第3話 古民家カフェで休憩

 鬼ノ城を下山したら、古民家カフェに立ち寄ってみてはどうだろう。

 備中国分寺の近くにある「珈琲と人」は古民家を改装した和風カフェだ。田舎のおばあちゃん家のような温かい雰囲気の店内は、ほっこりした気分になれる。お店では自家栽培の野菜やお米を使った食事やドリップコーヒーが楽しめる。


 畳にちゃぶ台の席で注文したのは魚の小鉢とお蕎麦のセット。サーモンのマリネはバジルソースの風味が良い。蕎麦はほどよいゆで加減が好みだ。新鮮なつやつやのお米のとろろご飯はのどごしなめらかで、するするとたいらげてしまった。


 鬼ノ城ハイキングでカロリーを消費したはずなので、心おきなくデザートを注文できる。定番メニューのキャラメルチーズケーキはしっとり濃厚。口に含めばキャラメルの甘い風味が香る。頑張ったあとのご褒美に、ちょっとした贅沢が嬉しい。


 汗を流すのに五重塔や作山古墳近くの「サンロード吉備路」で温泉につかるのもいい。ここは天然温泉で、日帰り入浴もできる。吉備路観光の拠点として県外からの宿泊客も多く訪れる憩いの場所だ。


 東京在住の友人がぜひ鬼ノ城に行きたいと言っていたことを思い出す。友人は三国志が好きだというので、中国の魏・呉・蜀と鬼ノ城が一体どんな関係があるのかと私は首を傾げた。友人の三国は新羅・高句麗・百済の朝鮮半島の国だという。なるほど、鬼ノ城が百済の王子の居城だったなら興味を持つことも頷ける。


 温羅は悪行で民を困らせたという説の他、大陸からたたら製鉄技術を持ち込み、吉備の国で繁栄を築いたという。しかし、地方の繁栄をよしとしない大和朝廷は温羅征伐に乗り出す。全国統一のため、北陸、東海、丹波、西道(山陽)に四将軍を派遣した。そのときの西道将軍が桃太郎のモデルとされる吉備津彦命(きびつひこのみこと)だった。


 吉備津彦命は岡山市北区尾上の吉備の中山に陣を敷き、温羅との戦いに挑む。その戦いで吉備津彦命が築いた石の楯が、吉備の中山から西へ約三キロ地点の楯築遺跡に残る。

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