第4話


「ということでこちらになります」


「でん」


「あんぷろから水瀬アオイを選んでそこからマヤへと飛んで....よし」


 来ましたア〇オタwiki(仮)。ここに来れば大抵のネット文化が学べるという超便利なサイトである。

 一応様々な所で情報はまとめられているものの、ここが安牌だろうということできた次第だ。


「えっと、これが私のページらしいです」


マヤ/Maya


Anchor_production運営開発スタッフ。ライバーの口からのみ語られている影の実力者もといつよつよエンジニア。男女ライバー共に絡みが多く、様々な所での活躍が報告されている


・スタッフとしてライブ時の機材を扱ったり、ライバーの配信用ソフトの開発などを行うが、ライバー達によれば、たまにマネジメント部に黙ってこっそり差分を作ってくれたり機能を追加してくれたりするらしい。

・水瀬アオイの恋人及び管理人であったり会社のキッチンで配信中が終わったライバーにご飯を作ったりしているという家庭的な点もあるそう。

・柔らかくもダークめな声を持つらしい。あと滅茶苦茶可愛くて凄くおっぺえがでかいらしい。

・「なんかすげえ速い車に乗ってるらしいよ」byアオイ


 開発スタッフであるが故か、配信には参加していないもののライバー達の間ではちょくちょくネタにされている為、いつかライバーとして登場するのではないかという声も多く上がっている。


「さて、色々と突っこむところが出てきましたね」


「ということなので弁明を聞いていこうではないか」


:この時点で草

:ア〇オタwiki.......

:かなり飛ばしてんなあ


「まず前提。影の実力者って何ですか」


「そのまんまじゃん。だって私のモデル全部作り上げて配信用ソフトの開発もほぼワンオペで終わらして未だに改造しまくってるマヤちゃんが何を言う」


:かっけえっす

:つよつよエンジニア認めてますよ

:惚れた


「私に惚れると後が面倒ですよ......?」


「唐突なヤンデレムーブ来たね」


:可愛い

:一生愛します


「一生?言いましたね?」


「ちょっと待て、ダークマヤ出ちゃってるから」


「むぅ、じゃあ次。マネジメント部に黙って色々暴れてるのバラさないで貰っても良いですか?後で怒られるの私なんですよ」


:切り抜かれ確定

:いつも俺の推しに差分を作ってくれてありがとう

:強すぎん?


「いつもありがとうね。でも社長のお面はマジでいらんからね。なんかあれマジで商品化されたらしいよ」


「え?商品化されてたの?だからあのpngファイルくれって言われたの?」


 そんなものあったのか。なんか言われてみれば何故か広報部の方に社長の顔がプリントされたプラ板が転がってたような気もする。


:あれマヤさんだったのかw

:あれ商品化されてたの?

:素材提供wwwwww

:最早マヤさんですら売られていたことを知らないw


「ちなみにアレ爆速で完売したらしいよ」


「残念なことに一切こっちにお金は入りませんけどね」


「やめろw」


「んじゃ次。アオイの恋人について」


「事実じゃん」


「公式配信で拒否っておきますね」


「権力差を見た」


:草

:イヤイヤマヤさんとデレデレアオイ.....

:なんか新規開拓してるニキおって草


 そんなこと言ってもどうせ同人誌確定なのだ。そういう世界なのはネットに生きてたからよく知ってるのだ。しかし、ジャンルを増やさないでいただきたかった。


「でもさ、結構ご飯とかは作ってるよね」


「そうですね。鍋配信とかの手伝いしたりもしてますし」


「その行動一つ一つが筒抜けだったんだよ......」


「そうらしいですね。本当にどこまでバレてるのやら」


 ガチで怖え。まあ言っても大丈夫な範疇はちゃんと厳守されてるから本当にまずいことにはならないんだけどさ。


「次......声に関してはマジでわかんないです」


「この文章の通りだと思うけどな」


:確かに柔らかいけど甘すぎずって感じで好きだぞ

:いいと思う

:歌希望


「歌ねえ。まあ尺あるし、どうする?」


「えぇ......歌うの......?」


:聞きたいです

:頼む!!

:wktk


 いやめっちゃ懇願されてる......。


「お願い♡」


「あー......一曲だけですよ」


「やったぜ」


:よくやったアオイ

:楽しみですな

:選曲楽しみですな


「なんか今日私凄い流されてませんか?」



:よかったです

:文字通りだったね

:ア〇オタwikiは間違っていなかったんだ!!


「なんかちょっと照れますね」


「大丈夫。配信長いことやってると薄れるよ」


「もしかして私と居ると皆さん素が出ちゃいます?」


:照れてるの可愛いな

:いいねえ

:メタいなあ


「さいごー。早い車」


「名前忘れたけどすげえ加速良かったのだけは覚えてる」


「まあそうですね。別に弄ってるわけじゃないですけどね」


:スポーツカーか

:マ〇カ?

:頭〇字D?


「豆腐屋のじゃないですけどGR86って車に乗ってますね。ちなみにABSが邪魔なのでヒューズ外してますね」


「みんなわかる?私は分からないよ」


:わかんねえ

:すげえ。ドリフトでもするのか

:かっけえ

:横に乗せてください


「横に乗りたいんですか?良いですけど私の車ってそこそこの頻度でライバーにタクシーにされてますのでご利用は計画的に」


:T〇XI

:漏れなく吐いてそう

:やめておきますね


「やめてくださいよ。流石のアンカーもトヨタに喧嘩売ったらヤバいんですって」


「もうやめない?」


「そうですね。一応一通り訂正もしましたし良い感じの時間になりましたしね」


「ほんとだ。んじゃこの後私も配信だからある程度で終わろうか」


 確かに既に配信終了予定の時間である。とりあえず適当に終わるか。


「んじゃ、私もこの後仕事残ってるんでこの辺で。お疲れさまでした」


「雑だなあ。まあどうにかなったよ、ありがとう」


「私も楽しかったですよ」


:マヤさん次も楽しみにしてるぞ

:アオマヤ待ってます

:また来てくれ


「私ですか?まあどこかでまた来るかもしれませんね。それではまた」


「お疲れさまでしたー」



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