桓玄16 いつものやつ

○晋書


桓玄かんげんは更に詔勅を捏造し、主張させる。


「瑞祥などについて敢えて取り沙汰するまでもあるまい。相國しょうこくどのの至德であれば、そうしたことが起こったとしても不思議ではない、それだけである。ならばここから新たなる太平の世が幕を上げるのだ、古今東西のあらゆる神がこれを喜んでおろう、ならばいまさら瑞祥がどうのと朕が発するまでもあるまい」


また江州こうしゅう王成基おうせいきの家の竹の上に甘露かんろが降ったと捏造した。


桓玄は過去の帝王の時代には帝王の統治を喜ばず隠遁を貫いた者たちがおりながら、自分の時代にはいないことを気に病み、皇甫謐こうほひつの六代目子孫である皇甫希之こうほきしに現政権に阿らないと言った内容の著述をさせ、様々な援助物資を送りつけながらも、一方でその物資をみな突っぱねるようにせよとも命じた。その上で皇甫希之を高士と呼んだのだが、人々はみな皇甫希之のことを「充隱」と呼んだ。衣食足りた状態で隠棲とかほざいてるよこいつ、的なニュアンスだろう。


また肉刑の復活を提議し、貨幣の廃止を言いだしてみたり撤回したりと、その施政の方向性には一貫性がなく、多くのどうでもいいルールが生まれ、政務が滞るようになった。


その性分は貪婪であり、奇異なものを好み、中でも宝物には目がなく、珠玉を片時も自らの手から離すことがなかった。人士で書法に長け、絵を得意とするであるとか、あるいはよき庭園、よき邸宅を所有するものがいたならば、みな自分の元に接収してしまいたいと企む。そのため難癖をつけて奪ったりとか、いかさま樗蒲を仕掛けて巻き上げたりなどした。またその臣下を四方に派遣し果実や美しい竹を根こそぎ奪い取っていったため、姑孰を中心に数百キロくらいの地域は果実や竹を一切収穫できなかった。媚びへつらいの言葉を好み、諫言のたぐいは嫌がり退け、諸財産を嫌う者から奪い寵愛する者に与えたりなどもした。




矯詔曰:「靈瑞之事非所敢聞也。斯誠相國至德,故事為之應。太平之化,於是乎始,六合同悅,情何可言!」又詐云江州甘露降王成基家竹上。玄以歷代咸有肥遁之士,而己世獨無,乃征皇甫謐六世孫希之為著作,並給其資用,皆令讓而不受,號曰高士,時人名為「充隱」。議復肉刑,斷錢貨,回復改異,造革紛紜,志無一定,條制森然,動害政理。性貪鄙,好奇異,尤愛寶物,珠玉不離於手。人士有法書好畫及佳園宅者,悉欲歸己,猶難逼奪之,皆蒱博而取。遣臣佐四出,掘果移竹,不遠數千里,百姓佳果美竹無復遺餘。信悅諂譽,逆忤讜言,或奪其所憎與其所愛。


(晋書99-16)




ぼく「はじまったはじまったいつものやつ」


この手のクソ君主ムーヴ、まぁ別に実際にあっても不思議ではないんですが、筆誅大好きなキミたちのことだしなあ、と言うかこれ書いてるキミたちが内心でやりたいことでしょ? と思わずにおれないのですよね。なのでどうぞどうぞお楽しみください、くらいしか感慨が浮かびません。まぁテンプレを学ぶ、くらいの意義はありますでしょうかね。

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