第8話 自室にて(隆之介視点)
結局、可憐に送られてきたメッセージは何だったのだろう。
「もう、大丈夫だから、安心して!」
可憐は、明らかにラインが来てから落ち着きがなかった。
だが、これ以上、問い詰めるわけにもいかない。
「分かった。じゃあ、また明日な」
「うんっ、じゃあ、またね」
俺はしかたなく家に帰った。
部屋に入ってベッドに寝転ぶ。これで本当に良かったのだろうか。
「何が起こるか分からなくちゃ、どうしようもないじゃないかよ!!」
今だに可憐の心は海斗に囚われている。その現実が重くのしかかる。
あのラインはなんだったのだろう。
可憐のことを考えているとスマホが鳴った。美憂だ。俺は慌ててスマホを手に取った。
(もしもし、可憐ちゃん大丈夫だった)
(ああ、今は大丈夫だ)
(そっか、良かったね。これで一つ目か)
(一つ目?)
(いや、何でもない。それよりさ、これから言うこと、しっかりと聞いて!)
電話の向こうの美憂の声が真剣味を帯びた。
(分かってると思うけど、海斗はこれで諦めたわけじゃないんだよ。すぐに近づいてくる。いや……、もう近づいてる、と言った方がいいかな)
何のことだ。美憂はまるでこれから起こることを知っているようにさえ思えた。
(明日の放課後。体育倉庫に行ってあげて。きっと可憐ちゃん、海斗に呼び出されていると思う)
今日のことは偶然、可憐の相談に乗っただけだと思った。でも、今度は違う。美憂は場所、時間まで的確に俺に伝えてきた。
(どう言うことなんだ? なぜ、朝霧さんは、その……海斗が呼び出すことを知ってるんだ?)
(可憐ちゃんから聞いたんだよ。可憐ちゃん、隆之介に助けて欲しいと思ってる。行ってあげて!)
あのメッセージはやはり、海斗が連絡してきていたのか。あの時、可憐は引きつったような顔をしていた。
(なぜ、可憐は朝霧さんに連絡したんだよ? 俺にさえ言わなかったのに!)
(きっと同性だから、話しやすいんだよ。隆之介は、幼馴染と言っても異性だからね。言えないこともたくさんあるんだよ!)
俺はこのゲームを相当プレイして来た。だが、可憐と美憂が仲良く話してるシーンなんて見たことがなかった。
(ありがとう。明日、放課後に行ってみるよ)
(頑張ってね。可憐の王子様)
美憂はそう言って通話を切った。勝負は明日だ。俺はこのゲームで初めてホテルイベントを回避した。
――――――
「おはよっ、昨日はよく寝れた?」
昨日と違って可憐が朝俺の家にやって来た。俺は母親に行ってくると簡単に挨拶して可憐の隣を歩く。
「どうしたの? 変な顔をして?」
「いや、昨日の今日で大丈夫かな、と思ってさ」
「大丈夫だよ。わたしは元気、元気! それより隆之介、怪我大丈夫?」
「大丈夫、怪我は大したことなかったよ」
「そっか、良かった」
「それよりさ。可憐は大丈夫か。その昨日、ちょっと変だったように思ったけどさ」
俺は電話のことを隠して話した。美憂のことを信用していないわけじゃない。ただ、本当に可憐が助けを求めて来たとは思えなかった。
「うん、昨日? だから気のせいだよ。隆之介のおかげでだいぶ調子良くなったよ。ありがとう」
「そっか、なら俺の考えすぎかな」
「本当だよ」
やはり美憂は何か隠してる。じゃなきゃ、美憂のことを俺に言ってくるだろ。
「なあ、可憐、お前。朝霧さんと結構仲良かったりするのかな?」
「えっ!? 前も言ったけど、お姫様とわたしには殆ど接点なんてないよ。確かに挨拶くらいはするけどね。だいたい、わたしがあんな陽キャと友達になれるわけないじゃん」
「そっか。そうだよな……、可憐はオタクだもんな」
「もう、それは学校では禁止……だよ!」
可憐はそう言うと嬉しそうに笑った。ただ、それは表情に笑顔を張り付けたような違和感があった。
これで間違いない。美憂と可憐に接点はない。
「ねえ、それよりも隆之介がお姫様と喫茶店に行ったって噂がウチのクラスで話題になってるんだけどさ。その、……本当なの?」
――――――――
美憂は何を知ってるんでしょうか?
今度も避けられるとなると偶然とは言えなくなる?
皆様応援ありがとうございます。
えっ、そこのあなた応援ってどうするんだって?
⭐️⭐️⭐️
こんなところがありませんか?
それを3つつけると、とっても喜びます^_^
まあ、そんなの関係なく読んでいただいてる皆様ありがとうございます。
祝福のういビームです。
?はて……WIIビームかな
意味わからん
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