ナメクジの白日夢
文重
ナメクジの白日夢
殻があるとないとで何が違うというのでしょう。私、ナメクジは、じめじめした裏庭や台所などで人と遭遇しようものなら、嫌悪の眼差しを向けられることは必至です。ひどいときなどは、塩をかけられて体が縮んでしまいます。
それに比べてカタツムリは歌までつくってもらったり、かわいいイラストになったり、食用として珍重されたりしていますよね。まあ、食べられてしまうのは願い下げですけれど。
夕方、塀の下を歩いていたら、空き家のカタツムリの殻を見つけたんです。多分マイマイカブリか何かに食べられちゃったんでしょうね。そこでふと思い立ったわけです。この殻を背負ったらカタツムリになれるんじゃないかと。
なれたんです私、カタツムリに。しかもみるみる大きくなって輝くばかりに美しいカタツムリに。そして、かわいい坊ちゃんを背中に乗せて夜空を飛び回ったんです。え、嘘だろうって? 空をごらんなさい、たなびく銀のシュプールが見えるでしょう?
ナメクジの白日夢 文重 @fumie0107
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます