第9話 茜雲流泊南

鳥羽子は泊南の地で生まれ18歳を迎えた。

泊南は昔と変わらず子どもがそこら中で遊んでいてその子どもたちの親は畑を耕している。いつも空は晴れていて太陽が我が泊南の地を照らしてくれる。

鳥羽子は都に移ることになった。役員として働くことになったからだ。

鳥羽子は農民夫婦に対する感謝の気持ちが溢れ出そうだった。

明日旅立つ。泊南は鳥羽子にとっての故郷となる。

鳥羽子は泊南の夕暮時に空の異様な光景を見た。

茜色の雲が泊南を覆い太陽に照らされながら流れているのだ。

鳥羽子は一種の奇跡と思えた。


故有りて降り立った我が

泊南の民に拾われ育てられ

如何感謝を伝ふるべきか

茜雲泊南を流るる

奇跡有りて今泊南の地を去る

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