511 ボブさんの正体は……

 崇秀により『知らなければ良かった』っと言うのを体感的に説明された俺だったが、それでも尚、ボブさんの正体が気になるので……


矢張り、気持ちが悪いので聞こう(;゚Д゚)و


***


「この馬鹿は……あれだけ言ってるのに、まだ聞くのかよ」

「『毒を喰らわば皿まで』なんて言葉も有るからな。此処まで聞いて、引き下がるのもなんだろう」

「まぁなぁ、確かに、そういう言い分もあるわな。……んじゃま、俺は判断しかねるから、此処はボブ本人に投げる方向で」

「オイオイ、んな事言われたら、余計言い難いつぅの」

「おぉ、ナイス・ツッコミだ。良い感じだぞ、ボブ」

「へっ?あっ、あぁ、そうなのか?」


面白ぇ。


ボブが何者かは知らないが、なんかそれって、もぉどうでも良くね?

ボブの言う通り、ツレって関係で良い様な気がしてきた。



「んじゃま、取り敢えず、オチも付いた処だし。ボブの正体について説明でもすっか」

「結局、オマエがするのかよ……」

「まぁ、本人が言い難いって言ってんだからしょうがねぇだろ。此処は俺でまけとけ」

「しゃあねぇなぁ。その代わり、ちゃんと解り易く説明しろよ」

「はいはい。馬鹿でも解る様に丁寧な説明をしてやんよ」

「毎度毎度、馬鹿は余計だつぅの!!」


……さてさて。

本当に『馬鹿』と言うオチが付いた処で、崇秀がボブについて話すんだが……これまた、トンデモナイ話なんだよな。


このボブ事、ボビー=マクラーレンって野郎、実はな。

東海岸を拠点とする大手レーベルの専属マネージャー兼、各種イベントを製作するイベンターって肩書きを持つ、マジでスゲェ奴だったんだよな。

んで勿論、この年(20歳)で、その地位まで上り詰めただけあって、その手腕は並大抵のものじゃないって話だ。

その証拠にだな、コイツが手掛けたバンドは、かなりの確率で世に出て行き、世間での認知度も、かなり高い位置にある。

(↑これが『アメリカでは知らない奴がいない』って理由な)


……けどな。

そんな良い噂に反して、そのボブが所属するESレーベルってのは、結構、黒い噂が絶えないレーベルでもあるんだよなぁ。


アーティストに対しての給料未払いは、勿論の事。

言う事を聞かないアーティストには、鉄拳制裁なんかも日常茶飯事。

下手すりゃ『殺してしまう』なんて事すらも厭わない様な、黒い噂が絶えないレーベルなんだよ。


それに付け加えて、このレーベルの背後には東海岸を仕切っているギャングの大元だって言うんだから、実に救いがない。


まぁつっても、こんな間抜けなボブの野郎が、その手の事に加担してるとは思い難いんだが。、その可能性が薄くないって言うのも、ある意味、事実だな。


そんな話を30分程、崇秀の口から齎された。


***


「……っとまぁ、簡潔に言うと、そんな感じだな」


そんな事実が有るにも関わらず、崇秀の馬鹿は、相も変らずな態度。

この件に関して、なにも恐れている様子は無い。


それ処かな、今の話をヘラヘラ笑いながらしてやがるんだよな。


この様子からして、今回も暴対策はバッチリ決め込んでるらしい。

これは明らかに、そう言う奴の態度の様に思える。


……にしてもだな。

どんな神経構造してんだ、コイツ?

仮にそれが出来ているとしても100%なんてものは有り得ないのにな。



「オイオイ、思ってた以上に、あんまし宜しくねぇ類の人間だな」

「まぁ、ギャングと絡んでるだけに、褒められたもんじゃねぇ人種だってのは、確かだな」

「まぁ、まぁ、そう最初から邪険にすんなって。微妙な話なんだが、流れてる情報にも虚偽ってのもあるんだからさ」

「それ、ホントかよ?ギャングや、ヤクザなんぞ、なにが有ってもロクなもんじゃねぇ筈だぞ」

「オマエが言うと、やけにリアルだな」

「まぁな。このリアルさ加減だけならNo1。俺が口にするのが一番リアルだろうな」


なんて言うかな。

俺等ヤクザの類ってのは、基本的に、目的に向って手段を選ばないから、自然と、やり口が汚くなるのは当然なんだよな。


勿論それは、万国共通であり。

どこの国でも早々変わる事はない、汚いやり口が使われていると思う。


だからなぁ、あんま甘く見ない方が良いと思うんだがな。



「いやいや、そうは言ってもな。マトモなラインだってあるんだぞ」

「どうせ、それにしたって、法律的な話だろ。マトモな神経の奴は、ギャングになんかなろうとは思わねぇからな」

「……確かにな、そら言えた」


ほらな。

所詮ギャングなんて、そんなもんなんだって。

コイツ等って生き物は、法律だけセーフなら、全部セーフだと思ってやがる様な生き物なんだよ。


基本的な部分が、厚かましいにも程が有る人種なんだよな。



「……っで、崇秀に近付こうと思った理由は、なんなんだよ?」

「あぁっと……今の状態で、一番言い出し難い事をサラッと聞くな、オマエって」

「アホ。それ以前にギャングの考える事なんざ、基本的には利潤しかねぇ。じゃなきゃ、理由もなく、ワザワザ、こんな奇妙奇天烈な生き物に、自分から近付くなんて真似はしねぇだろうに」

「まぁなぁ」


あぁあぁ、ヤダヤダ。


ヤッパリそうだ。



「っで、結局は、なんなんだ?」

「コラコラ、堅気じゃない者同士で、変に仕切り合ってんじゃねぇの。ボブは、ビジネスの話をしに来てるんだからよぉ。オマエも、ちょっとは遠慮しろつぅの」

「オマエねぇ。そうは言うけど、ヤクザのやり口なら、オマエも良く知ってるだろに。だから恐らくは、コイツの口から出る言葉は、テメェの利潤の事しか考えてねぇ様な糞話しか出ねぇよ」

「オイオイ、豪い言われ様だな」

「違うって言うのかよ?だとしたら、冗談にしては出来が悪過ぎんぞ」

「まぁ確かに、言い切れはしねぇな」

「ほれみろ」


なぁなぁ。

ちょっと、今な。

俺、自分で思っちゃったんだけどよぉ。


今の俺って、崇秀を弁護する『正義の弁護士』みたいじゃね?


みたいじゃない(否定)……あっそ。



「オイオイ、だからよぉ。お互い立場ってもんが在るんだから、話を聞く前から、当事者でもねぇオマエが勝手に却下すな。儲け話になる可能性だって高いんだぞ」

「いや、幾らオマエが凄い奴でも、ギャング相手じゃ旗色が悪いだろ。ケツの毛まで毟られるのがオチだって」

「ほぉ『俺から毟る』だと……面白ぇ。ボブ、話を聞いてやる。話してみろ」

「マジかよ?」


ヤベッ!!

冷静にさせ様と思ったのに、逆に変な所に火が着いちまったよ。



「あぁ、丸ごと全部纏めて聞いてやるとも。但し、条件の折り合いが付かなきゃ、この話自体が簡単に破綻するけどな」

「それって、今後の事も考慮しながら話をしろって事か?」

「そう言う事」

「う~~~わっ。折角、人がワザワザ心配してやってんのに、マジかよコイツ……」

「マジだよ」


へいへい。

オマエが、人の言う事を聞くなんぞ、これっぽっちも思っちゃいねぇよ。


勝手にしろ。


んで、勝手に上手くやれ。


どうせ出来るんざんしょ!!

(↑拗ねちゃま)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


ボブさんの正体は、東海岸を仕切るレーベルの敏腕プロデューサーだったみたいですね。

しかもオマケとして、バックにマフィアが居る様な黒い噂が絶えないレーベルの。


なので実家がヤクザの倉津君としては、ボブさんとの付き合いを懸念して、崇秀に忠告をするものの……

当然、崇秀がそんな程度の事で響く筈もなく。

次回も話は進んで行く様です(笑)


ちょっと倉津君、可哀想ですね。


そんな風に倉津君が、少しでも哀れだと思いましたら。

事の顛末を見に、遊びに来て下さいですぅ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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