第7話

「ふぅ、50個ぐらいは作れたな。」


途中から片手鍋でも米を炊いたおかげで10個ぐらいは増えた気がする。


「それじゃそろそろ時間になるし、このおにぎりと調理器具全部しまって・・・あぁ、フライ返しはしまわないと。」


持って来た物を全部しまって、フライ返しを元の場所に戻し、部屋を出た。


「よし、鍵を閉めて・・・・おっけ。」


鍵を受付に戻して施設を出た。


「さて、どうしようかな?」


このまま街を探索するのもありだけど、やっぱり森の中に行って探索するのもありなんだよなぁ。


でも、街はいつでも探索できるから、森に行くか。ついでに香草探しでもするか。


そして街を出て、さっき薬草を採取した所の森に向かった。




「そういえば、チュートリアルで一回戦闘したきり戦っていないな。もし魔物が出て来たらどうしようか?」


武器・・・・確か鉄の剣あったよな。でもあれはチュートリアル限定とかなのか?もし、鉄の剣がなかったら包丁で戦うか。


そうこうしているうちに湖のほとりぽい所に到着した。


「丁度良いし此処で少し休憩しながら次の予定を考えるか。」


アイテムボックスから焼きおにぎりを取り出し頬張った。


さて、どうしようかな。予定通り香草集め及び使える草を採取する。あとは・・・・何しようか。ここから先に行くと結構強い魔物が出てくる気がするんだよな。今のレベルじゃ到底勝つことはできないだろうし大人しくここら辺で採取するか。


色々考えていると焼きおにぎりを食べ終えた。そして香草の採取をしようと起き上がろうとした時、頭の中に声が響いた。


『そこのお主、聞こえておるか?』


なんか声が聞こえて来たな。でも怪しい奴に何か言われても無視しろってよく義務教育で教えられるしな。ここは無視一択だな。


『おぉい!?無視するな!』


お五月蝿いですな。まぁ、いつまでも無視してるわけにもいかないから声をかけて来た奴を見ようとした・・・・頭の中に声聞こえてくるから場所わかる訳ないな。


『お主の上じゃ!』


「上?上なんて少し青空が見えるだけ・・・・なんかいる!?!?」


なんか神々しい光を放っているドラゴンがいた。


「だ、誰だお前!」


「ふっふっふ、聞きたいか?儂の名を!」


「あぁいや、結構です。」


「おぉい!?」


いやなんかそう言われると聞きたくなくなるよな。一体なんだろうなこの心理。


「ゴホン、まぁよい。」


「あ、良いんだ。」


意外と優しいなこのドラゴン。


「それで儂の名は・・・・【聖天龍エルバサ】じゃ!」


「せ、せいてんりゅう?」


なんだその厨二病が考えたような龍は。


「どうだ驚いただろう!」


「いや、私貴方知らないんで・・・・驚くも何もないんですけど・・・・。」


「な、なんじゃと・・・・お主、もしかして最近話題のぷれいやー?というものなのか?」


「あぁ、そうだけど・・・・話題?」


「うむ、近頃龍界隈で悪しき心と良き心を持った人が大勢現れるという予言を聞いてな。それが今日だったのじゃ。・・・・あぁちなみに、お主は良き心の持ち主じゃよ。」


龍界隈とかまた物騒な界隈があるんだな。悪しき心?よく聞くPKって呼ばれている集団か?でもまだ配信されて1日しか時間経ってないし・・・・いやもうPKするやつはいるのか。てか思ったけど・・・・


「というかなんで俺は良き心の持ち主なんだ?」


「ん?それはお主が女神に愛されているからじゃろ。そんな愛されているのは儂が生まれてこのかた見た事ない。それに、女神は悪しき心のやつに寵愛など授けたりはせん。」


寵愛どころか溺愛されてるんですけど。女神か・・・・今度会ってみようかな?女神像に祈れば、会えるんだっけ?どんな感じなんだろうな女神は・・・・優しかったら良いなぁ。


・・・・そういえば、この龍結局何しに来たんだ?


「で、結局聖天龍さんはなんでここに来たんだ?」


「あぁその理由を話していなかったな。なに単純なことよ。・・・・今までに嗅いだ事のない美味そうな匂いが漂って来てな、その匂いの元を辿っていったら、お主に出会ったのじゃ。」


匂い?そんなもの何かあったか?・・・・もしかして焼きおにぎりか?いや待て、仮にも聖天龍と呼ばれる存在が焼きおにぎり如きに反応するか?・・・・一回試してみるか。


「あぁー、違ってたらすまんが・・・・もしかしてコレか?」


アイテムボックスから一つ焼きおにぎりを出してみた。


「間違いない!これじゃ!この匂いじゃ!この美味そうな匂いじゃ!」


コレかよ・・・・。なんだこの残念龍。おにぎり一つにそんな狂うか?確かに超越された焼きおにぎりだが・・・・そこまでなるか?


「あぁ、なんだ、コレ食いたいのか?」


「なんと!くれると申すか!しかし・・・・うぅむ、今手元にコレに見合う物を返せるかどうか・・・・。」


そんな反応する?一つやぞ、たかが一つの焼きおにぎりやぞ。


「仕方ない・・・・この儂、聖天龍お主を主人と認め、共について行こうではないか!」


ついてくる・・・・?コイツが?なんかやらかしそう・・・・いや1人だと寂しいから丁度良いかな。旅は騒がしい程度が丁度良いからな。というかコイツ飯目当てじゃないだろうな。


「分かった、それで良い。」


「では、主人よ、この紙の上に血を一滴垂らしてくれ。」


血か・・・・目を瞑って包丁でほんのちょっっっと切れば大丈夫か。


アイテムボックスから包丁を出して、薄目で指先を少し切った。そして少し出てきた血を紙の上に垂らした。


「それで、儂の血を一滴垂らすと・・・・うむ!出来たぞ!」


その声を聞くと、目の前が眩しい光に包まれた。そして、頭の中にアナウンスが聞こえて来た。


【職業:テイマーが追加されました】

【聖天龍エルバサをテイムしました】

【テイムモンスターを正規の方法で契約したので称号『一心同体』を獲得しました】


最後の称号なんだ?正規の方法で契約した?正規じゃない方法でもあるのか?・・・・でも今は、この口を大きく開けてる龍に焼きおにぎりを食べさせるか。


焼きおにぎりをエルバサに投げると、エルバサは器用に口でキャッチし、もぐもぐと味わっていた。


「う、うまぁぁぁぁい!!!!」


「うるさ!」


コイツの声うるさ!もう少し静かにしてくれよ・・・・仕方ないエルバサが美味すぎて昇天しかけてるから戻ってくるまで待つか。


ん?昇天・・・・。


エルバサを見てみると口から魂が投げかけていた。


大丈夫か?エルバサ?いやまぁ大丈夫だろ。


そして、またその場に腰掛けた。








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