501 名探偵(?)ボブ

 ニューヨークで逆カツアゲを成功にした俺。

そんな彼を見ながら、ボブは何を思い、話を続けているのか?


そして、そんな会話の最中、モテるモテナイの話に成って『向井奈緒が自分の彼女だ』と言ってしまった俺であった。


まぁ、奈緒さんが有名とは言え、此処はアメリカだしな……大丈夫だろ。

(*-ω-)⁾⁾


***


「ほらよ」

「うん?なんだよ、これ?……向井奈緒じゃないかよ?」


へっ?



「はっ、はい?ちょ、ちょっと待て!!なっ、なっ、なっ、なんでオマエが、奈緒さんを知ってるんだよ?」

「いや、そりゃあ真琴。向井奈緒って言やぁ、GUILDの仲居間崇秀がプロデュースした第一号だろ。アメリカでも、結構、知れ渡ってるアーティストだぞ」


ギャボ!!


いつの間に……


ってかよぉ、崇秀の名前って、そんなにアメリカ国内で浸透してやがるのか?


おっかねぇなアイツ。



「つぅか、これって、マジ話なのか?」


神妙な顔をしながら、小声で聞くな!!



「いや、間違えたな。うん、うん、写真を間違えた」

「あぁ、この動揺ッぷり。本当だな、こりゃあ」


ヤバイ!!非常にヤバイ!!

此処に来て、まさかのエマージェンシー!!

完全に気を抜いて、安心感を持ってやった自己満足的な行為が、思わぬ方向から裏目に出やがったよ。


なんで、いつもこうなるかな?


それにだ。

こんな事が世間に知れ渡ったら、奈緒さんの成功に傷が付いちまう。


どうっすかな?


恒例の『ブン殴って記憶を無くさせる』のが常套手段か?

それとも、メキシコと、テキサスの国境付近にある『リオグランデ川』に『ボブをコンクリ詰め』にでもして放流するのが正解か?

あそこなら治安が悪いから、自動的にマフィアのせいになるだろうし、若しくは、メキシコからの不法入国者のアメリカに対する報復行為だと捉えられるかも知れないしな。


後者の方は、かなり有効な手立てだな。



「待て待て待て。冗談じゃんかよ冗談。アメリカ人なら、誰も知らないとか思ってよ。芸能人を彼女だって嘘付いただけじゃんかよ。マジに捉えるなよな。思春期には、よく有る話だろ」

「いやいや、真琴。そんなに焦んなくても、誰にも言わねぇって」

「ホントか?マジで?絶対、誰にも言わね?」

「言わねぇ、言わねぇ。ダチが困る様な真似ワザワザするかよ」

「おぉ~~、マジでそう言ってるんだったら、オマエって良い奴だな。そして命拾いしたな」

「『命拾い』って、なにする気だったんだ?」

「殺害?」

「あぁっそ。それは助かったな。けどよぉ、一個だけ教えてくれよ。……真琴は、どうやって、向井奈緒と知り合ったんだ?」

「コンパだな」

「コンパアァ~~?はぁ~~~、世の中、おかしな事もあるもんなんだな」


ダスよ。


人、これを『奇跡の出逢い』と言う。

いや、寧ろ『出逢うべくして出逢ったカップル』と言うのが、俺の中では正しい言い方だと認識してるけどな。


俺と奈緒さんは『世界一のベストカップル』ですからな。


ハハハハ……

(↑馬鹿)



「まぁまぁ、つってもよぉ。奈緒さんが有名になる、ズッと前に知りあったんだけどな」

「ふ~~~ん」

「なんか生返事だな。その調子だと、ほぼ信じてねぇだろ」

「いや、寧ろ、信じてるぞ。つぅか、そっちの方が、妙にリアリティがあるしな」

「そっか。まぁ別に、どっちでも良いんだけどよぉ」


基本的にこんなのは、所詮、与太話に近い話だから『信じるか信じないかは、アナタ次第です』だからな。



「なぁ、真琴。突然で悪いんだが。オマエってさぁ、ひょっとして仲居間崇秀の知り合いか?」

「ゲッ!!何故に、そんな事を急に聞く?」

「いや、だってよぉ。彼女が向井奈緒で、オマエの行き先がマサチューセッツ。どう考えても関連性が高いだろ」

「ぬぬぬ。オマエってさぁ……実は、頭良くね?」


たった2つのヒントで完璧な解答を導き出す。

ニューヨークの片隅で、不良のフリをして生活する天才少年、名探偵ボブ!!


(注意)全ての真実を暴くので、ご依頼は計画的に。


……ってな感じ。


ないな。


じゃあなんでわかるんだ?



「頭は良くねぇよ。けど、よく『洞察力は鋭いな』って人に言われるぞ」

「『洞察力』か?例えば、なんか、それに付随する話でもあんのか?」

「まぁ、そうだな。これは例え話になるんだがな。オマエの性格なら、手に取る様に解るな」

「俺の性格?」

「あぁ、オマエの性格。因みにだが、真琴は人から相談を受ける事が多い人間だろうな。それに極度のフェミニストでもある。序に言っちまえば、SとMの両極端な性格が混在してるってのも否めない話だ。……どうだ?オマエの性格を、簡単に言ってみたんだが、当たってるか?」


うぇ!!流石、ニューヨークに、この人有りと謡われた名探偵ボブだな!!


ほぼほぼ、正解じゃねぇかよ!!



「なっ、なんで、そんな事がわかんだよ?」

「簡単な事だよ。『人から相談を受ける』って言うのは、お節介な奴に多い気質だ。これは、さっき俺が絡まれた時の話で立証済みだろ。それに『フェミニストだって話』は、さっきオマエが言った『モテる』って話と『お節介』ってのを連結すりゃ推理出来なくは無い。最後に『SとM』についてだがな。これは前の2つを考察した上で『男には暴力』『女に対してはフェミニスト』って回答が出るだろ、だったら、これも簡単に推測出来る。……まぁつっても、殆ど、当てずっぽうだけどな」

「ほぉ~~~、大したもんだな」

「いやいや、そんな大層に言う程じゃねぇよ」


しかしまぁ、偶然に出逢った人間とは言え、コイツって面白い奴だな。

中々こう言う変人って、出逢う切欠がないもんな。


……あぁ、そう言えば、崇秀の奴って、こう言う変人を好む傾向があったな。

だったらコイツを、あの馬鹿と引き合わせるのも悪かねぇよな。


ならいっその事、ボブの奴、マサチューセッツまで案内してくれねぇかな?

そうすりゃあ、変人2人がご対面して面白い事になりそうだしよぉ。


取り敢えず、交渉してみっか。



「よぉ、ボブ。オマエって、今から暇か?」

「うん?あぁまぁ、オマエの案内さえ終わっちまえば、別に、どっかに行く予定もねぇし。暇と言えば暇だな」

「だったらよぉ。俺と一緒にマサチューセッツまで行ってくれねぇか?」

「はぁ?なんだよ、藪から棒に?あそこの道案内しろってんなら、お門違いだぞ。俺も、殆ど、わかんねぇからな」

「いや、そうじゃなくてな。実を言うとだな。さっきオマエが言った通り、俺は、これから、馬鹿秀に逢いにマサチューセッツに行くんだがな。アイツってな。オマエみたいな変わった奴が大好きなんだよな。だからよぉ、一回逢ってみねぇかな?と思ってよ」

「ついて行きゃあ、仲居間に逢えるって言うのか?」

「まぁなぁ。ってか、その為に連れて行くんだから、逢って貰わねぇと困るけどな」

「あぁ、けどよぉ。行きてぇのは山々だけど。俺、マサチューセッツまで行く金なんてねぇぞ」

「アホ、そんなもんぐらい、幾らでも俺が出してやるよ。誘ったのは俺なんだからよ」


旅費なんで、山中に付けて置くがな。


これは明らかに、この旅の必要経費だしな。



「マジかよ。……俺、俺さぁ、実を言うと仲居間って奴が、どんな人間か興味有ったんだよな。マジで連れて行ってくれんのかよ?」


ほほぉ、ヤッパ、変人は面白い事を言うなぁ。


それに、実に面白そうだ。

これは一種のニュータイプ同士の共感にも似た、変人は、変人と惹かれあうと言った現象だからな。


2人が逢って、どうなるものか見てみたい気がするしな。



「おぉ、金なんぞ気にすんな。行く気になってくれてんなら、楽しく行こうぜ」

「あっ、あぁ……」


こうして俺は我欲に準じて、ボブを伴い、マサチューセッツに向う電車に乗り込んだ。

(↑いつも通り、後先の考え無しな俺)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


ひょんな事から、ボブさんを連れてマサチューセッツに!!

さぁ、この出会いが、一体、何を齎すのか?


それは次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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