507 またやっちまったよ……俺

 ステラの自分に対する裏切りでさえ『それが自立ってもんだ』っと言い切る崇秀。

そして、それと同時に『裏切り者を上手くいかさせない方法なんて沢山ある』とも言う。


だが俺は、最近のステラの成長から『そんなに上手く行くもんかねぇ』ってな感じに思っているので、反論する事に。


あんまステラを舐めんなよ!!( ゚Д゚)

(ただ、この時点でもう1つ、何か重要な事を忘れてる倉津君でした(笑))


***


「甘いな」

「うん、確かに甘いな。そんな事は重々承知してる」


う~~わっ!!考えてみりゃ、そりゃあそうだよな。

俺みたいなスカタンでも、直ぐに思い付く様な間抜けな話を、コイツが理解して無い筈がねぇよな。


アホ臭ぁ~~~。


けどよぉ、人の成功を邪魔しなくても良いんじゃねぇの?


その辺が気になる所だから確認しよ。



「ゲッ!!……って事は!!」

「当然、上手く行かなくする方法なんざ、山程有るって話だな」


ヤッパリだ。



「オイオイオイオイ崇秀よぉ。幾らなんでも、そりゃねぇだろ。可哀想じゃねぇかよ」

「ったく。オマエは、ホントに馬鹿だな。んな事するかよ。する訳ねぇだろ」

「へっ?しねぇんだ」

「しねぇつぅの。オマエの中で、ドンだけ性格が悪いんだよ俺」

「果てしなく。肥溜めぐらいドロドロした、糞みたいな性格の悪さだな」

「あっそ」


しっ、しまった!!

また軽々しく余計な事を言っちまった!!

この言葉が切欠になって、ステラに変な事をされちまったら、どうすんだよ俺!!


アホ過ぎんぞ!!



「いやいやいやいや、ジョーク・ジョーク。今のはIt`sアメリカンジョーク」

「じゃあ俺も、オマエの言う、そのアメリカン・ジョークとやらで1つ面白い事をするわ」

「やめぃ!!」

「や~~め~~~ねぇ~~~~よ~~~~~」

「やめましょう。虐めは、非常に格好の悪い行為ですよ」

「やだね。俺は、これって決めた事は、絶対に辞めねぇ主義なんだよ。その辺はオマエが一番良く知ってんだろが」


ギャボ!!


……ってイカンイカン。

そんな事を言ってる場合じゃねぇな。

ナントカしなきゃ、ステラが酷い目に合わせれちまう。


なんとしても、それだけは阻止しねぇとな。



「可哀想な事してやるなよ。ステラは関係ねぇだろ」

「はぁ?オマエ、なに勘違いしてんだ?誰がステラに面白い事するって言ったよ。俺がするのはオマエに対してだ」

「ゲッ!!」


なにを言い出す?

なにをさせるつもりだ?

……ってかオマエは、そんな余計な事は考えずに、年始のフェスト横断ツアーの事だけを考えとけ!!


オマエが考えると、絶対にロクデモネェ事しか考えねぇしよ。



「オマエ……俺の全米ツアーに付き合え」


はい?


嫌です。


いや、絶対に嫌です。



「断じて断る!!直ぐにでも帰りたい俺が、なんで年始からの全米ツアーに付き合わなきゃなんねぇんだよ、アホか!!」

「ほぉほぉ、なら、俺のターゲットは、日本に滞在してるオマエの味方だな」

「キッタネェ奴だな、オマエ。寄りにも拠って人質かよ!!」

「あぁ人質だ。それに、俺が手段を選ばない汚い人間だってのは言うまでもない」

「オマエねぇ。俺にだって予定ってもんが有るんだぞ」


特にはねぇけど。



「じゃあよぉ、そのまま日本に帰りゃ良いじゃんかよ。そんで、仲間同士の友情パワーとやらを全開にして、俺の試練に立ち向かってみろよ」

「いやいやいやいや、不用意な言葉1つぐらいで、なんでそんな苦労せにゃならんのだ。すんな!!」

「やだね。それによぉ、オマエ等全員、此処最近なんも成長してねぇじゃん。馬鹿みたいに人気が出てからって、調子乗んなって話でもあんだよ」

「いやいやいやいや、誰も調子に乗ってないじゃんかよ。みんな頑張ってるぞ」

「足りねぇな。あれだけの下準備をしてやったのに、あの程度じゃ、寧ろ、話にもなってねぇ。物足りないにも程があるぞ」


だ~~~か~~~らぁ~~~、そんな風に、なんでもかんでも自分を基準にすんな!!

オマエは異常な人間なんだから、一般的な考えを持つ俺達とは根本的なラインで出来が違うの。


変な風に考えんな!!



「アホ臭ぇ。十分やってるつぅの」

「あぁっそ。そこまで言い切れるなら、明日のライブだけ付き合え。オマエ等の演奏が、如何に遅れてるかって言うのを見せ付けてやるからよ」

「じゃあよぉ。逆に言えば、大した事ねぇって判断すりゃあ、もぉなんもしねぇって事だよな。それで良いか?」

「OKOK、全然OK。但し『完全に感動』したら、オマエには、俺の全米ツアーに付き合って貰うぞ。それでこそ条件が公平ってもんだろ」

「良いだろ。……テメェのスカみたいなライブなんぞで、誰が感動するか!!ボケ!!」

「OKだ。賭け成立だな」


グワッ!!またしても、やっちまったよぉ~~~。


終わったな俺。


さようなら俺の冬休み……



「あぁ、それはそうとよぉ。オマエの言う全米ツアーって、どれ位やんだ?」

「んあ?あぁ、それなら大した事ねぇよ。50日で45箇所廻るだけだ」

「はい?……って!!オイオイオイオイ、冬休み終わってんじゃねぇかよ!!」

「あぁ、終わってるなぁ」

「いやいやいやいや、勉学大事。俺、来年受験生だし」

「あぁ、その程度の事なら心配すんなって。俺が責任を持って、ちゃんと教えてやんよ」

「嫌だし。オマエなんぞに、なんも教わりたくねぇし」

「じゃあ、しょうがねぇな。自習しろ自習」

「鬼かオマエは……」


鬼だな。


うん、鬼だ。



「しらね」


投げやがった……



……ってかな。

もぉこの馬鹿に、なにを言っても無駄だな。


やめた。



「あぁ、もぉ良い。ギャフン、ギブアップ」

「あっそ。そりゃあ良かった。……あぁ、所でよぉ倉津。廊下に待たせてるの誰?」

「( ゚д゚)ハッ!!」


しっ、しまった!!


いやいやいやいや……つっても、ボブの事を忘れてた訳じゃねぇんだぞ。

それに、崇秀との話の盛り上がりに身を任せてた訳でもねぇんだぞ。


あの……その……えぇっと……その……これはだな、あれだあれ。


あぁ、そうそう!!

わざと話を長引かせて、長時間、崇秀を観察させる事によって、ボブの奴に、より深い洞察力を発揮して貰おうと思っただけだからな。


なので、これは実に上手く行った!!上手く行った!!


まさに作戦大成功だな!!


……嘘。


すまんボブ。

オマエの存在自体をスッカリ忘れてた。



「あぁっと、あれだ。オマエに逢わせたい奴がいるんだよ」

「はぁ?じゃあ、なんで廊下で待たせてるんだ?」

「いや、まぁ、その、なんだ。ちょっと特殊な奴でな。ソイツの得意分野ってのを明確に発揮させる為には、少し時間が必要なんだよ。そんで廊下で観察させてただけだ」

「『時間が必要な得意分野』それに『観察』かぁ、……あぁ、洞察力か」

「なんで解るんだよ!!」


出たか超能力!!



「バカタレ。人を観察していて発揮する能力なんか、それ以外、なにが有るって言うんだよ。……つぅか、んなクソクダラネェ説明させるより、中に入って貰えつぅの」


状況把握能力でした。


残念……



「あぁ、そうだな。おい、ボブ、汚ねぇ所だが、遠慮なく入って来いよ」

「はぁ……やっとかよ。忘れられてるのかと思ったぞ」

「悪ぃ」

「ボブだと?……オイ、倉津、フルネームを教えろ」


うん?崇秀の奴、なんかヤケに険しい顔をしてるな。


なんだ?なにが起こってるんだ?



「いや、ボビー=マクラーレンだったと思うが」

「間違いないか?」

「あぁ、間違いねぇな」

「そっか。アンタが、ボビー=マクラーレンか。こりゃあまた、面白い奴を連れて来てくれたもんだな」

「はぁ?なにがぁ?」


いや、ホント、なんだよこれ?


崇秀の奴、明らかに、ボブの事を知ってるみたいだけど、なんで知ってんだ?



「隠せねぇもんだな。やっぱりバレたか」

「そりゃあバレるだろ。アメリカじゃあ、アンタを知らねぇモグリが居ねぇぐらいだからな」

「はい?」


これ、どういう事?


なに?ホント、なにが起こってるんだ?

俺1人だけ、なんにもわかんねぇなんて、なんかツマンネェじゃねぇかよ。


誰か教えちくり。



ホントどうなってんだよ?


***


 ……ってな訳でだ。

更なる不安を持ちつつも、次回へ続く。


んでもって、此処は恒例で非常に申し訳ないんだがな。


……嫌な予感(;´д`)トホホ


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>

これにて第一章・第十九話『アメリカ上陸な俺』はお仕舞になりますが、如何でしたでしょうか?


まぁ、崇秀の年始の動向について色々な話を聞かされ。

倉津君ん自身が、山中君の依頼を達成したのは良いのですが。

ボブさんの存在を完全に忘れてたのは、中々の鬼の所業でしたね(笑)


ですが次回から始まる『即座にさようならアメリカ』では、そのボブさんの存在が大きな波乱を呼ぶ事になります。


なので、そこが少しでも気になりましたら。

また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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