ナメクジの白日夢
文重
ナメクジの白日夢
殻があるとないとで何が違うというのでしょう。私、ナメクジは、じめじめした裏庭や台所などで人と遭遇しようものなら、嫌悪の眼差しを向けられることは必至です。ひどいときなどは、塩をかけられて体が縮んでしまいます。
それに比べてカタツムリは歌までつくってもらったり、かわいいイラストになったり、食用として珍重されたりしていますよね。まあ、食べられてしまうのは願い下げですけれど。
夕方、塀の下を歩いていたら、空き家のカタツムリの殻を見つけたんです。多分マイマイカブリか何かに食べられちゃったんでしょうね。そこでふと思い立ったわけです。この殻を背負ったらカタツムリになれるんじゃないかと。
なれたんです私、カタツムリに。しかもみるみる大きくなって輝くばかりに美しいカタツムリに。そして、かわいい坊ちゃんを背中に乗せて夜空を飛び回ったんです。え、嘘だろうって? 空をごらんなさい、たなびく銀のシュプールが見えるでしょう?
ナメクジの白日夢 文重 @fumie0107
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