第6話緊急事態発生?

「カガミンの配信観た?めっちゃブチギレてたよね…静かにキレるタイプだから本当に近しい人じゃないと気付けないんだよね。ああいうタイプを怒られせると本当に怖いし面倒なんだよ。私も昔喧嘩したことあるんだけど…正味三ヶ月は口を聞いてくれなかったからね。別にいじめとか嫌がらせをされたわけじゃないけど…あの当時は結構空気悪かったよ。当時を知らないメンバーはカガミンが優しいだけの存在だって勘違いしているみたいだね。フロンティアタイム初期から中心メンバーだったカガミンが優しいだけなわけ無いじゃんね。数多くの修羅場をくぐり抜けて現在だってトップを走ってるんだよ?生半可な覚悟で活動しているように見えるメンバーを許せなくても仕方ないと思うけどなぁ〜…」

司馬芝居しばしばいの配信で先日の神内鏡の発言に触れている場面が切り抜かれていた。

そこのコメ欄で不穏なものを発見する。

「彼氏作ろうとしているメンバー。除籍で良くない?」

「そのメンバー追い出せよ」

「フロンティアタイムに男性の影はいらない」

「何か勘違いしているんじゃないかな」

「有名になったからって天狗になりすぎ」

明らかに鉄星と禍々雅を罵倒するようなコメントが流れていて、その切り抜きを見た僕は背中に嫌な汗をかく。

「そもそも四条賢人って誰?有名人?」

「知らない。鉄の同級生っぽい」

「じゃあ鉄の出身高校でも調べたら正体に辿り着くかな?」

「かもな。でも鉄は身バレ予防が完璧だから。何処出身かもわからない」

「そうなの?なまりとか無いから都内では?」

「そんなの直そうと思えば直せるから断定はできん」

「じゃあ張るか」

「その発言をコメ欄でする時点でお前はアホ」

その様なコメントが一気にたくさん流れてくる。

僕自身も身の危険を感じるのだが…鉄星と禍々雅の方が心配だ。

二人は身バレしていないが、もしもバレてしまったときのことを考えるとそれだけで嫌な想像がいくらでもできた。

恐怖を感じた僕は彼女らにメールを送る。

「大丈夫そう?不穏な動画をいくらか確認したけど…」

それにすぐ返事を寄越したのは鉄星だった。

「問題ないと思うよ。雅ちゃんが言うには知らんぷりしてたら勝手に鎮火するって。謝ったり問題に触れるとそれだけで燃料にされるって。炎上に慣れている雅ちゃんの助言だからきっとそうなんだと思う。心配してくれてありがとうね」

鉄星からの返事を理解するとこちらからも返事をする。

そして、遅れてやってきた禍々雅からの返事を見て僕は息を呑む。

「私は大丈夫なんだけど…コラボの告知したでしょ?企業のホームページに賢人くんの名前と顔写真載ってるよね?それで確信めいた憶測が飛び交っているみたい…。ごめん。私達のせいで賢人くんに迷惑かけるかもしれない…何か怖い体験する前にうちの護衛をつけるよ」

「そうなの?怖い思いはしたくないけど…護衛ってSP的な?」

「そう。マネージャーではあるんだけど…大学生まで柔道やっていた強者だから。こういう場面ではSPの役目を担うんだ。明日から護衛に向かわせるよ」

「ホント?それは助かる。ありがとう。福留は大丈夫なの?僕の正体から派生して身バレしてない?」

「私は大丈夫。知り合いで禍々雅の正体を知ってるの賢人くんだけだから」

「そっか。でもこれからも気を付けて」

「了解。じゃあ明日からSPに守ってもらってね」

「ありがとう」

それだけのメールのやりとりでお互いの近況を理解するとこれからの事態に備えるのであった。

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