エピローグ

  冬の砂漠を後にする楽師一人……・




  髪 漆のごとく黒く 瞳は射干玉の玉 


  流れるような髪に幾重もの 簪 笄



 その肌は雪のように白く 大理石のようにすべらか

  歩みはさながら水上を進むがごとく



   その喉 一度歌声に震えれば

    何人たりとも落涙せずを非ず




   伝説と歌われ また伝説を歌う

    玲瓏 涼水のごとし その歌声



  ただ……人と人の幸せを願い 歌う



   放浪の楽師 一人彷徨う……






 ポロォォン……




すべて 世は 事もなし……




                                

開陽---------人は開陽を空気の星と呼ぶ平生はその重み気付かねど失えば生きていけぬと。開陽はやすらぎの星鎮静の星、第七星はこの星の光によりて真の孤独から逃るる。とくと知りおけ、この星の美しさ人を惹きつける光はすべてを愛す美しき心根、心騒ぎ穏やかならぬ心となり心荒みし時はこの星を見上げ万物の心に真実必要なものこそ愛と平穏とこの星に学ぶべし。


                                了

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七星譚 青雨 @Blue_Rain

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