第12話 紅葉ドライブデート

 今日はサンディと紅葉を見にドライブデート。やっぱ2シーターはデートしてナンボだよな。噴水のある公園で待ち合わせて、合流する。


前一度乗せてるのだが、昼間に外観を見たのは初めてのようで、サンディはかなり顔が引き攣っている。


「スゴいクルマね。」


うん。このスゴいというのは絶対にいい意味じゃない。わかってるわい。


「でも中は平気だぜ。前も乗っただろ。」


うん。と言って乗ってくれた。いや、駄目かもしれんと少し思ったが微かにデートする方に傾いてくれたようだ。


 もとがスポーツカーのようで、ともかく車高が低い。運転姿勢からよく見えるのは道路ばかりで紅葉は見上げないと見れない。本当に見晴らしが悪い。助手席のサンディ(本名はヨシオ)だって6点シートベルトでフルバケシートに縛り付けられてるからあんまり思い切って上を見上げることもできない。


 この助手席、デート用じゃなくてラリーでコ・ドライバーが乗るための「ナビシート」ってやつだよな。そのくせオートマだから出れる競技は殆どない。カスタマイズ内容に疑問符が付きまくりだ。



ーーー

 しばらく走っていると郊外に出てるのにさっきからずっと同じクルマが6台ついてきている。これは怪しい。とりあえず、道路脇のコンビニに停める。3台づつに分かれて3台はコンビニに付いてきた。うん。そう動くよな。つきまといするときの動きだ。


 自然さを装うためにそのまま行く3台とつきまとう3台に別れるんだ。で、コンビニを出て今まで来た道を戻る。来た道を少し行くとなんか反対側の路面が濡れているような気がするが、まさかフルード類漏れてないよね?


 ハイ、ビンゴ。Uターンしてるはずなのにさっき通り過ぎた3台と合流してまた6台になってますね。ちょっと思い当たる節がある。


「あの、後ろのクルマ、マーリンの暗殺部隊ね。」サンディは耳打ちする。魔道士というだけでなくそういう後ろ暗い仕事もマーリンの家が請け負ってると言うのはAクラス人脈ではそこは良く知られている話のようだ。


 しかしそうはいってもクルマ対クルマなら走るのに特化したこっちに分がある。クリスティーンについてこれるかな?


「それは危ないな。サンディ巻き込むわけに行かねえから飛ばすぞ。」


 アーネストはクイッとフルスロットルをくれてやると、ボテボテと外装が外れたあとアフターファイヤーが起こり、後ろが大炎上後大爆発して6台のクルマが全部ぶっ飛んでいった。路面が濡れてると思ってたが燃料漏れでガソリンぶち撒けてたらしい。


「本当に、みたいだね。」

いや、そのつもりはなかったんだが。


 その後外装の剥がれたのが蜂の巣になってるのも確認した。どっかの阿呆が銃で辺りは火の海…か。コイツが弾道を逸らしてくれたんだな。クリスティーン、やるなぁ。


「せっかくのドライブデートがこんなのになって済まない。」


「いいのよ。いい気味だわ。いいえ、ただ紅葉観るのよりも遥かに私の魂が喜んでいるのを感じるわ」

サンディはクリスティーンに、安らぎよりも素晴らしいを感じ始めていた。





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