515 あの例のフェスの裏側

 ボブの為に子会社の設立をする資金を投資をすると言う崇秀。

その内容にイマイチ納得出来ないボブは、その融資を受ける気持ちには成り切れなかった。


すると崇秀は『こうやって知り合った以上【ダチ】なんだから、理由なんて、それで良いんじゃね?』っと言い出し、ボブを更に混乱の中に落とし込んでいく。


まぁ、普通はそうなるわな(*-ω-)⁾⁾


***


「オイオイ『ダチ』だからって出資するのかよ?……なんだよ、その無駄に熱い発想は?」

「じゃあ、どう言やぁ納得すんだよ。こんな事を続けても、埒が開かねぇだけだぞ」

「だってよぉ。イキナリ起業だなんて言われても、覚悟なんて、なにも出来ねぇしよ」


そらそうだ。

全うな人間なら、そう思考に成るのは当然だよな。



「じゃあ、その辺は見切り発進って事で」

「オイオイ正気かよ?オマエだって、金が無限に有る訳じゃないんだぞ」

「いいや。その件に関しては、全くと言って良い程問題はねぇよ。つぅか、それ以前に、金なんか無くなったら、無くなったで、また稼ぎゃあ良いだけじゃんかよ。そんな些細な事ぐらい気にすんな、気にすんな」


満面の笑みで、よくもまぁ、そんな事が言えるな。


まぁ、オマエの場合、各国に金の成る木を植えてるし。

言葉通り、金がなくなりゃ、稼ぎゃ良いんだろうけどな。


ほんと傲慢な野郎だな、オマエって。



「はぁ……その、どこまでもお気楽な態度。もぉ、なにを言っても無駄って事か」


漸く、ボブの奴も折れたか。


けどな、それは正しい選択をしたと思うぞ。

ホント、コイツって生き物はな、トコトン自分勝手な生き物だから、自分の思い通りにならない事を嫌う傾向が強いからな。

故にだ、此処でオマエが反論しても、次の説得が来るだけなんだよな。


だからホント、此処は折れて正解だよ。



「フフッ、まぁそう言うこったな。オマエは、俺に出会った時点で、面倒な事からは逃れられねぇ運命だったって話だな」

「あぁ~~あっ……こりゃあ、とんでもねぇ野郎に見初められたもんだな」

「運が無かったと思って諦めろ。人生諦めも肝心だ」

「だな。こりゃあ」


結論的には、ボブの根負け、崇秀の根勝ちだな。


けど、此処まで決まっちまった以上、ボブも後には引き帰せないよな。

崇秀じゃねぇけど『覚悟を決めて諦めろ』


……それにしても崇秀の奴、ボブには、この後、どういう展開を見せるつもりなんだ?



「なぁ、崇秀よぉ。その話が決まったのは良いけどよぉ。オマエ、これからどうするつもりなんだ?なんか今後の目標とかあんのか?」

「んあ?目標だと?」

「あぁ、あの、GUILDを使って国境を失くす、って壮大な話以外で、もっと身近な目標ってあるんか?」

「あぁ、そう言う目標な。まぁそれならそうだなぁ。例えば【全米のヒットチャート50を、俺の名前で埋め尽くしてやる】ってのは、どうだ?この程度の事なら、当初の目的に定めるのも悪くねぇだろ」

「はぁ?なに言ってんの、オマエ?無理だよ無理。そんなの絶対無理だって」

「そうかな?ホントにそうかな?」

「そんなん無理だろ」

「いや、真琴。仲居間の言ってる事は、強ち机上の空論って訳じゃねぇぞ。寧ろ、考え方によっちゃあ、簡単に出来ちまうかも知れねぇ」

「へっ?なんでぇ?」


なぁ、ボブ、オマエって、頭良いの?悪いの?


どっち?



「ほぉ~、気付いたか」

「そりゃあ、この業界に居るんだから、それぐらいは気付くわな」

「だよな」

「えっ?どういう事だよ?また俺はハミ子か?」


解答が解ってるって事は、どうやらボブは本当に頭が良いみたいだな。


チッ!!



「いや、実に簡単な方程式なんだがな。埋め尽くす以前に、もぅ既に埋め尽くされてんだよ」

「はっ、はい?」

「あぁっと、これじゃあ解り難いか。……真琴、オマエ、仲居間が開催したマサチューセッツのフェスの話は知ってるか?」

「あぁ、それなら知ってる。崇秀の馬鹿が無茶したあれだろ」

「それそれ」

「はぁ?ちょっと待ってくれ。俺は全然、無茶なんかしてねぇぞ」


アホがなんか言ってやがるが、面倒臭いから此処は無視しよ。


アホンダラァ君は、此処ではシ・カ・ト。



「『それそれ』って……それが、どうしたんだよ?」

「ほぉ。これが無視ですか。思った以上に嫌な感じだな」

「いや、それこそがな。仲居間の言った『ヒットチャート50を埋め尽くす』の要因になってるんだよ」

「当事者を放置して、Wで無視ですか?Wって事はガンダムですか?」

「やかましいわ!!オマエ、ちょっと黙ってろよ」

「おぉ、なんか知らんが怒られた」


邪魔……



「っで、結局、それがなんなんだよ?」

「いや、そのフェスの際に、仲居間は有名アーティスト達に楽曲を提供しただろ」

「あぁ、したなぁ……ってオイ!!」

「そぅ、そう言う事。それらの曲が発表されてる時点で、まず仲居間の曲は、全米中のリスナーに認知されてるって事だ。その上、有名アーティストが唄ってるから、ヒットチャート50を独占するって話も同時に完結してるって事だな」

「コイツ……そんな所まで考えて、楽曲提供してやがったのか」

「多分な」


ただ単に『フェスの出演料として渡した』と思ってたら大間違い。

この馬鹿は、そんな裏事情まで込みで、あの時、有名アーティスト達に楽曲の提供を試みていたんだな。


本当に、どうしようもねぇな。


マジで、どうなってるんだコイツだけは?



「オイ、コラ、崇秀。今のボブの話はどうなんだよ?」

「・・・・・・」

「黙ってちゃわかんねぇだろ。オラ、そのお喋りな口を開いてサッサと言え」

「はぁ……オマエねぇ。あんま無茶ばっかり言うもんじゃねぇぞ」

「なにがだよ?なんも無茶な事なんか言ってねぇだろ。……それとも、此処まで事実を白日の元に晒されてるって言うのに、今更『企業秘密』だとか抜かすんじゃねぇだろうな」

「いや『企業秘密』なんてもんは、なんもねぇぞ。ただ単に俺は『無茶な注文』だって言っただけだ」

「はぁ?なに言ってんのオマエ?」

「いや『黙れ』って言って置いて『口を開け』って言われてもよぉ。金魚みたいにパクパクするだけじゃねぇかよ。そんなもんで、どうやって相手に意思を伝えるんだ?」


この馬鹿……何を神妙な顔をして聞いてくるかと思えば、そんな、どうでもいい事かよ!!


イチイチ細けぇ事を言ってんじゃねぇよ!!



「オマエの得意な超能力でナントカしろ。この馬鹿金魚」

「あっそ。じゃあ今、その超能力とやらで、オマエに伝えたから、後はオマエが勝手に脳内で補完しろ。質問は一切受け付けねぇ」

「汚ねぇ……」

「なんでだよ?伝わっただろ?ほれほれ、その俺の超能力とやらでなにが伝わったか言ってみろよ」

「……なんも伝わってねぇし」


余計な事を言うんじゃなかった。

これじゃあ単に、コイツに、俺をからかわせるネタを提供しただけじゃねぇか。


最悪だな。


答えが見えねぇ。



「いいや、完全に伝わってる筈だぞ」

「なんでぇ?受信側が超能力が使えねぇんだから、伝わる訳ねぇだろ」

「そうかぁ?オマエ『そんな裏事情込みで、楽曲の提供を試みていたんだな』ってのと『本当にどうなってるんだコイツ?』って思ってるだろ?それが全ての答えじゃん」

「ギャボ!!マジの方の超能力かよ!!」

「そういうこった」


超能力と言っても、なにも伝える方だけって訳じゃないんッスな。


人の心を読む『読心術』ってのも考慮すべきだったんッスね。


そりゃあ、失礼致しましたな。


……ってかな。

そんな意地の悪い事を考えた上に、ワザワザ口に出してまで言わなくても良くね?



「まぁ、つぅっても、こんなもんは序曲に過ぎねぇ。此処から漸く、俺の本格的な計画が始動し始めるんだよ」

「なに?まだ、なんか企ててやがるのか?」

「当然だろ。今の現状に満足してどうすんだよ。全ては、これからだよ、これから」

「オイオイ、なにすんだよ?あんまり、おっかねぇ事バッカリ、ズラズラ言ってんじゃねぇぞ」

「あぁ~あっ。ダメだコイツ。この馬鹿には寸分たりともなんも伝わってねぇよ。どんだけ小さぇ脳味噌してやがんだ」

「解るかぁ!!」


いや、だってよぉ。

この話って、有名なミュージシャンを使うって汚い手で『ヒットチャート50』を独占したって話だろ。


目的を果たしたんだから、もぅ十分なんじゃね?



「あぁ、面倒臭ぇ。馬鹿の相手は疲れる。……ボブ、此処からの派生系の話は解るか?」

「当たり前だろ。そこが解らない様じゃ、この業界に居る資格なんてねぇよ」

「だよな」


なるほど、なるほど。

ゲスな変人にしか解らない様な、ややこしい思考だな。


なら、俺は知らね。

知ったこっちゃねぇな。



「なにが『だよな』だよ。どうせカスみたいな話のクセによぉ」

「あぁ、その通りだ。これはカスみたいな話だな」

「ぐっ!!」

「けど、そのカスみたいな話が、わからねぇんなんて、どうかしてるぞ」

「やかましいわ!!言いたいんなら、ゴチャゴチャ言ってねぇで、サッサと言えよ」

「聞きたいんなら、ゴチャゴチャ言ってねぇで、サッサと聞けよ」

「おぉ~~~、見事な鸚鵡返しだ」

「ムグッ!!オマエも、余計な事だけ知ってんじゃねぇよ!!」


大嫌いな鸚鵡返しを喰らった上に、ボブには、その鸚鵡返しの特性も解説も出来なかった。


これじゃあ、お笑いの的にされてるだけじゃんかよ。


嫌過ぎる。



「あぁ、悪ぃ。ツッコミのタイミングだと思った」


うわっ!!此処で変に反省されても困るな。



「いや、まぁ、その、ツッコミのタイミングは悪くなかったぞ」

「あぁ、そうなのか?そりゃあ良かった。結論が出るまで、下手な交渉よりドキドキしたからな」

「いや、そこ、緊張する所じゃねぇからな」

「なるほど、お笑いの道は厳しいな」


いや……これ以上お笑い要員はイラネェから。

それに関しては、山中が一匹居れば、それだけでもぉ十分だからな。


……ってか、なんの話だよ、これ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


ボブさんの説得にも成功し、全米ヒットチャート50に自分の名前も埋め尽くした。


さてさて、このどうしようもなく狂った天才は、一体、次に何を企んでいるのか?


それは次回の講釈。

なので、また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る