513 蛸助の称号を君に!!
GUILDの権利を譲渡して欲しいボブ。
そう成ると当然、崇秀は、その代償が如何なるものかと尋ねるが……その答えには一切満足していない様子。
寧ろ、話にも成らないとまで言い切ってしまう。
しかも、その後、崇秀の方から条件を提示してやがるんだが……東海岸を仕切る様な悪徳レーベルに向かって、そんな事言って大丈夫なんか?
まぁ、大丈夫なんだろうけどな、コイツの場合だけは。
(´Д`)ハァ…やだやだ
***
「……っで、俺に、なにをしろって言うんだよ?」
「なぁに、そんなにビビんなくても簡単なこった。オマエが、レーベルの子会社を設立しろ。そうすりゃあ、この話の1部に乗ってやるよ」
「『子会社の設立』?どういう事だ?」
「フフッ、東海岸のギャングを手玉の取ったオマエさんでもわかんねぇか?」
「いや、全くって訳じゃねぇが、オマエの意図だけが、全然見えねぇ」
「そっか。じゃあ、自分の理解してる部分だけ話してくれ。それで判断させて貰う」
「あっ、あぁ」
ボブは、崇秀の話に反応して険しい顔をしながら、再度思慮を固めて行く。
恐らくは、今まで蓄えた崇秀と言う人物のデータを元にして、どうすれば交渉がスムーズに行くかを考察しているんだろう。
こうやってボブを見ると、サラリーマンなんだなって思えてくるな。
そんなボブを、崇秀はニヤニヤしながら、コチラも何か考察中。
この様子からして、多分、コチラも同じ様な事を考えてる筈だ。
なんとも言えない緊張感だな。
あぁ因みに、俺は、ただのハミ子な。
(↑なんも考えてない人)
***
「さてさてボブ……どうだ?少しは話が纏まったか?」
「あぁ、完全にとまでは言えないが、ある程度は纏まった」
「じゃあ、早速で悪いが、オマエの纏めた話しを聞かせてくれ」
「……OK」
此処に来て、お互いの心理を読み合う、地獄の会談が始まった。
「じゃあまず、俺の見解な」
「どうぞ、どうぞ」
「俺の見解じゃ、仲居間は、まず俺に子会社を設立させた上で、4000人のデータから数個のバンドを選別させる」
「ほぉ、イキナリそこに行くか。何故そう思う?」
「それについては、小会社の基準になるバンドを作らせる為だ」
「まぁ及第点だな。話を続けてくれ」
「あぁ。その上で、そのバンドを通じて、俺の管理能力を問うつもりだ。付き合うに値する人間か、どうか、って感じで」
「流石に、そこは見事に正解だな。じゃあ何故、子会社を作る必要性がある?親会社のレーベル自体でやっても、オカシクはないとは思わないのか?」
「信頼関係の話じゃないのか」
「近いな。けど、本来の答えは、もっと利潤を追求した部分だぞ。そこは間違いだ」
「『利潤』?って事は、設立した子会社自体の利潤の話か?」
「そういうこった。此処で一番最初に検分すべきは、所属の大手レーベルじゃなくて、オマエ自身が作る子会社の話だな」
あぁなるほど。
俺は、少しだけだが崇秀の話が見えてきたぞ。
敢えては、言わねぇけどな。
(↑一応、言って置くが、金銭に関わる事だから、マジで解ってるからな)
「ふ~~~ん、だとしたらだな。……親会社のレーベルに対する上納金や、印税で入ってくる金を、全て計算した上で、全てのアーティストの管理しろって事か?」
「正解だ。オマエが譲り受けたアーティスト達をキッチリ管理するなら、交渉を成立しても構わねぇって話だ」
「しかしだな。そうなると、オマエのメリットは何所にある?全く見受けられないが」
「オイオイ、此処に来て、そんな意見が出るなんざ、オマエの洞察力ってのも大した事ないな。俺と言うフザケタ人間を、全く理解してない証拠だぞ」
確かに、ボブは理解していない。
だってよぉ。
恐らく崇秀は、最初からメリットなんて物は、なにも求めちゃ居ないんだからな。
多分だけどな、多分。
「じゃあ、なんのメリットが有るって言うんだ?そこが一番良くわかんねぇ処なんだよ」
「馬鹿だねぇ。俺はメリットなんてものは、最初から求めちゃ居ねぇよ。この話は、GUILD登録してくれてるミュージシャン達の『安全確保』が一番の目的なんだからな」
ほらな。
俺の言った通りだっただろ。
崇秀ってな、普段から『利益』がどうとか『メリット』がどうとか、金に口うるさく言う割にな、その実、そんなものには、端っから興味を持っちゃ居ないんだよな。
コイツが一番重要視してる部分ってのは『才能ある人間』や『努力してる人間』に対して、より良い環境を作ってやる事なんだよ。
勿論、これに『慢心する』様な奴が居たら、恐ろしい様なスピードで、速攻潰しに掛かって来るが、その努力を止めない限り、その恩恵は受ける事が出来る。
兎に角、コイツは、人の事しか考えてないんだよな。
「はぁ?他人の事が一番大事だって言うのか?」
……って、此処を理解してないと、こう言う反応になる訳だ。
「あぁ、当然だろ」
「なんでだ?」
「オマエって、本当に頭が悪いのな。こんな倉津でも解る様な簡単な事が、なんでわかんねぇんだよ?マジで救いがねぇな」
「うぇ……んな事言われたの、生まれて初めてだ」
「だったら、少しは頭を鍛え直せ。そのままじゃ馬鹿の極みだからな」
「うぇ」
ボブ撃沈。
「ちょっと待ってくれ。さっき、真琴にも解る様な事って言ったが、それは本当か?」
「あぁ、馬鹿大王にでも解るぞ。……なぁ、倉津」
「さっきから聞いてたら、言いたい放題言いやがって……誰が馬鹿大王じゃ!!」
「じゃあ、蛸助か?」
おのれは……大いなるクトゥルフの怒りを喰らわすぞ!!
「蛸助でもねぇつぅの!!」
「ほぉ。ならオマエが、馬鹿でも、タコでもねぇってのを、自ら立証が出来るって言うのか?」
「当たり前じゃあ!!オマエの思考如きなんざ、お茶の子サイサイ、手に取る様に解るわ!!故に、立証は容易いんだよ」
「うっそ……」
オイ!!コラッ!!ボブ!!
なにも解らなかったくせに、馬鹿を見下すんじゃ有りませんよ。
もし俺が、此処でキッチリ立証したらどうすんだよ?
成否判定次第では、オマエが馬鹿と、タコ以下の生物って認識になるって事なんだぞ!!
そこんとこ忘れんなよ!!
「ほぉ~~~。して、どう見る?」
「どうせ、糞クダラネェ事バッカリ考えるオマエのこった。そうやって自分の才能を『世間にひけらがしたい』だけだろ。俗に言う自慢だ自慢」
「ほほぉ、半分正解だな」
「半分じゃねぇよ。どう考えても、全部合ってるだろうに」
「なんでそう思う?」
「そりゃあ、オメェ。オマエは、自分には金を稼ぐ才能が有る事を自覚してるから、必要以上に金はイラネェ。だったら、その自分の才能を、他人の為に垂れ流そうって腹積もりなんだろ。……この上から目線野郎が!!」
「おっ、スゲェ、スゲェ。100%正解だ」
「はぁあぁ~~あっ、どうせ、そんなこったろうと思ったよ」
やった!!
コイツの考えそうな事を適当に言ったんだが、意外にも正解だった様だな。
これでボブは、馬鹿のタコ以下に決定だな。
ザマァ。
「ちょっと待ってくれ。理解出来んぞ」
「なんでだよ?今、俺が言ったままの話じゃねぇか」
「だとしてもだな。些か、極論過ぎないか?」
「そうかぁ?」
「フフッ、良い所に目を付けたな。そぉ。この解答に関してのみ、実は100%以上の解答があんだよな。どうやら倉津は、そこまでは気づかなかったらしいがな」
あっ、あれ?
まだなんかあったのか?
あれ?おかしいなぁ?
俺としては、完璧な解答だったと思うんだがな?
あれ?(。´・ω・)?
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
蛸助の称号が、一瞬ボブさんに渡ったように見えましたが。
実はまだ、倉津君が、その称号を譲渡する訳にはいかない様ですね(笑)
さてさて、崇秀の言う100%以上の解答、とは一体何なのか?
それは次回明らかに成りますので。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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