第9話 通学途中(隆之介視点)
「ねえ、それよりも隆之介がお姫様と喫茶店に行ったって噂がウチのクラスで話題になってるんだけどさ。その、……本当なの?」
「えっ!? 誰がそんな噂を流してるんだよ?」
「誰って、どこのクラスでも話題になってるわよ」
俺は思わず頭を抱えた。それは非常にまずい。
「海斗は、その噂のこと、何か言ってたか?」
「昨日までは、ふざけるな、って怒りを溜めてたと思う」
海斗が噂を広げてるんだと思ってた。いや、初めはそうだったのかもしれない。
「俺はお前とエッチしたら、お姫様も攻略して、ふたり一緒に可愛がってやるぞ、って言ってたような……」
いや、それ絶対やばいやつだろ。大丈夫なんかよ。
「で、可憐はなんて言ったんだよ」
「あまりに現実味がなくて、苦笑いしたよ」
現実味が無くても、海斗ならやりかねない。
「そのさ、昨日も言ったけど、そんなこと言われて可憐は平気なのか?」
「平気なわけないでしょっ! エッチする宣言されて、他の女と一緒に可愛がるなんて、聞いただけでも気持ち悪いよ!!」
「なら、なんで嫌だって言わないんだよ!!」
分かってるのに、思わず聞いてしまった。
「知らないわよ。わたし、数日前から身体が変なんだよ! 海斗のこと考えるとさ……その……濡れると言うか……」
可憐は顔を真っ赤にして俺を見た。
「もういいよ。気にするな」
「でも! わたし最低の女でしょ。こんなの変だよ!」
もしここが日本なら俺は可憐を軽蔑しただろう。
「最低じゃないよ」
ホテルには行かなかったけど、寝取られエンドが確定してるんだから、海斗のことを考えて濡れるのはこの世界では当たり前だ。
「ごめんね……、本当に自分が嫌になるよ!」
俺は可憐の頭をポンポンと叩いた。
「考えすぎだ! 可憐は疲れてるんだよ」
「隆之介、わたし……、怖いよ……」
可憐の身体は小刻みに震えていた。そんなに怖がってても昨日のことを話してくれないのか。
「可憐、昨日のLINEの内容なんだけどさ」
この言葉に可憐はビクッと明らかに反応した。
「だから、昨日のは、何でもないって……本当に、海斗考えすぎだよ!」
そして、明らかにぎこちなく笑う。
「海斗に脅されてるとかないよな?」
「うんっ、そんなことはない!」
嘘だ。でも、俺にはそれを調べる術がなかった。
「本当だな! 何かされてたらすぐに言えよ」
「大丈夫、大丈夫!」
可憐はもう一度、ぎこちなく笑う。
「おっと、これは可憐と隆之介くんじゃないですか?」
そして、瞳の先に海斗の姿を見て可憐が凍りつくのが見てとれた。
「海斗……くん、昨日はごめんね……その用事があって……」
なぜ、可憐は海斗に付きまとわないでと言えないんだよ。
「大丈夫、気にしてないからよ!」
海斗は俺の方を向いて睨みつけた。明らかに昨日邪魔したことを怒ってる。
「可憐、来いよ!!」
そして、海斗は可憐の肩を無理やり抱いた。
「おいっ、何するんだよ!」
俺は思わず海斗を睨み返した。
「いいの。大丈夫だからさ!」
いいわけがない。こんなに震えてるのに……。マジでふざけんなよ。
「隆之介は、また俺に殴られたいのかな?」
今、気づいたが周りには取り巻きがたくさんいて、みんな俺を睨んでいた。本当に海斗に都合のいい世界だよな。
「隆之介くん、ちょっと来て……」
明らかに拒絶してる娘を自分の欲望だけで抱きたいのか。俺は我慢できずに海斗に殴ろうと拳を振り上げた。その時、後ろから発せられた声に気づく。
「こっち、こっち!」
俺が声のした方に振り向くと木の陰から俺を手招きする美憂がいた。割と雑な隠れ方だが、可憐に夢中になってる海斗には気づいてないようだ。今殴りかかったら、全てが終わる。俺は冷静さを取り戻した。
「あっ、ああ……、じゃあな」
「ははははっ、さすがはヘタレだな」
俺は可憐から離れる。後ろから勝ち誇った海斗の笑い声が聞こえた。
今は我慢。決戦は放課後、体育倉庫だ。
――――――――
なんとラブコメランキングで88位にまで上がって来ました。最近何も言わなかったですが、伸びては来てたんです!!
こんなえ○小説がここまで上がってくれるとは、一重に皆様の応援のおかげです!!
ありがとうございます!!!!!
えっ応援はどうするかって?(聞いてない)
えへへへっ(きもい)
えと、ですね⭐️⭐️⭐️ってとこありませんか?(聞いてない×2)
そこを三つつけてくれると嬉しいのですよ(きもい、聞いてない×2)
組織から消される前によろしくお願いします(組織ってなんだよ。この厨二病めが)
ちなみにどうでもいい事ですが8は無限といいます。ほらくるっと傾けると♾️。たまに明らかに痛車のナンバーが888だったりするでしょ。
あれです。(とてもどうでもいい雑学)
本当にありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします🙇
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