガ「へぇ、そりゃありがたいね」
ニコ「魔法? ってどんな? ステッキ持って変身するとか?」
碧(タイガ殿とニコ殿は異世界転移に同意したようなかたちになってるでござるが・・・これって、選択肢を与えて選ばせる事で判断を誘導する話術な気も? まぁ、余計な事は言う必要はないでござるな)
碧(…しかし、オサムサン。分かっててやってるとしたら、なかなかの癖者でござるな)
何故かその時、オサムサンが碧に向かってウィンクしてきた。
碧「おっと、心が読めるパターンのやつでござったか…」
オサムサン「ステッキ持って変身…はないかな。魔法には属性があって、メジャーなところでは火、風、水、土の四種類」
オサムサンがタイガ達に魔法の説明を始めた。碧なら説明は要らないところだが、タイガとニコには必要であろう。
オサムサン「他に光(聖)属性と闇属性というのがあるけど、【勇者】と【聖女】は自動的に光(聖)属性がつくから。光と闇は同時に持てないから、闇はなしで。あ、他に、どの属性にも属さない魔法っていうのもあるけど~」
碧「あの! それって空間魔法とか!?」
オサムサン「ゴザル言葉はやめたの?」
碧「あ、つい…。それで…?」
オサムサン「あるよ。空間魔法」
碧ふたたびのガッツポーズ。
タイガ「おお? なんだなんだ? メガネ君が食いつくってのは、何かおいしい魔法なのか?」
ニコは首を傾げていた。
オサムサン「ああ、例えば代表的なのは収納魔法かな。たくさんのモノを収納して持ち運べるとか」
タイガ「……なんだよ、荷物持ちかよ…!」
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