490 最良の状況を作るには
山中君の言う作戦と言うのは『千尋ちゃんの魅了の魔法』とは『カジ君に条件付きでキスさせてあげる事』
この意見に納得出来ない俺だったが……言い合ってても話が進まないので、とりあえず聞く事にした。
でも、アカンぞ!!( ˘•ω•˘ )
***
「ちっ、納得出来ねぇが、聞き始めたのは俺だ。しょうがねぇから、一応、最後まで聞いてやるよ」
「さよか。ほな、話に入る前に、まず先持って2つ程聞くけどなぁ」
「おぅ」
「まずオマエな、カジと、カッしゃんが上手い事行って、なんか問題あるんか?それともオマエが、カッしゃんに気が有るんか?」
「へっ?あっ、あぁ……そういやぁ、そうだな。確かに、そこに関してはだけ問題はねぇな」
「そやろ。それにや。あんだけ必至になっとるカジのカッしゃんを想う気持ちは、結構、本物の部類ちゃうんか?カッしゃんも、それに対して嫌な気はしてへん。ほんだら、それを後押ししたんのが、友達言うもんちゃうんか?」
「あぁまぁ、そうだな。けどよぉ、キスをなんかの条件にするのと、なんの関係が有るんだ?そこがサッパリわかんねぇぞ」
「マジでか……微生物にも劣る知能の低さやな」
なんでぇ?
ってか、キスなんてもんはよぉ。
欧米でもない限り、恋人同士が付き合って、初めて体験する甘い時だろ。
それを他人が演出するのって、なんかおかしくねぇか?
「いやいやいやいや『2人を演出してやろう』って、オマエの気持ちは解ってんだぞ。けど、それって、お節介なだけなんじゃねぇの?」
「アホかオマエは、結局、なんも解ってへんやんけ」
「なんでだよ?俺のどこが、わかってねぇつぅんだよ?」
「あのなぁ、マコ。あの2人は、まだ恋人やないねんで。そこヒントにしたら、答えが出るやろ」
「なにがぁ?恋人じゃねぇんなら、尚更キスなんてしちゃダメじゃねぇかよ」
「マコ……後生やから、もう死んでくれ」
だから、なんでぇ?
「待ってくれ、待ってくれ。つぅか、恋人同士でもない奴等が『チュッチュカ・チュッチュカ』キスしたらおかしいだろ。そんなもん、ただのキス魔じゃねぇかよ」
「もぅえぇわ。オマエ、もぉなんも喋るな。なんも言わんと、話だけ聞け」
「なんだよ、そりゃあ」
俺の不平を聞きながらも、山中は話を進め始める。
だがな……エロ馬鹿の山中が考えた割には、中々巧妙な手口なんだよ。
「えぇかマコ?さっきも言うたけどな。あの2人は恋人でもなければ、夫婦でもない。……これは解るな」
「当たり前だろ。馬鹿にすんじゃねぇつぅの」
「ほな、次や。それでも2人は、お互いを意識し始めてる。これはどうや?」
「まぁ『カジの一方的な片思い』と言う説は否めねぇが。カジが、千尋の所に行っても、電波から、なんの苦情も来てない処を見ると、強ち間違いではないな」
「ほんだら最後に、オマエの意見を聞くぞ。この2人どうなった方が幸せや?」
「そりゃあよぉ。同意が有るなら、Hする様な仲になったら良いんじゃねぇか」
「フッ飛び過ぎや、ボケナス!!オマエの脳味噌にはロケットでも装備されとるんか!!」
うぇ!!今の意見は外したか?
『愛有るH』って意味で言ったんだが、陰獣の山中には伝わってねぇのか?
「ちっ、違うのか?」
「いや、完全に間違ってる訳やないけどやな。そこは『付き合ったらえぇ』で、えぇんちゃうか?ワザワザHって……」
「あぁ、そう言う事な。そうだな、そうだな。付き合ったら良いな」
陰獣にも伝わってた……安心。
「まぁえぇわ。Hであろうと、付き合うであろうと、あの2人にとっての結論は一緒や。ほな『どうやって、くっ付ける?』ちゅ~話や」
「どうやんだよ?それによぉ、さっきのキスの話は何所に行ったんだ?」
「合わせて考えやボケ。オマエの言うてる事は、答えと一緒やぞ」
「はぁ?」
「アカンわコイツ。……あのなぁ、マコ。さっき言うた『条件付きのキス』って話の『条件』の部分はな。『カジがインディーズのレコード会社と契約したら『キス』させたる』って言うたら、どないなるねん?」
「あっ!!そうか、そう言う事か!!」
「そう言うこっちゃ。まだ恋人になってないカジにとっては、恋人になるチャンスやから必死になる。それにカッしゃんの方も、それだけ自分の為に頑張ってくれてるカジの姿を見たら、惚れる可能性もある。……どや?これやったら一挙両得やろ」
スゲェなオマエ。
しかしまぁ、そう言う恋愛関係の事になると、一気に頭良くなるなオマエ。
流石、コンパ大王崇秀の一番弟子だ。
考える事が、生々しくて、あざといな。
「おぉ……感心した」
「当たり前じゃ。どっかの奈緒ちゃんが飼ってる猿とはちゃうちゅ~ねん」
「俺の事だな……そうだな」
「うん?なんや急に、しおらしくなりやがって、なんぞ思う所でもあったんか?」
「いや、まぁ、なんちゅ~かさぁ。オマエみたいな性欲しかない男でも、一応は千尋の事を、ちゃんと考えてんだなぁ~~っとか思ってよ。感心した訳だ」
「アホ抜かせ。誰がタダで、こんな面倒臭い事を考えるかいな。『魚心あれば水心』や」
「なんだよ、それ?なんか下心でもあんのか?」
「当たり前や。……これにはな。綿密に計算された計画があるんや。勿論、多大なメリットが有るに決まってるやろ」
あぁ……ヤッパ最低な肉欲淫獣だ。
感心した俺が、まるで馬鹿みたいだな。
どうせこの後、コイツは、ロクデモナイ事を言うに決まってる。
「なんだよ、そのメリットって?」
「簡単な事やないか。アイツ等がうまい事付き合ったら、これは俺の功績や。それ=カジとカッしゃんは、なにがあっても俺の味方をしてくれる。ほんだら、アリスを落す時に強力な協力者になるのは必須。特にカッしゃんは義理堅い女やから、なんとしても、俺とアリスが上手く行く様にするやろ。これだけでも、十分なメリットやと思わんか?」
まぁなぁ。
聞き様によっちゃあ、そう捉える事も出来るが、なんかシックリこねぇ話だな。
だってよぉ……
「いや、確かにメリットだけどよぉ。それって、カジと千尋が付き合ったらの話だろ。それまでに、結構、期間が掛かるんじゃねぇのか?」
「その辺は問題無い。寧ろ俺は、その間に、じっくりアリスの攻略をして行くつもりやから、頃合としては丁度えぇ筈や。先を見す越して、一定の行動を起こしとくのは、恋愛の基本やからな」
そうなのか?
なんか、イチイチ、そんなまどろっこしい事しなくてもよぉ。
『好きなら好きで』直接『好きだ』って、本人に伝えりゃ良いんじゃねぇのかよ?
面倒臭ぇ。
「ふ~~~ん。面倒臭ぇ事をするんだな」
「あのなぁ、マコ。恋愛ちゅうのは、普通、外堀から埋めて行くのが常套手段なんやぞ。俺はオマエみたいに、人の心にズケズケと土足で入って行く様な図太い神経は無いんじゃ」
「なんだよ、その言い方。人を無神経みたいに言ってんじゃねぇぞ」
「うわぁ~~~、なにを言うかと思ったら、なんちゅう自覚の無い話をすんねん。コイツ、ただの天然や。ホンマもんの天然物や」
「なんでやねん!!」
「おい、マコ。……今の『なんでやねん』は頂けんやろ。ちょっと多様し過ぎとる。そう言うの厳禁やで」
「あぁ、さよか」
まぁ……馬鹿みたいな話も結構したが。
それはそれで、なんとなく俺の悩みが解消された様な気がするな。
けど、これって多分、山中のお節介って奴なんだろうな。
ホント、コイツだけは良い奴なんだか……悪い奴なんだか……
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
流石、陰獣・山中君。
恋愛関係に強い、っと言うか。
なんだかんだ言いながらでも『2人が上手く行って欲しいと考えてるのか』そこそこ良い提案をしてきましたね。
まぁ、上手く行くかは別として……(笑)
さてさて、そんなこんながありながらも。
罷り也にも倉津君の悩みが解消された訳ですから、そろそろ本題である『崇秀の話』に次回からは戻っていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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