第31話 泊まり込みバイト明け
一通り仕事は片付いたので、帰ろうとしたらサンディに止められた。
「学位なんて大聖堂でいくらでも出せるからあんなとこ行くのやめよ?」
いやいや、それってどうなのよ?「学の独立」はどうなった?
「じゃあ聞くけど、政府が学校に補助金出すのはなぜ? 本当に見返りなし?天下り受け入れて曲学阿世やってない?そういう天下りの出世が速かったり、それに媚びた学者が先に学位取ってない?それだけならまだしも本来学位を取るべき有能な才能の苗をそういう人たちが刈り取ってない?」
ぐうの音も出ない……。
「いっしょにやめちゃお?そしてこの国に骨を埋めて。」
いや、なんで?というか、学校やめるのと隣国に移民するのとの間には結構大きな段差があると思うのだが。
「そもそも国王不在なのは何かと示しつかないし」
そういうことか。そうだった、先日のクーデターでこの国には王が居ないのだった。
「次の国王とっとと見つけないとな。そもそも王家の正統性ってどういうもんなんだろね?王家の血を引くものが全員いなくなったんだろ?」
「少なくとも、うちの国では聖女が任命したらそれが国王よ。だからアーネストは対外的にも正式に国王になってるよ?」
ハァ??!聞いてないぞ
「えっ?聞いてないよ。」
「ちゃんと戴冠式も(泡吹いて気絶したまま)やってるんだけどな〜。王宮に引っ越してくれない?」
あんな事故物件嫌です。いや、贅沢言ったら誰か罰せられるやつだから選択肢は無い。
「ご期待に添える対応がとれるよう現状を熟考のうえ前向きに善処出来るよう検討させていただきます(棒読み)」
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