第8話 季節の変わり目
「おはよう!」
深夜の海からの帰りを送って以来サンディー(本名はヨシオ)は登校時何故か途中で出会う。偶然なのかねぇ?
「あよ〜んす。」アーネストは特に気にするまでもなく普通に返事する。但しEクラス式の「普通」だ。Aクラスのお上品な御曹司、御令嬢はこんな発音しないだろう。
「また海に行こうね」
サンディー(ヨシオ)はおねだりする。
闇夜のなかヘッドライトに浮かび上がる自殺願望者にしか見えなかったのを思い出しアーネストは身震いする。
「あれ、マジで心臓に悪かったんだからな!」
「ごめんごめん。来年の夏に海連れてってね。」
「海以外になにかないかな?秋に行くと良いところとかさ。」
まだ残暑が残るが、海水浴って季節でもないしまだまだ紅葉って季節でもない。さてこういう時のドライブスポットってどこなんだろう?そう思いながら、サンディと分かれてEクラスの教室に向かう。
ーーー
新学期には文化祭、体育祭と学園イベントがもりだくさんだが、学生たちが見世物にされるシーズンであって学生たちに見るという立場はあまりなかったりする。Eクラスに関しては自主企画を開催することも無い。
他校イベントに参加するというのもあるにはあるが、これもまた学園当局の利権で見世物にしようしようと手ぐすね引いて教職員たちが計画してる。黙って学園と関係ない立場で見に行けばいいのだが、それをきっかけに学校対抗イベントとかの大義名分にされて入場料やスポンサー付けての利権を始める。教職員ってのはそういうもんだ。ニルバーナの1stアルバムみたいな連中だ。
楽しい、見に行くべきところがないときの過ごし方は下手に利権に関わらずに普通の肉体労働バイトに限る。なんにしても、学生に10万の出費は痛い。デート資金を確保するにもちょいとバイトでもしないとな。
放課後、バイトを探しに学生課に寄る。 学生課にはさまざまなバイトが掲げられてる。冒険者ギルドのモチーフってコレだよなと思いながら一つづつ見ていく。
薬草の採集みたいなのないかな〜と見てると。代わりに「
一応説明がいると思うが、ここは異世界なのでグラスもウィードも違法ではないし、樹脂も一定量以下ならば規制はない。
但し、100kg以上の樹脂を所持使用運搬するには別途麻薬取扱技師資格が必要なのだが、この資格はどちらかというとうん、なんというかその、平民とも貴族とも違うもう一つのちょっと違う身分の人たちが住む集落があって、政府がそこを支配下に併合するために方便として用意した免状のようなもので、実質的に特殊な身分の証となってる。
一応は資格があれば合法だし、悪いものでもないんだが、名義貸しみたいなので取引額の8割をその集落の顔役に貢ぐっていう不文律がある。某国の原住民の子孫にしか認められないカジノ利権や、その属国の公営ギャンブル場における予想屋とかと似たようなもんだ。
例に漏れず合法範囲の量でも見逃すわけに行かねえなと目をつけられたらそういう集落から絡まれるってヤツである。政府も無理に併合した見返りに特権として認可してる手前、この件に関しては全く当てにならん。とりあえず、こういうバイトはやめておこう。関わらんのが吉。差別じゃないんだよ。彼らには彼らのルールがあって、彼らの仕事をするということは彼らのルールに従う必要があるが、そのルールがこっちと恐ろしくズレているから従えないし、従えないのだからその仕事はしないということだ。
その日は無難にイベント設営のバイトを引き受けた。
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