第15話 ハイドロマチックの代償は大きかったorz
ナイト2000なりきりパーツに目を輝かしてるサンディに付き添っていると店のオヤジがやってきた。
「話は三波から聞いてる。アーネスト君だったな。どんなクルマに仕上げていこうか?さっそく詳細を詰めよう。」
待ってました。このタイミング。アーネストはこのときのためにさんざん練習してきた一連の言葉を放つ。
バン!
「このクルマはシステマチックで!」
バン!
「オートマチックで!」
バン!
「ハーイドロマチックだったはずではないですか!」
すると並木は頭を抱えた。人がせっかく練習してきたダンスのイントロやってるのにノリ悪いな
「ハイドロマチックサスなぁ………。私としたことがハイドロマチックサスか〜。」
悩んでいるようだから、ハイドロマチックは諦めようかと思ったその時、並木が何か閃いたようでおもむろに聞いてきた。
「学生のキミが負担できるとは思ってないが念のため一応聞いてみよう。コレだけ用意できるか?」
並木は電卓に数字を打ち込み提示する。なるほど、わからん。
「サンディ、どう思う?」
財布の紐を握ってるのはサンディだ。どういう反応するんだろう?
「それで橋がない川をジャンプして向こうに渡ったりビルを飛び越したりできるの?」
ハァ!!?!何を聞いてるんだこの子は?どこからその発想が出てくるんだ?ものすごい断り文句だ。
ところが並木はにやりと笑みを浮かべ。「
よくぞ聞いてくれました!」と、ハイドロマチックサスペンションを高速かつ絶妙に制御することでクルマがジャンプ出来る仕様になり急な飛び出しにも上に避ける事が出来るようになる事、そして液の車体内での配置を制御することで滞空中の姿勢を制御して飛んだはいいがひっくり返ったりしない、空跳ぶクルマになると言うことだ。
「そして、必殺技だがこの重量のある液を下に高速で射出することで液がなくなるまでだが飛び続けることも出来るぜ。」
いや、その燃料漏れみたいなのやめない?
超高出力三波サイクルエンジン搭載で空跳ぶクルマとか目眩がしそうだ。
「でも高いわね!せめてその半額なら考えなくもないけど。」
サンディの先制値切りパンチが炸裂する。
「こっちも生活あるんでね、これくらいが限度だねぇ」
並木は防御するがクリティカルヒット。いきなりの8掛けゲットだ。サンディやるなぁ。
「仕上がったら撮影して広告に使っていいから6掛けにならない?」
サンディ食い下がる。ここまでは誰でもできるがここからが踏ん張りどころだ。
「いやいや、大出血サービス、これ以上は本当に赤字だが、あえて7掛けだ」
並木は完全に押されてる。こりゃ本当に半額狙えんるんじゃないか?
「それだと付けたいエクステリアパーツの予算を食ってしまうわね。6.5掛けでKITTなりきりパーツセット付ければ」
おまけ付けろ作戦か。一回つけさせてから後で切り離してさらに値引き話するためのアテでしかないんだよな。
「良い取引だ。6.5掛けKITT風カスタム込みで引き受けよう。」
おっ、金額交渉成立。ここからアテのおまけを外して………とアーネストが思っていたら……
「はい、それでお願いします。」
サンディ……裏切ったな……。
こうしてクリスティーンがKITT風トンデモ痛車に改造される事が決められてしまった……。
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