第6話

中は冒険者ギルドとさほど変わらない内装だった。


「人全然いないな。」


この場所まだ見つけてないのか?それはありえないか。流石に始まってから一日は経ったはずだし・・・・それかもう来たとか?


まぁ、悩んでてもしょうがないし、とりあえず受付に行くか。


「すみません。此処で調理器具買えるって聞いたんですけど・・・・。」


「それでしたら料理人登録しましたら買えますよ。」


「じゃあ登録します。」


「ありがとうございます。それでは200カルいただきます。」


代金を支払って登録した。


「それでは、あちらで色々調理器具は買えます。」


「あ、はい分かりました。」


とりあえずは左の販売所みたいなとこで買えるらしいから、行ってみるか。


「すみません。調理器具買いたいんですけど。」


「らっしゃい。色々揃っているよ!」


確かに・・・・フライパンだけじゃなく・・・・圧力鍋!?そんな物まであるのか。というか一律1000カルなんだな。


「フライパンと土鍋と片手鍋、それと圧力鍋を一つください。」


「はいよ。4000カルね。」


代金を支払い調理器具を手に入れた。


・・・・そういえば料理できるとこないかな。聞いてみるか。


「それと、一ついいですか?」


「何だい?」


「近くに料理できる場所ってありますか?」


「それだったら、このギルドの向かいに施設があるからそこに行ってみたらどうだい?」


そんなのあるのか。


「分かりました。行ってみます。」


「おう、気をつけてな。」


料理人ギルドを出て向かいの施設に行った。


「えっと、此処で料理ができるって聞いたんですけど・・・・。」


「ん?確かに出来るぞ。1時間100カルだな。後、此処は料理以外にポーション作りとか鍛治とか出来るからな。」


「へぇー、それじゃ2時間分お願いします。」


カルを受付のおじさんに渡した。


「おう、丁度だな。・・ほれ、これが調理場の鍵だからな。終わったら返してくれ。」


「分かりました。」


調理場は・・・・一階の突き当たりか。 


鍵を使ってドアを開くと、中には料理屋の厨房を思わせるような作りだった。


「へぇー、意外と綺麗なんだな。・・・・よし、早速作るか。」


にしても料理か・・・・まともに作れそうなのは焼きおにぎりかな?醤油はハケがないから出来ないから味噌になるのかな?後はスープでも作ってみるか。


最初に片手鍋に水を入れ、そこに米を入れ研ぐ。白く濁ったら水を捨て、少し濁る程度にまでなったら、土鍋に移し替えて水を入れて少し浸漬させる。浸漬し終わったら濁った水を捨て、水を大体人差し指の二関節半ぐらいの所まだ入れて炊き始める。


その間に味噌汁でも作ってみるか。といっても具材があまりにも無さすぎる・・・・まぁ、具なし味噌汁にして、次作るときに色々足すか。今は味噌だけで作るか。


水を片手鍋に入れ、少し沸いて来た所にお玉とかないから包丁で味噌をとって入れてみる。そして、少しかき混ぜ味噌汁が出来上がった。


・・・・今思うと凄いやばいことしてるな。まぁ、しょうがない、次は箸とかお玉とか買わなきゃな。


早速飲んでみるか。


ズズッ


「普通の味噌汁だな。でもなぁ、やっぱなんか物足りない感じがするんだよな。豆腐とかネギとかないからかな?」


でも普通の味噌汁とは言ったが、あれより全然不味い。やっぱり出汁とらないとな。


そうこうしているうちに土鍋がカタカタなり出した。


「もう、出来上がったのか?」


蓋を開けるとそこにはふっくらとした米が炊き上がっていた。


「・・・・アッチ!」


まだ手に土鍋の蓋を持ったままだった。


「火傷してないよな?」


流石にゲームだから火傷とかはないから大丈夫だよな?


「さて、これを三角には出来ないから丸おにぎりにして、そこに味噌を塗って・・・・どうやって焼けばいいんだ?直火?直火しかない?油買い忘れたからなぁ。最悪フライパンにくっついても買い直せばいいだけだしフライパン使うか。」


今思ったがここら辺になんか調理器具ないのか?例えばフライ返しとか。少し探してみるか。


キッチンを散策していると、引き戸に調理器具を発見した。


味噌汁の味噌を包丁でかき混ぜて片手鍋ごと直飲みするとかいう変な奇行するんじゃなかった・・・・最初に探しとけば良かったな。


フライパンを取り出し、火にかけ温まるのを手にアチアチの米を手に乗せ火傷しそうになりながら丸おにぎりにし、そこに均等になるように味噌を塗った。


数十秒が経過するとフライパンが熱くなったのでそこに味噌おにぎりを投入した。


ジュワーと音が辺りに響き渡った。数秒ごとにおにぎりをさっき見つけたフライ返しみたいなやつでひっくり返しながら、あまり焦げすぎないように様子を見た。


3分ぐらい経過したら全面的に良い焼き具合になったので火を止め、フライパンを冷ました。


「よし、完成だな。」


完成した途端頭の中に声が響いた。


【職業:料理人が追加されました】

【スキル『高速化』を獲得しました】


なんか変なの手に入れたな。前者は知っているからまぁいいか。でだ、気になるのは後者だな。


【鑑定】


『高速化』

一度作った料理を高速で作ることが可能。高速化してできる料理は一番品質が良かった物を模倣する。


おぉー!めっちゃ良いんじゃん。これがあれば面倒い作業をしなくて良いな。・・・・まぁ、その作業が醍醐味なところもあるから一概には言えないけど。


そうだせっかくだしこの焼きおにぎり一回鑑定してみるか。レア度がどのぐらいなのか知りたいし。


【鑑定】


『超越された焼きおにぎり(味噌)』⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

寸分の狂いもなく完璧な黄金比によって出来上がった焼きおにぎり。食べた者の空腹を潤し、多幸感に満たされ、あまりの美味しさに涙を流す。・・・・一口喰わせろぉ!


MPを5分間1.5倍にする。

STRを5分間1.3倍にする。


「わぁーお、ヤバすぎるなこの焼きおにぎり。あと最後の一文が怖すぎる・・・・。食に取り憑かれた亡霊がいるな。」


まぁ良いや、兎に角一口食べてみるか。


焼きおにぎりを口いっぱいに頬張った。


「確かに美味いな。味噌の甘さとしょっぱさが米と合わさってとても良い塩梅になっている。それと何よりあったかいのが良いよな。」


飯はやっぱりあったかいのが一番よ。そういえば泣くほど美味いみたいに表現されていたけど大袈裟じゃないか?他の人が食えば変わるのかな?


「よし、色々考えてるうちに食べ終わったし、量産するか。レンタル終わりまであと1時間半あるしな。20個ぐらいは出来るかな。」


味噌はまだ壺5個分ぐらいならあるし、大丈夫だろう。早速作業に取り掛かるか。






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