第32話 3年E組金髪先生

「今日からこのクラスを担当されるモンロー先生だ。まだ経験も浅いから先生を困らせないように。では、モンロー先生あとは宜しくお願いします。」


 朝イチから教頭がE組に来て、新しい先生を紹介する。なお、Eクラスはもともと担任は付いていなかった。一限目を担当する教員が出欠とホームルームを担当する決まりだったが、教員とて人の子。その担当となる教員は毎週怪我をして帰る事になるので不人気な仕事である。

 教頭はモンロー先生にタッチしたあとはなにかされる前にそそくさと教室を去った。


「ハァーイ!今日からこのクラスの担任になるジェーン・モンロー先生よ。専攻は風魔法よぉ」


 ボンキュッボンな体形に美しい金髪をしている。スカートはふわふわで長いのをはいている。控え目に言ってかなりセクシーだ。


 クラスのみんなは当然のように色めき立っている。知ってるぞこのノリ。実はサイコパスとか実はハニー・トラップとかそういうのだろ。


 アーネストはそもそも担任の見た目には殆ど興味が無い。全くないと言ったら嘘になる程度だが。とりあえず、このクラス担当するならその長いスカートは茶巾寿司とかされるから気を付けてな。


「ププッピドゥ〜……ワォ!」


 生徒にいたずらされる前に自己紹介がわりに自ら風魔法で風を起こしてスカートめくれるのを手で押さえてる。ダメだこりゃ。自分でスカート茶巾寿司やっとるやん。やっぱりE組担当するってくらいだから百戦錬磨の猛者か貧乏くじ引いてるのに気付かない天然のどっちかしか来ない。彼女の場合は年齢的に後者だろうが、このクラスの異常さを超えて天然だ。この世界、マトモな人間一人もおらんのか?


「出席とるよ。いない人手を上げて」


お約束過ぎるがここはE組、手を上げるバカが3人おる。


「はい、ウィリアムくん頭痛のため早退、ステファンくん左膝捻挫のため早退、ひろ子さん左手脱臼のため早退……あとサムエルくんは風邪で欠席、たかしくんは電車遅延ね。」とメモを取ると、ウィリアムの頭を百科事典でぶん殴り、ステファンの左脚に蹴りを入れ、ひろ子に関節技を掛けてメモを現実のものにしていく。


 暴力教師だ。ところで、サムエル君とたかし君は座席にいないからわかったのだろうが、わかってるなら手を上げてなんて言うなよ。見りゃわかるだろで終わりじゃないか。


「やる気がないなら帰りなさい。ここは勉強するところです。やる気のある他の生徒の邪魔をしないように。それに、このクラスには隣国のVIPの御子息じゃなくて本人が居ます。先生は無干渉モンロー主義者ですが、トラブル起こすと向こうから干渉されるおそれがあります。粗相のないように。」


あっ、なんか思い当たる節がある……。学園から目をつけられて監視役としてE組の担任付けたのか。でも、組織の歯車としてしか動けないし、そもそも常駐してないし、サンディが作ったガチガチの組織で私情を差し挟む余地なんか1ナノメートルもないんだけどな。

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