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しかし呪われし者の手のひらから放たれたのは第5階位魔法の
「第五階位魔法を連発なんてメチャクチャだ」
『まあこっちも相当ズルしてますから。セレーネ様、杖、なんだか分かります?』
「たぶん、
「ミノス王の杖だ」
「うわ、ハイランダー卿、親切」
『伝説の青銅の巨人タロスに指令を与えるときに使った杖?』
「を、模した杖だ」
カーニバルマスクの
ハイランダー卿は右手の手のひらを向けると今度は杖が
「今度は
第4階位魔法なので驚くには値しないが、ハイランダー卿が誰かから奪ってプールしていた魔法は多彩すぎる。
「アレク機械少佐! ハイランダー卿を排除して!」
セレーネが杖に念じてみると損傷を負い、一部の装甲が外れて機械部分がむき出しになったアレク機械少佐が動き出し、背後からハイランダー卿を襲う。
「やったー! 使えた!」
『セレーネ様!
「わたしが第5階位魔法を解除できるはずないじゃん、はっ、でも!」
セレーネは媒介カードを手にし、呪文を発動させる。
『軽くなった!』
ザインは快哉の声をあげ、ハイランダー卿に一蹴されたアレク機械少佐との間に割って入る。
「解除できないけど、
『重さが倍くらいならなんとでもなる!』
動きは鈍いが、それでも5倍よりは遙かにマシだ。
ハイランダー卿に左の籠手を装着する余裕を与えてはならない。未完成の最終階位魔法(と思われるもの)を奪うとは思えないが、何をしてくるかわからない。
「その杖のことを教えてやったんだからさっきの光の槍もどきのことを教えろ」
ハイランダー卿は腰から短剣を抜いて真空衝撃波を撃つ。
「そのとおりの、モドキだよ!」
ザイン=セレーネは真空衝撃波を真空衝撃波で相殺し、ハイランダー卿に迫る。
ハイランダー卿は短剣で
「嘘をつけ。あれは少しだが私の力を奪った」
なるほど。あの一瞬で呪われし者の力すら奪えるのか。
セレーネは脳内で言葉にする。
「知らないのか」
やばい、心を読まれている。
そう気がついたとたん、セレーネは闇の槍をイメージしてしまう。隠そうと考えてしまったのが逆効果だった。
ザインは手のひらから昇華弾を放ち、距離をとる。
昇華弾はハイランダー卿の真空衝撃波で反らされ、有効な打撃を与えられなかった。
ハイランダー卿は瞳に狂気の光を浮かべながら言った。
「なるほど、なるほど、それは面白い! この世界で闇の剣が、
ハイランダー卿は退いていき、制御範囲を超えたのか、
「先日、姫にまんまと騙された反省から
そして突如として羽ばたき音がセレーネの耳に入った。
それは巨大な自動飛行機械の羽ばたきで、ハイランダー卿は太陽の中から現れた巨大な自動飛行機械の脚に掴まり、宙に舞って去って行った。
「逃がした!」
『退いてくれた、ですよ。やばかった』
「そうだ、早くしないとマルコキアスとジョミーくんが全部こわしちゃう!」
セレーネは四苦八苦しながらもミノス王の杖に指令を伝え、どうにか機械化猟兵団の攻撃指令を取り消す。
機械化猟兵団の
しかしその中でもアレク機械少佐は冷静で、破損した身体に鞭を打ち、立ち上がった。
『感謝する。セレーネ姫。いいや、そんな言葉では足りないな』
「意識あったんだね。でも良かった」
セレーネは
「被害は――大きそうだけど」
周りを見渡してみるとマルコキアスのダテンシ形態の無双で、機械化猟兵団の半数が中破以上になっていた。
『終わった?』
マルコキアスが側に来て、ダテンシ形態を解除し、ジョミーが現れる。
「あとで俺がみんなを直すから、安心して。俺はジョミー・カスクっていうんだ」
『秩序の魔道士カスク一族の御曹司――スクラップ山の救世主。話は、大勢から噂は聞いた』
アレク機械少佐の言葉にジョミーは頷いた。
「もう君たちとはいっぺん拳をかわしたんだから、もうダチだ。遠慮しなくていいからな」
『オレともダチだからさー忘れんなよ』
オオカミ型のマルコーがアレク機械少佐を見上げる。
『配慮して戦ってくれていたのは聞こえていた。仲間の分も礼をいわせてくれ』
アレク機械少佐は小さく頭を下げた。
「ところで
セレーネがアレク機械少佐の前に出る。
『攻撃指令は元々出ていた。時間指定だ。時間的にはもう1発放たれている。自動装填されているのは6発。あと5回は自動砲撃がプログラムされている』
「止められない?」
『プログラムを止めるためには内部から操作しないとならない――だが、その杖があればどうにかなるかもしれない。それも防御障壁を突破してからの話だが』
「3ちゃん、もういこう!」
セレーネがザインを急かす。
『いや、まだもう少し情報を――ここにはもうすぐには戻れないんですから』
『砲弾装填と防御用の後方部隊がいるはずだ。それぞれ2個小隊だ』
『100機もいるんですか』
ザインがアレク機械少佐に聞き直す。
『最前線で戦っている軍隊なんてごく少数だ。機械化猟兵団の50機は直接戦闘員だけの数字だ』
「いいニュースだ」
セレーネが皮算用を始め、ザインは呆れる。
『あれ、そう来た?』
「そりゃそうだ。まるごと面倒見るつもりだから」
アレク機械少佐は小さく頷く。
『
「もっといい移動手段があってね」
セレーネは得意げに言う。
『ならば頼みがある。
アレク機械少佐は頭を下げた。
「任せて。じゃ、行ってくるから。ジョミーくん、マルコーくん、あとは頼んだ!」
「分かりました」
『合点!』
そして
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