500 冷めた生き方なんて御免被りたいものだな

 ニューヨークの街中で絡まれたボブを助けた俺。

そんな俺の行動に、ボブは興味を持った様なんだが……


なんだかねぇ?( ゚Д゚)?


***


 ……っで。

イベントを見事に有言実行で果たした俺は、ご機嫌なまま路地から出て、再びニューヨークの繁華街を歩き始めた。


するとボブが、当然の様に話掛けてくる。



「なっ、なぁ、真琴。さっき言ったマフィアって、本当の話なのか?」

「あぁ、まぁ、大方嘘って訳じゃねぇな。けどよぉ、それはアメリカでの話じゃなくて、あくまで日本での話だぞ」

「日本で?って事は、ジャパニーズ・ヤクザ……本物なのかよ?」

「まぁな。自慢じゃねぇが、日本じゃ5本の指に入る組のデカさだな」

「マジかよ……カッケェ~~~」


オイオイ、なんで、そんな憧れの眼差しを俺に向ける?

ヤクザや、マフィア、それにギャングなんて生き物は、基本的に社会のクズだぞ。


そんなクズみたいな生物に憧れちゃいけませんよ。



「アホか。あんな社会に迷惑しか掛けねぇ様なクズな職業。全然格好良くねぇから」

「なんでだよ?『任侠』に『仁義』超クールじゃねぇかよ」

「ア~ホッ。そんな高貴な志は、遠の昔に死滅してないわ。近年の俺等ヤクザってのはな。そんな古風な物に縛られねぇ、利潤の追求するだけの存在になってんだよ」

「そうなのか?なんか『松形弘樹の映画』のイメージとは随分違うんだな」

「あのなぁ、今時、あんなカチコミなんぞする馬鹿な組はねぇよ。基本は話し合いで解決なの。『任侠』や『仁義』じゃ飯は喰えねぇんだよ」

「そっ、そう……なのか?」


はぁ~~~~、まったくもぉ、アメリカ人ってのは、どうにも曲解が過ぎるな。

つい最近『富士山』『芸者』『侍』『ちょんまげ』『忍者』『寿司』『天麩羅』って、江戸のイメージが薄れてきたと思ったら、今度は『昭和の任侠ヤクザ』ですか?

どこから、そんな映画情報が流れてるのかは知らねぇが、誤った日本の見方は、いい加減辞めて欲しいもんだな。


今の日本は経済大国だぞ。

今時、そんな時代錯誤な奴は居ねぇつぅの!!



「けどよぉ、真琴。『仁義』や『任侠』が廃れてるってんなら、さっきの真琴の行為は、些か変じゃねぇか?それがないんだったら、どこに俺を助ける理由があんだよ?」

「はぁ?なに言ってんだ、オマエ?ダチが困ってたら、助けるのは当たり前じゃねぇかよ。馬鹿じゃねぇのか?」

「マジで言ってんのか、それ?」

「あぁ、至ってマジだが……なんでだ?」

「だったら、ヤッパ、カッケェじゃんかよ」

「なにがぁ?」


あぁ、これってまたか……


なんかよぉ。

青山さんと言い、このボブと言い、最近、この手の話をすると、みんな変な目で俺の事を見やがるんだよな。


なにが、そんなに珍しいんだよ?

この程度の事でな、ゴチャゴチャ言う様なら、オマエ等、人生に冷め過ぎだちゅ~の。


まぁ昨今『熱い奴』ってのは格好悪いの代名詞とされてる時代だから、その意見自体も、わかんなくもねぇけどな。

それじゃあ、余りにもつまんなくねぇか?

多少の『熱さ』ってのは、人生に置いて必要不可欠なもんだと思うんだけどな。



「いや、だってよぉ。最近じゃ、他人に興味の有る奴なんて、結構、少ない世の中だぜ。それを敢えて、人助けをする為に身を張るなんて早々出来たもんじゃないと思うけどな」

「まぁなぁ、そう言う見解もあるなぁ。……けどよぉ、それじゃあ、ドンドン他人との距離が測れなくなるだけなんじゃねぇの?そんな機械みたいな人間と付き合っても、俺は面白くもなんともねぇと思うんだけどな」

「う~~ん。確かに言われてみれば、そうだな。そんな奴、ちっとも面白くはねぇよな」

「だろ。だからよぉ。俺は、せめて自分だけでも面白くねぇ事がねぇ様に生きたいと思ってるって訳だ。故にオマエを助けたのも、そんな単純な理由からだな」

「なるほどなぁ。奥が深いなオマエって」


納得しやがったよ。


こんな崇秀が言いそうな話を、適当に見繕って作った与太話で納得するなんてよぉ。

ホント、変な奴だな。



「じゃあ、序に、もう一個聞いて良いか?」

「なんだよ?」

「あのよぉ。真琴が手にしてる、その楽器も『熱くなる』って奴の為の道具になる訳か?」


うん?

楽器って事は、俺が、この手にしてるベースの事だよな?


そうだよな。


しかしまぁ、そう改まって質問されると困ったもんだよな。

このベースの件に関しては、全てが、全て、スゲェ微妙ラインで成立してるからな。


なんてたってよぉ。

奈緒さんに好かれたい一心で始めた様な、極めて不純な動機だから『熱い』ってカテゴリーからは程遠く、あまり関連性が無い様な気もする。


かと言ってだな。

今となっちゃあ、結構、みんなで演奏するのが楽しくて、熱くなってる自分もいる。


だからこれを、熱くなる為の道具じゃないとも言い切れない。


こう言う、2つの微妙な気持ちが有るだけに、ホント質問としては解答し辛いな。


ムズイ。


故に適当に答えたれ。



「いや、別によぉ。特別『これじゃなきゃあダメだ』って感覚はねぇけどよぉ。まぁ、その一環なんじゃねぇの」

「あれ?意外だなぁ。なんとも期待外れな解答は返って来たもんだな」

「そりゃあ、オマエ。正直な話で言っちまえば。俺が楽器を始めた理由なんてものは『女にモテたい』なんて極めて不純な動機だったからな。この解答に行き着いてもしょうがねぇだろ。自動的に微妙な解答にもなるってもんだ」

「『女にモテたい』が動機か。なるほど、そりゃあ、確かに極めて不純な動機だな。……っで、結果は、どうだったんだよ?」

「いや、それがな。……何所を、どう間違ったのかは、全くわかんねぇだけどよぉ。何故かモテまくりなんだな、これが」

「マジでかよ?」

「マジでだよ」


事実を語るなら、こちらも、本当は微妙な話だけどな。

だってよぉ、あれを『モテてる』って断言して良いものか、どうか微妙じゃね?

どっちかって言うとだな。

今の現状ってのは『モテてる』って言うより、全員に体良く『からかわれてる』って言うのが正確じゃね?



「ふ~~~ん。真琴って、何気にスゲェんだな」

「別に凄かねぇよ。必至になんかやってりゃ、それなりに、なにかしろの結果が付いて来るってだけの話だ。本来こんなもんは、変に意識してやるもんじゃねぇからなぁ」

「なるほどなぁ。……っで、その中から、真琴のハートを射止めた彼女ってのは、どんな奴なんだよ?」

「あぁ……写真だったらあるけど見るか?」

「おぉ、見せてくれ。見せてくれ」


調子に乗って『見るか?』なんて言ってるのには、ちゃんとした理由があるんだぞ。


だってよぉ、幾ら奈緒さんが、日本で有名人だとしても『此処アメリカまでは、知名度が響いてないだろう』って言う、俺の立派な見解がありきで、こんな事を言ってる訳なんだよな。


だから、奈緒さんを紹介しても、この辺については安全だと確信している。


多分、この思考で問題無いだろ。


……ってかな。

こう言うチャンスだからこそ、偶には、人目も憚らず『彼女を自慢』したい訳ですわ。


要するに、恒例の『自己満足』


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


……っで、なんと今回で『500話達成!!』(*´▽`*)

序に言えば『150万文字突破』しましたぁ♪


いやはや、どんなジャンルであっても書き続けさえすれば、意外となんとかなる物ですね(笑)


さてさて、そんな中。

倉津君の物語は、まだまだ続く訳ですが……

なにやら安易な感じで『奈緒さん』を、ボブさんに紹介しようとしてるみたいですが……大丈夫なのかな?


いやホント、マジで(笑)


なのでまぁ、その辺が少しでも気になりましたら。

また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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