第22話 エピローグ

「あれは”フロル星人“の仕業?」

砂丘の淵を飾るように犬を入れるケージのような物が端から端まで並んでいる。さながら万里の長城のようだ。あれも石造りだからまだ残ってるはずだ。そのうち行けるかどうか。


「PZのコミニュティが作った」

「メメントモリにたどり着いた?」

「メメントモリ以前。ずっとずっと前」

砂丘を登りきると、眼下には同様のケージで埋め尽くされたなだらかな谷がある。谷底には水が溜まり、破滅後の世界では珍しく植物が生えている。


「あの水溜りで補給を?」

「もう少し上の方に歩くと多分水源がある。あの場所には触りたくない」

「ちょっとぐらい消化しても」

「あれを植えた人の思いを大事にしたい」

「植えた人がいるんですか?」

「間接的に」


谷を降りず、砂丘の上をさらに山側へ登って行く。


「この光景なんだ。ここまで来た理由」

「郷愁じゃないんだ」

「PZがいない、植物が再生してる場所。僕たちの目標だろ」

「私たち、ここの人みたいに消えるんですかね」

「多分。理由はまだわからないけど」

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煮湯の氷 中埜長治 @borisbadenov85

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