第19話
あのカオスな状態が1時間ぐらい続き、無になろうとボーッとしていると、頭の中にふと疑問が浮かんだ。
これってフロースを従魔にしたって事はまた冒険者ギルドに行かなきゃ行けないのか?・・・・分からない時はQ&Aって教わったから見てみるか。
メニューを開いて、Q&Aを押して従魔に関する情報を調べると複数従魔にした時の情報があった。
えーと、要約すると、最初の魔物を従魔にして冒険者ギルドで従魔登録すると次の魔物を従魔にしても自動で登録される・・・・か。
良かった・・・・目立たなくて済む。
そんな事より・・・・
「大体お主は!」
「何よ!」
「・・・・・・・・いつまでアンタらは争っているんですか?」
あ、思っていた事口に出ちゃった。でも、この状況にもうんざりしていたしまぁ言っちゃって良いよね。
「「え?」」
「かれこれ1時間ぐらい言い合っていますけど?」
「い、いや・・・・のう。」
「あ、争ってなんて・・・・。」
急に2匹はオロオロし出した。
「次やったら飯抜きにしますね。」
「そ、それだけは嫌じゃ!」
「お、お願い!それだけは!」
2匹は顔を青くさせ、この世の全てに絶望したかのような表情をして、此方に懇願してきた。
フロースに関してはさっきのおにぎり一個だけしか食べてないよね?なんでこんな風になってるんだ?
「はぁ・・・・分かったら喧嘩しない。」
「分かったのじゃ。」
「分かりました。」
やっと落ち着いて話が出来る。
「で、これからどうすんの?」
「どうとは?」
「元々此処にはエルバサが来たいって言ったから来たけど・・・・頂上まで登る必要あるかな?って思ってさ。」
「確かに・・・・頂上に強い気配を感じて登っていたが結局はコレだったしな・・・・じゃが、今から行けば綺麗な朝焼けが見れるぞ。」
「ちょっと!コレって何よ!」
「五月蝿いのう。大体何でお主は雪山にいないんじゃ。そこがお主の縄張りじゃないのか?」
「え?縄張り?縄張りって事は氷天龍って複数いるの?」
気になったのでエルバサに聞いてみた。
「厳密には違うが・・・・なんと言えば良いのやら・・・・のうお主答えてやってくれ。」
「え、私?まあ良いけど・・・・私達は元々氷龍という種族なの。氷天龍になるには氷龍の中で1番強いやつが成れるのよ。あと、雪山にいないのは、あんな所の何が良いのか、私には分からないから抜けてきたのよ。何処を見ても氷しかない場所。嫌になっちゃうわよ。」
ということは此処にいるフロースは氷龍最強なのか。
「お主なら番候補も沢山いたじゃろうに。」
フロースは溜息をつき、愚痴るように喋った。
「確かに言い寄ってくる雄はいっぱいいたけど・・・・どれもイマイチなのよねぇ。強さも私より弱い、魅力も私より低い。それの何処に惹かれろっていうのよ。」
龍の世界ってのも大変なんだな。
「一旦私の話は終わりにして、とりあえず今からどうするのか、それを話しましょう?」
「なんじゃ、お前が仕切るのか?」
「何よ?不満?」
「不満ではないが・・・・お主仕切れるのか?」
「この程度仕切れなきゃ氷天龍やってないわよ。というか、そのセリフは炎天龍とか風天龍に言ってくれる?」
おおう、また風天龍とか知らない名前が来たな。
エルバサはうんうん頷き、
「確かに彼奴らよりかはお主の方がまだ仕切れるな。彼奴らは己の欲望に忠実すぎるからの。」
「分かれば良いのよ。という事で、先ずこの先の頂上に登るんでしょう?その後ってどうするのか決めてるの?」
フロースは此方を向き首を傾げながら聞いてきた。
「・・・・何もないな。とりあえず行き当たりばったりで決めてるから・・・・。」
だったらとフロースが言った。
「プレイヤーがいるあの街の東に行った所の森の奥に、ロックボアが居るって聞いた事あるんだけど・・・・どう?」
「あそこは・・・・儂が主人と出会った場所じゃな。あそこの奥にロックボアがいたのか。良い提案じゃないか!早く山登りをして、狩に行こうぞ!」
まぁ、やる事も特にないしそれで良いか。
「分かった。それで良いよ。」
「ほれ主人!何をボサっとしておる!速く行くのじゃ!」
さっきまでの沈みようが嘘かのようにはしゃぎ出した。
「全く・・・・飯に釣られるなんて、昔のアイツからしたら考えられないわね。」
そういえば昔のエルバサ聞いた事なかったな。
思いっきってフロースに聞いてみた。
「昔のエルバサってどんなのだったんだ?」
「昔のアイツ?・・・・アイツは天才肌っていうのかしらね。1を知ると10どころか100を知るようなやつだったわ。だからなのか、孤独だった。今は人生・・・・いや、龍生を謳歌してるみたいで良かったと思ってるわ。」
この事はアイツに言わないでね?多分アイツが知ると煽ってくるからと追加で言われて、なんだかんだ言って優しいんだなと思った。決して口はしないけど・・・・した所で思いっきり否定されそうだし。
「分かった。それより速く行かないと置いてかれるな。」
「そうね、速く行きましょう。」
先に行ったエルバサを追いかけるように俺とフロースは少し速足で登って行った。
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