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それにはまた笑うのを我慢しながら、2人きりなるとこういうめちゃくちゃ可愛いことをやりだす羽鳥さんのことを今日もいじめていく。




「うん、貰った。」




「そうなんだ・・・何個?」




「結構な数。」




本当のことを答えると、羽鳥さんがショックを浮けている顔になった。

それにもまた嬉しくなりながら続ける。




「本気の告白もありましたよ。」




「そうなんだ・・・。

彼女出来たんだ、おめでとう。

もう高校3年生だし、来月には18歳の誕生日もあって高校も卒業するもんね。」




「いや、告白は断ったけど。」




「え・・・!!?

そっか・・・そうなんだ・・・。」




泣きそうになりがら安心した顔で笑っていて、そんな顔もどうしようもなく“可愛いな”と、“愛おしいな”と、“めちゃくちゃ好きだな”と、やっぱり思う。




「お返し、何を渡したの?

その場で渡したってさっき聞いたけど。」




「頬にチュッてしておいた。」




俺の言葉に羽鳥さんは大きな目をもっと見開き驚いている。




「俺、お金ないから返せるモノなんてないからさ。」




「でも・・・だからって、そんな・・・。」




「俺は百貨店のホワイトデーコーナーのお菓子なんて買えないし。」




あのオジサンはお節介にも聞いてくれたのだと思う。

羽鳥さんが俺にチョコを渡すと思い、お嬢様の羽鳥さんがどんなお返しだったら良いのか俺の前で聞いてくれていた。




たまに常連さん達は俺にこんなことをしてくる。

羽鳥さんのことだけではなく、俺にエゴのようなモノを押し付けてくる。




いらなかった・・・。




俺はやっぱり、そういうエゴみたいなモノが大嫌いだった。




今日も改めてそう思い、百貨店に入ることもないからそこに並んでいるお菓子がどんな物なのかもいくらなのかも分からないことに苛立ちながら羽鳥さんから視線を逸らした。




「凄く嬉しかったと思うよ?」




羽鳥さんの静かな声が俺の耳に入ってきた。




その言葉を聞きもう1度羽鳥さんに視線を戻す。




「幸治君のことが好きな女の子達、百貨店のお菓子よりもずっとずっと嬉しかったと思うよ?

好きな人から頬にキスをして貰えるとか、凄いお返し過ぎてビックリしちゃった。」




「羽鳥さんは・・・?」




「ん?」




「羽鳥さんだったら嬉しい・・・?

百貨店のお菓子よりも頬にキスをされる方が嬉しい・・・?」




「それは・・・うん、たぶん。」




「俺だったとしても嬉しい・・・?」




カウンターの向こう側にいる羽鳥さんに聞いた。




内心めちゃくちゃ震えてきたけれど、聞かずにはいられなかったから聞いた。




羽鳥さんは俺の顔を真っ赤な顔になりながら見上げ続け・・・




そして、小さくだけど頷いた。




頷いてくれた。

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