第7話 7日7日にこの海辺で逢いましょう。

 納車ついでに海の街に来て、駐車場でラジオつけたらクルマのコンピュータに仕掛けられたイースターエッグ見つけて人工無能と会話して遊んでいた。なかなか夢があって良いセンスしてる。KITTみたいなスーパーマシンでは間違ってもないがな。

 そういえば7日7日にこの海で逢いましょうという約束をしてたな。ダメ元で一応行ってみるか。


 季節外れの夜の浜辺。ゴーストタウン化した海水浴場周辺の家屋。夏の日のあの賑わいがすべて取ってつけた単なる商品であったことを物語る。仮設で営業してる海の家はまあそうだろうなとは思ったが、世話になった民宿も雨戸を閉じ、おそらく無人だ。

 もしかして、アキラ・アサクラ以外全員余所者とかそれくらいのことはありそうだ。

こんな寂しい季節外れの夜の海岸に来るなんて当然不審者そのものだが、ヘッドライトに照らされて暗闇に海岸にひとり立つ女性の姿が現れた。これはいけない。早まるな。生きていればなんとかなる。

 その女性のところに駆けつけ、「早まるな!とりあえず話を聞こう!」と声をかける。

すると聞き覚えのある声で返事が来た。


「アーネスト!来てくれたの?もう会えないと思ってた。」


 サンディー(本名はヨシオ)だった。

なんでも、約束した手前一応来てみたけどあまりの寂れ具合にビビって、約束するんじゃなかったと後悔してたそうだ。とりあえず日が変わるまで待てば約束は果たした事になるから、それまで頑張ったけど、そうしたら終電がなくなって帰れなくなったらしい。


 計画性というものがないんだな。なかなかロックなやつだ。


「クルマで来てるから送るよ、一緒に帰ろう。」


ということで、早速のドライブデートだ。やったぜ。クリスティーン見せてくれ!


 ちょっと変わった運転にはじめのうちは驚いていた彼女だったが、別に異常な速度で飛ばしてるわけではなく、ちょっと曲がり方が変なだけで危険な感じは特になく、バカAIも静かにしてくれていたのでムードは悪くない。

 あぁ、実用的でラクなクルマならいいムードついでに停めてあんなことやこんなこと出来るんだが、もともと2人乗りの上に整備の名のもとにロールケージやら6点シートベルトやらで身動きが全然取れない。



それなりの距離だったが、着いてしまえばあっという間だった。ともかく速い。

「ありがとう。また明日ね」とサンディーが降りて扉を閉めようとすると、バチッと音を立てて激しい静電気が飛ぶ。これこれクリスティーン、嫉妬は良くないよ。

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