497 怪しげなボブさんに道案内を頼んだ理由

 ニューヨークの空港に到着後。

ズッとコチラをチラチラと見ていた怪しげな人物に、道案内を頼むと言う無謀な真似をする俺。


勿論、その行為にはある思惑があるのだが、思い通りに成るか!!( ゚Д゚)


***


 そんな訳で、空港を出て街を歩く。


ニューヨークは世界の主要都市の1つなので人が多い。

これについては、さっき空港内でも同じ様な内容の話したので、既に確認済みだと思う。

けど、今日はクリスマスイヴなんてイベントが重なっているが故に、街全体が、それらの人々の購買意欲を掻き立てる為にキラキラと光るイルミネーションとかが設置されており、いつも以上の大きな賑わいを見せている様だな。


まぁそんな訳だから、人が多いのは致し方がない事。

この辺については、不本意ながらも納得も出来よう。


だがな、此処で、必要以上に痛感した事が1つあんだよ。


『冬のニューヨークって、こんなに寒いもんなんだな……』


防寒具を上に羽織っていても、寒さが貫通してきやがる。

その寒さは並大抵のものではない。

この時点で俺はだな、余計な事を考えずに『イエローキャブ』にでも、乗れば良かったと後悔し始めていた。


そんな折、俺の前を行く案内人の男が、なんの前触れも無しに話掛けてくる。



「なぁ、ところで、アンタ。こんな時期に、マサチュ-セッツなんかに、なにしに行くんだ?まさかとは思うが、MITの学生とか言わねぇよな?」

「はぁ?なにを言い出すかと思えば、そんな与太話かよ。んな訳ねぇだろ。俺みたいな与太公が、あんな天才しか集まらねぇ様な学校に入れる訳ねぇつぅの。ちょっとしたツレに会いに行くだけだよ」

「ツレねぇ。……にしてもまぁ、そのアンタのツレとやらも物好きな奴だな。なんでワザワザ、あんな片田舎に居を構えてるんだ?」

「さぁな。元々頭のおかしい変人だから、しょうがねぇんじゃねぇの」

「変人か。……なるほど、ソイツは解り易い話だな」

「うん?またなんでだ?」

「いやぁ、あの工科大学の近くに居を構えるって事は、それだけでも、十分、変人だと断定出来るだろ。理由なんて、そんな程度のもんだ」


なるほど。

世界中の変人が集まる集落だからこそ、強烈な変人が集うか……


なるほど、なるほど、誠に解り易くも簡潔な話だな。



「なるほど。そりゃあ、意外と筋の通った話だな」

「だろ。まぁ、俺みたいな馬鹿にとっちゃあ、単なる僻みって話でもあるけどな」

「ほぉ、オマエって馬鹿なのか?」

「ロクに学校も行っちゃいないから、世間じゃ、相当な馬鹿の部類だろうな」

「そっか、そっか。じゃあ、俺と同じだな」

「なんだよ?オマエも馬鹿の類なのか?」

「まぁ、こんな初めての右も左も解らない場所で、誰とも解らない奴に道案内を頼むぐらいだからな。普通に考えても、賢かねぇわな」


ふむ。


こんな平穏な会話が続いてる様じゃ、俺が期待するバイオレンスな展開は、なんもなさそうだな。

俺自身の予定としてはだな、金を持ってる事を理由に、路地裏にでも連れて行かれるもんだと思っていたんだがな。


いやはやいやはや、ニューヨーカーつっても、意外と良識が有って普通の街なんだと痛感した。


つぅかな、今まで街を歩いてて思ったんだがな。

このニューヨークって街は、スラム街にでも行かねぇ限り、思った以上に治安も悪くねぇみたいなんだよな。

まさに期待外れな展開とは言え、このまま何事もなく電車に乗ってマサチューセッツに着きそうな感じだな。


意外とツマンネェなニューヨークも。



「一応、解ってるんだな。なら、余計に、オマエって変な奴だな」

「そうかぁ?」

「どう考えても、そうだろ。オマエの言う通り、普通の旅行者だったら、ニューヨークって聞くだけで治安が悪いとか言うイメージが先行するもんなのに。それをワザワザ俺みたいな奴に声を掛ける時点で、ちょっと異常だろ。普通、そんな真似はしねぇだろ?」

「まぁな。……つってもよぉ。地元の奴と一緒に居た方が、旅行者として狙われ難くね?それにややこしい話になっても、オマエが居たら、話がスムーズに付くだろ。面倒が嫌いなんだよ俺は」

「ふ~~~ん。そう言う捉え方もあるんだな。にしても、凄い発想の転換だな」

「そうかぁ?こんなの普通だろ」


これって実はな『不良の法則』に基づいて行動してるんだけどな。

意外な事にな、地元の不良のツレが居れば、ソイツの顔がある以上、絡まれる可能性は恐ろしく低くなる。

(↑但し、対立してる奴が居る場合は、真逆だけどな)


それに、さっきも言ったがな。

仮に問題が起きたとしても、地元の筋の通し方を知ってる奴が居るだけで、解決の糸口を掴み易い。


なので、結構、理に適った話なんだけどな。



「ホント、変わり者だな。……処でアンタ、なんて名前なんだ?」

「俺か?俺は倉津真琴。オマエは?」

「あぁ、俺は、ボビー=マクラーレン。仲間からはボブって呼ばれてる」

「そっか。ボブなボブ。じゃあ、短い期間だが、宜しく頼むぜ、ボブ」

「おぉ、任しとけって。この辺は、俺の庭みたいなもんだから、迷う事なんてねぇよ」


ふむ、この分じゃ、ヤッパ問題は起きそうにないな。

そして逆カツアゲが出来ねぇって事は、土産代は自腹だなこりゃあ。


……なんて思ってたら。

俺の方を向いて、後ろ向きに歩いていたボブが、大柄の男に『ドンッ!!』っと、ぶつかったしまった。


そして、ぶつかった瞬間、ボブの周りを3人程の雑魚っぽい男が取り囲む。


ヤッパリ、おいでなすったな。

此処の神様ってのも、日本の糞神様同様、俺に対する悪戯好きの様だ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


ボブさんは、意外と普通の人だった様ですね。

ですが、ボブさんが普通の人であっても、トラブルに巻き込まれるのが倉津君(笑)


最後の最後でボブさんがブチ当たってしまった大柄な男は、一体、何者なのか!!


その辺りを次回は書いて行きたいと思いますので。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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