第20話
登山を続ける事数時間、途中崖があったり、岩が降ってきたりと中々恐ろしい体験をしたが、無事頂上に着く事ができた。
「着いたのじゃ!」
「おぉー・・・・まだ辺りは暗いな。」
「そりゃそうでしょ?今は・・・・3:20なんだから・・・・朝焼けまで後・・・・1時間位かしらね。」
「え?時間分かるの?」
「まあ空気の流れで大体の時間は分かるわよ。」
それくらいならエルバサも出来るんじゃないかしらと加えて言った。気になったのでエルバサに聞いてみた。
「それぐらいなら出来るぞ?空気の流れを読む・・・・というよりは大気中にある魔力を感じる事によって大体の時間は分かるという仕組みじゃな。プレイヤーの主人なら出来るかもしれないな。」
出来ても・・・・メニュー開けば時間書いてあるからあまり意味がないんだけどね。
真後ろから気配を感じ振り返るとフロースが少し考えるような仕草をしていた。
「そんな事よりこの1時間どう暇つぶしをするのかしら?魔物と戦闘しようとしても、気配で逃げられるじゃない。」
そう言うとエルバサはこんな提案をしてきた。
「うーむ・・・・だったら競争でもしてみるか?」
「競争?何を競うのよ。」
「どれだけ良い魔物を狩ってこれるか・・・・でどうだ?」
「良い魔物・・・・つまりはランクが高ければ良いのね?」
「うむ、そうじゃ。」
「良いわね。それじゃお先に失礼するわね。」
「あ、お主!ずるいぞ!」
エルバサとフロースは飛び立って行った。
おっと、私は何をすれば良いんだ?
「とりあえず1時間待てば大丈夫だよな?」
あれから45分が経過した辺りでエルバサとフロースが何かを咥えて帰ってきた。
「一体何を持ってきたんだよ・・・・。」
「主人はプレイヤーという事は鑑定を持っているじゃろ?どちらがランクが高いか調べてくれ。」
「それが良いわね。」
エルバサとフロースは咥えてた魔物をその場に落とした。
早速エルバサの方から見てみる事にした。
『ワイバーン』A
一般的に亜龍と言われている生物。爪と尻尾には強力な毒がある。
次にフロースの魔物を見てみるか。
『ゴールドサーモン』B
金色に光る魚。10年に1匹獲れるかというレベルの魔物。鱗は金運上昇の御守りになる。
「えーと、ランクが高かったのは・・・・エルバサでした。」
「儂の勝ち!お主の負け!」
「何よコイツ!イラつくわね。」
「あはは・・・・。」
やっぱり仲良くは出来なさそうだな。
そんな話をしていると東の方向から光が差し込んできた。見てみると、そこには綺麗な朝焼けが輝いていた。
「おお・・・・!」
「うむ、いつ見ても此処からの景色は最高じゃな。」
「そうね。確かにこの光景はすごいわね。」
そのまま話もせず、綺麗な朝焼けを目に焼き付けた。
「それじゃ早速、東の森に行こうぞ!」
「早くない?」
「何を言っておる!飯じゃぞ!しかもあのロックボアとは・・・・速く行かないと誰かに取られるかもしれないんじゃぞ!」
「そうね。確かに取られたらまずいし、速く行こうかしら。」
「ほれ主人よ。儂の背中に乗るのじゃ。」
えぇーもっと見てたいけど・・・・でもエルバサの背中からでも見れるよな?
とりあえずエルバサの背中に乗り込む事にした。
乗り込んだ瞬間エルバサは飛び立ち、その後ろにフロースが来るというような構図だった。
エルバサに乗っているがあまりの速さに前を向けないので綺麗な景色を拝む事はできなかった。
そのまま乗る事数十分。無事?か分からないがエルバサと最初に会ったあの湖に着いた。
「良し、こっからどこに行けば良いのじゃ?」
「前見た時はこの奥だったわね。」
そう言って爪を向けた方向には道が続いていた。
「前行った時は無かったと思うけどな。」
「ココ最近出現したらしいけど・・・・まぁ詳しい事は分からないわね。」
とりあえずエルバサから降りて、進む事にした。
そっから直ぐに何か岩で覆われた猪が見えた。
「あれじゃ!あれがロックボアじゃ!」
エルバサは身を乗り出し、そのまま爪撃を放ってロックボアの首を刎ねた。
【行けるフィールドが拡大しました】
ぬ?何だ今のアナウンス?フィールド拡大?どこまで行けるのかな?
「どうしたの?何か悩んでいるように見えるけど・・・・。」
そんなことを考えていると何か悩んでいるかのように見えたのか、フロースは心配して此方を見てきた。
そんな悩んでいるような顔してたのかよ。
「いや、簡単に終わって良いのかなと思って。」
「まぁ良いんじゃない?ロックボアは言うてCランク程度だしアイツなら一撃なのは当たり前でしょ?」
確かにキラーイーグル一撃で討伐してたしな。
今は、はしゃいでいるエルバサに苦笑しながらロックボアがさっきまでいた場所に向かった。
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