第14話 並木モータース

 三波サイクルの紹介でクリスティーンは並木モータースに輸送された。日を改めて修理内容などについて相談するため訪問することになった。


 新しく買うとかならわかるけど、壊れたクルマを修理するのにどこをジャンク部品どこをリビルドとか決めて予算に収めるっていうめんどくさい話だから任せてくれればいいのに、何故かサンディ(本名はヨシオ)もついてくると譲らない。


 「わたしたちふたりのクルマだもんね!ステキなクルマにしよ!」


いやいやいや、オレのクルマだし。新しく買うほどのカネは無いよ?ただの修理の詳細詰めるだけだよ。


「前の学園祭イベントの賞金が唸るほどあるから資金補助していいよ。もともとアーニーのお陰で増えたようなもんだし。」


庇貸して母屋乗っ取られたらたまらんが、慢性金欠のアーネストにとってかなり魅力的な提案だった。なんとか折衷案は無いだろうか。


「資金は正直喉から手が出るほど欲しい。その条件は何だ?命名権か?所有者の名義か?使用者の名義は譲れないぞ。」聞いてから判断しようと資金提供の条件として何を求めているのかを聞いてみた。


「外向きの見かけを決定する権利♥!」


ふむ。デートとして初めて外装を見たときの引き攣った顔を思い出す。悪かった。エージング塗装はやめておけってことか。いや、あれはエージングじゃなくて、本当に年季入ってボロいのを修理する予算がなかっただけなんだが。でも気持ちは痛いほどわかる。むしろこっちが悪かったと謝りたい気分だ。


「そんなことなら、頼んだ。」


契約成立だ。痛車でもなんでも動きゃよし。あれは好きでエージング塗装してたんじゃなくてガチのボロなんだ。


 二人で歩いて並木モータースに向かう。クルマは三波サイクルから直送されてるから身一つで行けばいい。


並木モータースに到着するとそこは、最大積載量ギャル一人とかのシールや電飾パーツを売ってるデコトラの店みたいだった。湾岸ミッドナイトの高木みたいな本格ボディチューンの店を期待したのにちぇ〜。


テンション下がるアーネストを横に、サンディ(本名はヨシオ)の方はテンション爆上りしてる。


「うわぁ~♥」


並木モータースの店内にあるエクステリアパーツのデモを見て、サンディ(本名はヨシオ)は感歎する。ナイトスキャナー風の往復点滅するLEDに完全に目がハート形に怪しく輝いている。


次回、クリスティーンに最大の危機迫る!


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